あらすじ
夫の浮気で離婚し、古いアパートで独り暮らしをする初佳、48歳。子ども達は独立し、収入は決して高くない。将来に不安がないわけではないが、自分が選んだものだけに囲まれた生活は思いのほか幸福だ。ある日雨に降られて入った『わかば洋傘店』で、70代すぎと思しきパンクな恰好の女性店主に「雨が降ったら傘をさせ」という言葉と店名が大きく入った傘を貸してもらい――。「これから先」の人生が楽しみになる著者の最高傑作!
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Posted by ブクログ
雨が降っている日、なんとなく浮かない気分でいると、薄日が差してきた······。そんな気分になれた一冊でした。
雨がモチーフの本だったら、青や水色の表紙の色を思い浮かべますが、この本の表紙の色はピンク色。傘の花が咲いたかわいい表紙で、この小説にぴったりです。
第一話では「雨が降ったら傘を差せ」という言葉に。第二話では、一人で生きていく秘訣に。第三話では、続けることが必ずしもいいことではないこと、逆に続けることで救われることがあることに共感しました。第四話では苑美の気持ちが手に取るように分かり、泣けました。第五話では、無視する権利に首肯しました。
わかば洋傘店のスノさんと太志くん親子のさりげない優しさと励ましには、ほっとできました。
小説のなかで、5人の女性達はありのままの自分でいていいことを改めて突きつけられて、心の澱が溶けていくようでした。
悲しくてつらいときにも、楽しいときにも心の中に傘は必要なんですね。寺地はるなさん、素敵な本をありがとうございました。
〈目次〉
朝
第一話 初佳(もとか)は傘を洗う
第二話 走れ杏子
第三話 みつほとクリームソーダ
昼
第四話 ソノミーテルミー
第五話 美禰子は遠くへ
夜
Posted by ブクログ
洋傘店が舞台なんて読んだ事がなかったし、専門店にも入った事もないので、どんな話かワクワクした。わかば洋傘店には雨傘、日傘はもちろん、レインポンチョや長靴なども扱っている。ガチャガチャもあるなんて楽しそう。
ウチには子供がいないので「みつほとクリームソーダ」のみつほの気持ちがよく分かる。妹に対して“私とあなたの幸せの種類が違うだけ”と思うシーンとか、そうそう!と頷いてしまった。
スノさんが芸人にいった“しんどい時に『やめる』という傘をさすのは、そんなに悪いことやろか。”という言葉も好き。
「ソノミー、テルミー」も違う道を選んだ2人が、それぞれを認めてあっていて素敵な関係だと思う。
大志とスノさんの距離感もいい。40代くらいの女性たちのお話しだったからか、ゆったりとした気持ちで読めた。
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「わかば洋傘店」が作品の主な舞台です。
丁度、傘が要る季節ですね。
本の装画もくるくると傘の模様でとても可愛らしく優しい色合いです。
私は傘が好きなんです。
だから本当に気に入った傘を雨が降る日は持って出かけていました。
でも、気に入った傘は盗難に遭いました。何回も…。だから今は無難な無地の傘を持っていきます。とても残念で気分は上がらないです。が、
この作品を読んだらお気に入りの傘が欲しくなりました。作品にも出てきたゴッホのひまわりのような華やかな黄色の傘が素敵だな…。
登場人物たちはそれぞれが色んなものを抱えていますが、傘との出会いで気持ちを上げてたり、優しく穏やかな気持ちになったり、少しの勇気と元気をもらったりとしていて素敵な作品でした。
私もお気に入りの傘がぱっと開いたところを想像すると気持ちが明るくなりました。
Posted by ブクログ
ちょうど傘を買おうとしてたからドキドキしてしまいました。
わかば洋傘店みたいなお店はないだろうし、ネットで買うと思うけど、自分の好きな傘を探そうとワクワクしてます。
素敵な物語ありがとうございました。
Posted by ブクログ
まず装丁がかわいくて癒される。等身大の女性たちの悩みもリアルでいい。去年、友人に勧めれて初めて日傘を買った。それまでは使うのを躊躇していたが、使ってみたら友人の言う通り凄く涼しくて快適だった。最近は流れが来た時は反発しないで、流れに乗ってみるのもありだなあと思うようになった。お気に入りの物を身につけて、自分の機嫌は自分でコントロールするという事を意識し始めてから、生きるのが楽になった。日傘を勧めてくれた友人の事を思いながら読んだ。
Posted by ブクログ
「雨が降ったら傘をさせ」当たり前の言葉が、
こんなに沁みるとは。
40代なかば、人生晴ればかりではなく、
雨の日も突然の嵐だって経験した。
考え過ぎてしまう年齢だからこそ、冒頭のシンプルな言葉をもう一度思い出し、背負っている荷物を一旦下ろして、傘をさし、長靴を履いて、水たまりをジャブジャブ歩いてみたい。
Posted by ブクログ
人生に思いがけない雨が降ったら、各々の傘を広げよう。傘は涙も隠せるから、思いきり泣いたらいいんだよ...。読み終えた今、お気に入りの傘をさした登場人物たちがすっきりとした顔をして前に進んでゆく、そんな姿が想像できます。
人生の歩みが軽くなるような素敵なお話でした!!
寺地さんの作品大好きなのですが、その中で私は特に大人が主人公の作品が好きな傾向にあるようです。本作に込められた優しさが多くの方に広がっていくことを願います!
ポプラ社様よりプルーフをいただき拝読しました。
Posted by ブクログ
自分の感情に気づくことは、怖いことだ。だけど、気づけたその時、人はまた、自分のあるべきところを見つけるのかもしれない。そんな気持ちがした作品。
Posted by ブクログ
本格的な暑さが来たな〜と汗を拭きながら感じた今朝。
昨日読み終えた本のタイトルは『雨が降ったら』で、近畿地方も昨日に梅雨あけしたばかり…。
こんなにもギラギラと照りつける太陽を見てると、雨が恋しくなってしまう…
けっして雨は嫌いではない。
すっきりと心の汚れを流してくれるようで…
夫の浮気で離婚し、子どもは独立して念願の独り暮らしをする初佳(48歳)が、雨に降られて入った傘屋さんで、女店主に傘を貸して貰うという話からスタートする。
傘屋さんで、傘を貸すという店主スノさんの太っ腹さに驚きながら、傘を開くと「雨が降ったら傘をさせ」わかば洋傘店の文字に再度驚く。
こんな始まりから、わかば洋傘店主スノさんを通して、さまざまな40代の女性たちが、これまでのことやこれから先のことを考え、歩み出す連作短編集。
40代の女性たちが、何を思ってあと半分はある人生を生きていくのか…
何をきっかけに希望を持つのか…
短編ドラマを見ているようで、さまざまな境遇の人たちの「これから」を重ね合わせて楽しめた。
Posted by ブクログ
イマドキの作家さん、気になる人はたくさんいるけれど・・・
もしかして寺崎はるなさんが、一番好きなのかも。
なんで、こんなふうに、淡々とした人の営みから
心に光を、明日も頑張ろうって思わせてくれるんだろう?
わかば傘店のスノさん大志くんの二人と関わる
中年女性・・・
みんな頑張っているよね、わたしは昭和の見方しかできないことを
いつも突きつけられるけれど、
それが寺崎さんは柔らかい。
作家さんや小説によっては、わたしは自分を責めるあまり、
心が苦しくなりすぎちゃうけれど。
今度、ビリヤニを食べに行こう。
カレーは苦手だけれど、これならいけるかもw
Posted by ブクログ
「こまどり庵」というワードが登場したとき、すぐに「あの作品の!」とわかって、密かに嬉しかった。
内容がすーっと心に入ってくる感じで、読みやすかった。わかるなーって思ったり、こういうことってあるよねって。ラストがすごくよかった。
Posted by ブクログ
梅雨に読むのにぴったりな一冊。
わかば洋傘店と関わる5人の女性の連作短編集。日常に寄り添った物語ばかりで、ほっとする。登場人物の名前や設定や関連が混乱してきて、メモをとりながら読んだ。「雨が降ったら傘をさせ」という言葉にも心が温かくなった。
車移動ばかりのこちら地方では、家族からもらった大好きで大事な傘は、無くすのが怖くて仕舞い込んである。車に積んで、次に雨が降ったらさしてみたいと思った。
Posted by ブクログ
今の、梅雨の季節に読むのにぴったりな作品で「わかば洋傘店」と繋がる5話の短編集。雨って昔から暗いし鬱々するし気分下がるから苦手。だからこそお気に入りの傘やレインコート、レインブーツで少し気分を上げたくなる。雨が降ったら傘をさせばいいように、人生で嫌なことがあった時に対処できたらいいんだけれどもなかなか難しいよなぁと思う。でも、晴れの日に傘を握りしめて怯えながら過ごすのはやめよう、晴れの日は晴れを楽しもうと思えた。こまどり庵ともちょっと繋がってて嬉しい。今度かわいいポンチョ買って来よう。優しくて癒された。
Posted by ブクログ
年齢なんて関係ない、新しいことを始めるのも、新しい友人を作るのも、いつだって自分の気持ちがやりたいと思ったときにやれたらいいなぁ。
他人の視線なんて気にせずに好きなものを好きだと言える人でありたいなぁ。
Posted by ブクログ
寺地さんのお話はスーッと心の中に心地よく落ちていく。読み終わると温かい気持ちになれる。
だけど、少しすると
『あれ?あれって結末はどうなったんだっけ?』
と、なる。
読書友達に感想を訊かれてあらすじを答えられない。
これはダメでしょう!
と、思うのですが何か大きな事件が起きるわけではなく色んな人の心に寄り添う形のお話しが多いのでぽわんと終わるから記憶力の悪い私には覚えられないのかもしれません。(言い訳です)
この本もそんな感じ。
とても優しく温かく心の中に落ちていく。
忘れてしまうかもしれないけれど、ちゃんと私の一部になってくれてるのだろうな…って思える大好きなお話しでした。
(Word)
・生きていたら、必ず悲しいことやつらいことがある。そんな日は雨に降られる己の不運を嘆くのではなく、傘をさして身を守ればいい。「晴れてる日に『また雨が降ったらどうしよう』なんて過剰に不安がる必要はありませんよ、その時はただ傘をさせばいいんですよ…」
・雨が降ったら傘をさすやろ。しんどい時に、 『やめる』という傘をさすのは、そんなに悪いことやろか。わたしは、続けることだけがすばらしいことやとは思わへん。夢って呪いにもなるからね。
・雨が降ったら傘をさせ わかば洋傘店
Posted by ブクログ
モヤモヤや悩みを受け入れながら生きてゆくこと。
雨は降るし晴れさせることは出来ないけど、傘をさせば、レインコートを着れば、レインブーツを履けば、雨を受け入れて歩くことは出来る。
ましてやそれがお気に入りのアイテムだったら少し気分が良くなるかもしれない。
晴れたのではなくて雨が止んだような、そんな心が少し軽くなったような読後感。
Posted by ブクログ
装丁が可愛くてとても好みの本。
小説での「雨」はマイナスのイメージだけど、雨に関する本で明るい気持ちになれたのは初めてかもしれない。
「雨が降ったら傘をさせばいい」って名言!
雨が自然とあがるのを待つのではなくて、自分で傘をさすというのが能動的でいいなと思う。
登場人物の誰もが困り事を抱えているけれど、「どうにかなるでしょ」とこちらまで前向きな気持ちになれた。
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40代くらいの中年女性たちの物語。歳をとるのもそう悪くないなと思えた。
「渦中にいるしんどさは、その時々でかならずある」本当にその通りだと思う。後で振り返った時にあの時は良かったなと思うだけ。喉元過ぎればってやつかな。
親子って近すぎるとしんどくなる。辛い時は「親にも子にも無視する権利がある」って言葉を思い出すようにしたい。
Posted by ブクログ
ずっと「やまない雨はない」とか「雨上がりは晴れる」とか雨って降ってることが悪いと思っていたけど、傘をさせばいい。
通り過ぎるのを待たなくても避ける方法はある。
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【雨が降ったら傘をさせ】
本当にその通りだなと改めて思わされた本。
いい日も悪い日も必ず終わりがあって、そうやって人生は死ぬまで続いていくんだなあ。
Posted by ブクログ
わかば洋傘店で交わる、30代から50代の女性たち。立場も環境も違う、彼女たちの雨上がりの物語。
それぞれに人生があって生活があるということ、誰1人として決して同じものはないということ、当たり前のことですが、そんな事をしみじみと感じる作品でした。大きな出来事が起こるわけではないけれど、洋傘店を中心に彼女たちが変わり始める様子がうかがえます。彼女たちの穏やかな変化が心地よく、これからの自分の人生までもが楽しみになります。雨の日に傘の花が咲く様子や、雨上がりのしっとりとした眩しさが伝わってくる、心地よい物語でした。寺地はるな先生の、大好きな作品がまたひとつ増えました☺︎
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洋傘店を舞台に、人生の雨宿りをする40代女性たちの迷いや葛藤・再出発を描いた連作短編集。
「雨が降ったら傘をさせばいい」というシンプルな言葉が、思い通りにいかない日常を生きる人々に沁みわたる。
複雑な今の社会に「求められている本」だなーという印象でした。
劇的な展開はなくとも、孤独や悩みを優しく肯定し、人を頼る勇気をくれる温かさ。読後は心の荷物がすっと軽くなり、お気に入りの傘をさして前へ歩き出したくなるような。
Posted by ブクログ
わかば洋傘店を舞台にした短編集。登場人物は40代女性が多い。洋傘店は見たことがないので、自分なりに店の雰囲気を想像しながら読んだ。ほっこりする話もあれば切ない話もある。派手な展開は少なく、全体的に穏やかな物語だった。
Posted by ブクログ
大きな事件が起こるというよりは、日常の中で誰もが抱えるモヤモヤや悩みにそっと寄り添ってくれるような作品だった。短編集でありながら、それぞれの話がゆるやかにつながっていて、一冊を通してテーマに一貫性があったように感じる。
おそらくこの本のテーマの一つは「自立」と「人を頼ること」なのだと思う。私はこれまで、自立とは人に頼らず一人で何でもできるようになることだと思っていた。しかし、この作品を読んで、自立とは誰の力も借りずに生きることではなく、必要な時には周囲の人を頼りながら、自分らしく生きていくことなのだと感じた。
人を頼ることは弱さではなく、自分にできないことを認めることでもある。それは簡単なようでいて意外と難しい。この本の登場人物たちは、それぞれ悩みながらも少しずつ周囲との関わり方を変えていき、その姿がとても印象に残った。
私自身も、人に迷惑をかけないようにと考えて一人で抱え込んでしまうことがある。しかし、この作品を読んで、誰かに頼ることもまた前に進むための大切な力なのだと思えた。
Posted by ブクログ
五人の中年女性たちの再出発を、「わかば洋傘店」の傘が受け止めてくれているような印象の短編集。
女性が「ひとりで生きる」ことを全肯定してくれていた。さまざま呪縛を脱ぎ捨て、自分の足で新たに歩み出そうとする登場人物たちの姿はとても晴れやかだった。
読み終えると、むしょうに傘を新調したくなる。傘はわりとお気に入りのものを長く使うタイプなので、今も使っている折りたたみ傘はもう十年ものとなって撥水効果が薄れている。もうどれほどの雨を凌いできてくれたんだろうな。
雨を降らせないことはできないけれど、傘をはじめレインブーツやレインコートなど好きなものを選んで身に付けて、気持ちを明るくすることはできる。
雨の日に外に出るのは憂鬱だけれど、自分の工夫しだいで楽しむこともできるのだと、教えてもらえたような気がする。
Posted by ブクログ
「初佳は傘を洗う」
「走れ杏子」
「みつほとクリームソーダ」
「ソノミーテルミー」
「美禰子は遠くへ」
5話収録の連作短編集。
様々な境遇にある40代女性たちの過去と現在が描かれている。
舞台は『わかば洋傘店』。
雨をしのぐ傘が、登場人物たちを喪失からも守ってくれているようで、心が和らぐ。
人生は子どものころに思い描いた未来とは違っていて「こんなはずじゃなかった」と立ち止まる瞬間もある。
彼女たちの迷いや葛藤は誰もが通る道で、だからこそ深く共感できた。
想定外の人生を受けとめ、楽しめる自分でありたいと思わせてくれる癒しの一冊。