あらすじ
犯罪者に反省させるな──。「そんなバカな」と思うだろう。しかし、犯罪者に即時に「反省」を求めると、彼らは「世間向けの偽善」ばかりを身に付けてしまう。犯罪者を本当に反省に導くのならば、まずは「被害者の心情を考えさせない」「反省は求めない」「加害者の視点で考えさせる」方が、実はずっと効果的なのである。「厳罰主義」の視点では欠落している「不都合な真実」を、更生の現場の豊富な実例とともに語る。
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Posted by ブクログ
「反省文」は本人の否定的感情を抑圧させ、真の反省に繋がらない、という話は村中直人さん著の「叱る依存がとまらない」にも通じていて理解しやすかった。結局は本人の「否定的感情」を吐き出させ、問題行動の背景を一緒に考えていくことが大切なんだけれど、だからこそここが一番難しいとも思う。本音を引き出すほどの関係性や、時にはカウンセリング技法も必要とされるのでは。でないと次は「上辺」だけの言い訳が上手になるだけ?それでも、第二章の反省文の部分と第四章のいじめ指導については学校の先生は必読だと思う。
Posted by ブクログ
悪いことをしてしまったときに、反省だけさせても、意味はない
なぜ、そのような行動を起こしたのか、共に考え、自分の心の奥底にある、悲しみ、苦しみ等のネガティブな感情を吐き出させる
(幼少期に自分の欲求を吐き出すことができず、感情を抑圧されていることが多い)
そこから、自ずと被害者の心情に思いを馳せたり、反省したりすることができるようになる
「〜しなければ」というしつけが厳しいほど、それができない人への寛容がなくなり、いじめをうむ。
「相手に抱く不快感は、自分の心に植え付けられた価値観から。」とりあえず、そのことに「気がついている」だけでも、よし。
いじめ防止の教育について。
「被害者が「かわいそう」だから、いじめはいけない。」
と、被害者側から考えるのでなく、加害者側から考える。なぜ、いじめてしまうのか。
人は誰しもストレスを持っていると、それが弱いものに向かうことがある、と学ばせる。
気づき
・子供のわがままや癇癪は、自分を思い切り出しているんだな〜、健全、健全。くらいのおおらかな気持ちで対応する。大人が不快だからといって恐怖で抑圧しない。
・相手にイラッとする時は、自分の信じている価値観と違うから自分はストレスを感じた、と気付く。
・被害者からの視点でなく、加害者の視点から考える。すごく納得できる考え方。ダメなこだとわかっているのに、なぜやってしまうのか。勤務している学校現場でのトラブル対応も、この考えは非常に大切だと思う。
・納得感のない謝罪や反省は、無意味、どころか害悪。
Posted by ブクログ
この作者が言いたいことは問題行動をした時に“反省をさせてはいけない”ではなく、第一に問題行動をした理由(主に幼い頃からの親からの抑圧、気持ちを受け止めて欲しかった等)を追究し、加害者の抑えてた気持ちを吐き出させた後に被害者(迷惑をかけた相手)の気持ちに思考を巡らせて反省ができるようになるって事だと思います。筆者の受刑者との講義の経験談もあって分かりやすかったです。
私は児童養護施設の職員として働いていますが、現場の子どもたちと重なるケース(問題行動)もいくつかあって勉強になりました。ただ問題はそれに向き合うためにその子との個別の関わり、時間をかけて丁寧な支援が必要というのが課題だと思いました。