あらすじ
これまで右へ倣えで高額な適性検査を外注してきた社長や人事担当者が知ったらゾッとするような“ウソ”を、心理学の第一人者が痛快に暴露する1冊。
「自分はいつも運が悪い」などの質問にYes、Noで答えていく性格テストの定番が「YG検査」だ。採用試験に臨む学生の中には費用を払ってまで事前対策指導を受けている者がいるという。しかし著者の下した結論は「有害無益」。同じく就職試験によく用いられる「内田クレペリン検査」も「世の中に害毒を流しているだけ」と斬り捨てる。日本人が大好きな「血液型人間学」や臨床心理士が用いる「ロールシャッハ・テスト」も事実無根だと論じる。
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Posted by ブクログ
世の「心理テスト」がいかに「トンデモ」であるかを明らかにした、驚くべき本。「心理テスト」といっても、テレビや雑誌でやってるような「いかにも」なものではナイ(導入として「血液型」も用意してあるが)。槍玉に挙がるのは、かの有名な「ロールシャッハ・テスト」、定番の性格検査である「矢田部ギルフォード性格検査」、職業適性検査にも使われている「内田クレペリン検査」といった大物揃い。
心理学者がつくる心理テストは信頼できるか。著者は「大部分は信頼できない」とばっさり。その実例として、定番の心理テストについて、それらがいかに恣意的な基準でつくられ、当たらないとわかっていながら運用されているか、ということが、順序立てて語られる。
結論へいたる細部もなかなか面白い。インクのシミを見せて答えさせる「ロールシャッハ・テスト」が、実際にどんなところに注目して診断されているのかがわかるとか。「占い」や「心理テスト」を「当たっている!」と感じるしくみにどんな仕掛けがあるのかとか。
「喧嘩上等」な語り口も爽快で、意地の悪い人ほど楽しめる、かも。
残念なのは……血液型診断をトクトクと語っちゃうような人は、決してこういう本を読まないことかな? 人はたとえ「偽物」であっても、口当たりのいい表現を好むものだ。この本にはそういう心理も解説してある。用意周到というべきか。この本でいかに心理テストが「当たらない」と暴露しても、やはり信じたい人はなくならないし、それを利用する人もなくならないのだろうなぁ。
Posted by ブクログ
とにかく痛烈な心理テストに対する批判書。ビッグファイブ以外の性格判断はすべてでたらめといわんばかりのスタンスは読んでいて気持ちがいい。このセンセ業界から干されないかな、と心配になるほどの一冊。しかし、よーーく読んでみると、あんがい自己批判の書にも読める。心理学と統計処理を使う人は読んでおいて損はない。
Posted by ブクログ
心理検査はそんなに万能じゃないっていう本。
ちょっと口が悪いなぁと思いつつ、血液型の話とかが嫌いな自分には合ってた。
p. 113
インクのシミが明らかにするのは、唯一、それらを解釈する検査者の秘められた世界である。これらの先生方は被験者のことよりも自分自身のことをたぶん多く語っている(アナスティシ、1982年)。
Posted by ブクログ
世に蔓延る血液型診断、性格診断などを否定しています。科学的根拠がないもなが流行る。この本はそんな世の中に流される人には目から鱗なのではないでしょうか。もう10年近く前の本ですがおすすめです。
Posted by ブクログ
面白い。良書。
冒頭の血液型診断は兎も角として、もっと巷の似非心理テストかと思ったら、真面目に使われている本格的な、歴史のあるテストを預かっている。
著者が自分で分析してるところもあり、統計学の専門家と言うこともあって、今迄読んだ本当は違う迫力有り。
Posted by ブクログ
大学の先生に「めっちゃwwwおもろいからwwwよんでみwww」って言われました。
別の先生からもすすめられた1冊で、確かに面白かったです。
だけど先生曰く、心理学初心者は「こんなことが指摘されているのになぜそれを勉強しなきゃいけないのか」という考えにとらわれてしまうため、一通り勉強してから読むほうが面白いらしい。
Posted by ブクログ
血液型性格検査などは、嘘であると言うことは周知の通りであると思う。
しかし、ロールシャッハテストについては、著者は詳しく調べたのだろうか?もちろん、ある程度の本は読んだとは思うが、今では筆者の作った計算ソフトの数段素晴らしいものもできている。
その現状を知っていてのことだろうか?
どうにも、素人が少し本を読んだくらいで批判しているようにしか見えない。
Posted by ブクログ
一応心理テストを勉強したからこそ、なるほどなるほどとうなずける面白さ。私もどちらかというと考えは著者より、というか、心理テストに対して少し疑問を持っているところもあるので、納得して読めた。でも、心理をあまり知らない人が読んだら少し難しいのかなぁ、とも思ったし、この著者の批判的な書き方に好き嫌いが別れる1冊だなぁ、と思ったのでした。
Posted by ブクログ
軽い読み物としてどうぞ。ロールシャッハや内田クレペリン検査についての批判など、』目新しいものはありませんが、読み物としての文体は大学教授にしては(失礼!)お上手だと思います。性格検査では、YGテストがまぁまぁの精度があると思ってるアリーさんですが、なんでも妄信的に信じるのはアホのすることなんだー!って気持ちで居るのにいい一冊かと思います。
Posted by ブクログ
よく知られた診断や心理テストの結果が信じるに足りないものであることを、繰り返し主張する書。では、どんな診断のあり方であればより良いものになるのか、批判だけではなく、建設的な方向性を示してほしかった。一方で、血液型に関しては、本書のおかげで別の試してみたいアイデアが浮かんだ。
Posted by ブクログ
血液型、ロールシャッハ、YG、内田クレペリンが扱われている。
著者は性格の基本として外向性・協調性・勤勉性・情緒安定性・知性の5つ(ビッグ・ファイブ)を元に理論を作らないといけないという主張らしく、YGのように12にも分類されるものや、血液型やロールシャッハのように基礎データのサンプリングが間違っているものは信用すべからずという。また、占いなどに見られるような誰にでもあてはまる性格記述は昔の興行師の名前をとってバーナム効果と呼ぶそうだ。
Posted by ブクログ
血液型人間学なんてもののインチキさは自明なのであるが、その他の「心理テスト」も直感的には胡散臭いと思っていたが、やっぱりそうだった。こういう似非科学がまかり通るだけならまだしも、これらが就職試験など人生の重要な場面で使われることに重大な問題がある。
Posted by ブクログ
えらい攻撃的な人だな。なんか人格的に疑問。ちくまの『心理学で何がわかるか』ではそおれほど気にならなかったのだが、これはちょっと。YGやクレペリン検査の成立については勉強になった。
Posted by ブクログ
就職試験、もろもろの適性検査、あるいは、臨床場面で多用されている心理(性格)テストは、実はほとんど使い物にならない、詐欺同然の代物であることを痛快に暴露する。キリは「血液型人間学」から、心理臨床家の使う「ロールシャッハ・テスト」、就職試験の常連「内田クレペリン検査」、性格テストの定番「YG検査」まで、何とみんな事実無根。
信じがたいほどズサンな基礎データの収集と解析、及び外国からの移植時の統計的処理への無知などを剔抉(てっけつ)。心理テストの第一人者が、実体験=研究団体とのやり取り、実際のテスト開発の経緯、噴飯物の学会・シンポジウム記録等々=を踏まえて、ユーモアと皮肉を交えて語り下ろす。
Posted by ブクログ
就職試験、もろもろの適性検査、あるいは、臨床場面で多用されている心理(性格)テストは、
実はほとんど使い物にならない、詐欺同然の代物であることを痛快に暴露する。
心理臨床家の使う「ロールシャッハ・テスト」、就職試験の常連「内田クレペリン検査」、
性格テストの定番「YG検査」まで、何とみんな事実無根。
信じがたいほどズサンな基礎データの収集と解析、及び外国からの移植時の統計的処理
への無知などを剔抉(てっけつ)。心理テストの第一人者が、実体験=研究団体とのやり取り、
実際のテスト開発の経緯、噴飯物の学会・シンポジウム記録等々=を踏まえて、
ユーモアと皮肉を交えて語り下ろす。
Posted by ブクログ
血液型人間学、ロールシャッハ、YG、内田クレペリンなど有名な心理テストがいかに当たらないかを説明した本。
統計がわからないとちょっと理解が苦しいかも。私も決して詳しいわけじゃないので、読んで納得してしまいましたが、著者に反論できる人がいたら教えてください。
それにしても、血液型はともかく、他のテストが日本でいまだに使われ続けているのは販売者の陰謀ではないかと思ってしまうくらい、ボコボコにされています(笑)。
心理検査って病院で行えば医療費がかかるし、企業が採用活動に使えばコストがかかる。効果のないものを行うことがないよう、医者も臨床心理士も人事担当者もちゃんと勉強してほしいです。
ちなみにロールシャッハやクレペリンの費用対効果は、経験上私も疑問に思っていました。
Posted by ブクログ
心理学者による心理テスト批判。対象は血液型人間学,ロールシャッハ・テスト,矢田部ギルフォード性格検査,内田クレペリン検査。一般向けとは言うものの,心理学及び統計学の知識が少しも無い人には理解しにくいのではないか。
同著者の著作→「臨床心理学アセスメントハンドブック」