あらすじ
人間は古くから美しい形やプロポーションに憧れ、造形における調和の美を求めてきた。しかし、この美の摂理は長いこと伝統的な様式の踏襲と芸術家の直感に支えられてきた。一九一九年に創設されたドイツの造形学校、バウハウスで「構成」という理念がはじめて体系化され、教育に採り入れられた。ファッションや生活用品のデザインからコンピュータ・グラフィックスまで、様々な物の美を読み解く際の鍵となる造形文法「構成学」とは。
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Posted by ブクログ
構成学と聞くと、物怖じをしてしまった。三井さんは自分がなぜ構成学を学んだか、なにが構成学の正しい理解なのかをわかりやすく、楽しそうに書いてくれる。日常に溢れている比率や色の構成を実例をもって教えてくれる。この本を読めばセンスがよくなるわけではないけど、ものをいつもより少し深く見る。そのきっかけをくれる本だと思う。そうやってものを見ることがセンスを磨き、正しい構成学の理解なんだそうです。
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バウハウスへの著者の思いが冗長に語られてしまっているのが難点かもしれませんが、「構成の調和」を学ぶに当たり入って行くには良い本だと思います。学生諸君にも勧めたりします。
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複雑系の道を歩みつつあるものの、本来の関心が芸術にあった私にとっては、まるで出会いのような一冊。
フラクタルやカオス、ソリトンなどの非線形科学が、従来の形の科学の体系にメスを入れたのが90年代後半。30年後の今、形の科学はどう進んだのか、最新の研究動向が気になるところ。
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デザインの事はずぶの素人ですが、商業デザイン、工業デザインの体系だった動きがドイツで生まれ、ロシア人も関わっていという事実に驚いた。また、日本の絵画が世界の美術に影響を与えていたようであるが、紋様もまた影響を与えている事実があることに感銘をうけた。しかしながら著者が嘆いているようにそれらの美意識というものはことごとく無くなってきているのかも知れない。が、新しい形で日本人らしいセンスのものが今後創造されることを願うし、また日本人のDNAからそうなるだろうと思われる。最後に子供の頃から絵がへたくそだったからと言ってデザインの才能まであきらめる必用が無いことに安堵感と安心感を覚えた。よし、頑張ってみよう。
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2022.05.13 分かったようで、わからない。構成学という学問との疎遠さからか、なかなか難しいという印象。周りを固めないとよく理解できない。
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筑波構成
DWB→Bauhaus→IIT,MIT
『テクノロジーアート 20世紀芸術論』
モホリ・ナギ
ギオルギー・ケペッシュ『視覚言語』
『芸術と科学の新しい風景』
フラクタル
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難しい印象で読み始めたが、知識がないためにやっぱり難しい。
歴史や人物については理解しにくかったが、色彩感覚や構成の仕方などのセンスは良くなるように感じた。
Posted by ブクログ
この本を読んでいるときにある疑問がずっと頭の片隅に引っ掛かっていた。
例えば色彩調和(カラーハーモニー)理論によれば、同一色相、近似色相、コントラストの三つが最も「調和」しているわけだ。しかしこの場合の「調和」というのは一体何のことを指しているのかが一向に分からないのだ。これは形態に関しても同じ事で、黄金比は「調和」しており、我々はそれを「美しい」比率だと感じることが出来るわけだ。だが、何の前提も無しに「人間は本質的に調和した色を好み、調和した比率の造形を好む」ということは言えないのではないか。
構成学が、直感や霊感によって芸術家が獲得して来た造形や色彩を理論化するものであるのならば、そこには「調和した構成」というものが前提として存在し、またそれは直感や霊感によって獲得し得るものである、ということになるだろう。
しかし、例えば日本の美の感覚と西洋の美の感覚は隔たりがあるように、構成の調和はそれぞれの文化的素地の上に成り立っているものではないのか。いや無論桃山時代の武士が黄金比を見ても美しいと思わなかったかどうかは分からないわけだが。こういうことを突っ込み始めると認知神経科学的な話になってくるので何とも面倒だ。