あらすじ
「……教えてくれ。わたしは……誰だ」恋しい人と瓜2つの男は、美しい眉を歪めてそう言った。 「お前は、知っているのではないか。わたしが何者か……本当の名を、何といったのか……」その、切れ長の目も、唇も。なにもかもがあの人と、寸毫(すんごう)も変わらないのに──あまりの切なさに少年の瞳から涙が落ちる。追儺師(ついなし)・天本と半精霊・敏生。時の悪戯に引き裂かれたまま、魔性を降すことができるか!?
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Posted by ブクログ
物語のラストで幸せすぎて泣けてしまったこの1冊。
平安時代に飛ばされた敏生、天本さん、河合さんの3人。はぐれていた河合さんに再会し、小一郎とも再会した敏生は、記憶を無くし、安倍晴明の蘇りとされていた天本さんとも無事に再会した。そこで元佑さんと晴明に平安時代に来た理由を話し、仕事を進めていくことに…。
今までも奇談シリーズは、読み終えた後の満足感や達成感、それに暖かさや優しさなどを感じることが出来ましたが、今回は本当に心からそういうものを感じられました。
ラストの元佑さんと紅葉さんの会話や、記憶が戻った天本さんの小一郎への労い。敏生への想いを話すシーンなど、本当に優しくて暖かくて切なくて。とても愛しい1冊です。