あらすじ
国際交渉の「陰の立役者」が
舞台裏を生々しく語る
決裂必至の国際会議で合意をつくる根回し術とは?
相手国を満足させ自国の利益にもなる落としどころはどう探る? 日本外交の強みと弱みとは? コソボ軍事紛争調停から名古屋議定書まで、世界の修羅場をくぐりぬけ独自の交渉スタイルを確立した著者が、メディアでは報道されない国際交渉の舞台裏を紹介し、より尊敬される日本への道筋を提言する。
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Posted by ブクログ
メモ
◆交渉では勝つことではなく、互いに一緒に結論を導いたという達成感を共有することが大事。
◆そのために、信頼関係の醸成と構築が必要
◇エレベータープレゼンテーション
30秒~1分で案件の進捗状況報告、問題点とその対策を提案し、承認してもらう「じゃやってみろ」というところまでもっていく。
↓
相手を予備知識ゼロだと思って、誰にでもわかるように説明と情報を過不足なく与える
↓
毎日やって半年かかる
②A4一枚にまとめる技術→半年かかる
※センテンスを短めに切って問題点や解決策を明確に伝える
◇アイスブレイク(相手の緊張をとく)
◇相手が突然強靭な態度になったり、突拍子もない主張をしてきたら、答の出ない他の話題を話して時間を稼ぎ、考えをまとめる(上級テク)
◇相手が得意げに過剰にしゃべる場合、黙って聞いておいて、相手が「どうだー!!わかったか!」としゃべり終えたら、「いや、全然わかりませんでした」と答えてボディブロー
◇相手の情報で必要なもの
誇りとしていること、タブー、独特の発想、考えの道筋、思想・信条
相手の文化を理解し、敬意を示すこと
◆what(何が欲しいのですか。何が目的ですか。何が問題ですか)why(どうして提案をのめないのですが。どうしてこのようなことになってしまったのですか。どうしてそのような主張をされるのですか)について相手の話をじっくり聞く
Posted by ブクログ
国際ネゴシエーターというなかなか普段耳にしない仕事をされている方のエピソード。紛争解決のための交渉や環境問題のための国際会議などで活躍されている。環境問題に関して自分も興味がありNGOの立場から問題に取り組んでいるがやっぱりそのNGOでの思惑とかが入った視点となってしまう。そのあたりにもコメントがあり自分がふだんから悩んでいることに対しての解決の糸口になるのではないかと感じた。
Posted by ブクログ
友達がSNSにあげていたの見て気になったからかどこかで覚えていて、書店でエンカウントしたので読んだ。国際機関ではないものの国益のために働く人たちに囲まれる職場に勤める身としてはとても有意義な情報も多く、また筆者の経験(”国際ネゴシエーター”としての仕事)はなかなか見聞きできるものではないのでシンプルに読んでいて面白かった。交渉官の、自分は控えているようでも自信に満ち満ちあふれている物の言いようがどこか懐かしくて親近感も覚えた。
環境問題や生物多様性の問題が結局は国益に関わる問題であることを初めて認識させてもらえて良かった。特にアラブの春の一因として気候変動による小麦の不作で価格が前年比240%高騰したことも挙げられているなど、知らなかった。(地球全体で広く資源を守っていくことが次世代に…という方向で話されがちだが、ガッツリと自国の国益になる/損なわれるという問題であるために、COPなど国際会議が毎年開催されているし公式な会議のみでなく裏でバイ会談や非公式会議が行われているということが今まで頭の中でよく繋がっていなかった。)
あとは、日本の「見えない外交」という誰かが目立つわけじゃないチームプレーで成功する素晴らしさにCOP10名古屋の経験を綴る中で触れられていたが、これこそ最近わたしが仕事でモヤモヤしていることだった。自分の名前・能力をアピールしていくことこそがキャリアや成功につながると洗脳されかけていたが、「影に徹してでも働ける」日本人のすばらしさに触れられていて、それと同時に”「目立つこと」と「自分のスタイルを持つこと」が似て非なるものである”ことをよく理解して自分はどのように働き生きていくのかを考えていくことはとても大事だと思った。
自分はダイレクトに交渉に関わることはないにせよ、仕事をするうえでも取り入れたり、意識してみたいと思う学びがたくさんあった。(別途自分用に読書メモ)
Posted by ブクログ
本書は、国連紛争調停官・日本政府交渉官を務めた筆者が、国際交渉の舞台裏を紹介するもの。そこで重要なのは、場にとけ込み、相手と心を通わせ、そのためにも相手のこと・自分のことをよく知ること、これらは普段の仕事や人付き合いにも当てはまる本質だと感じました。
それにしても本書で紹介される交渉のプロ達の生き様には熱く感動します。文章も流れるように一気に読めて、オススメです。
【ポイント】
・”交渉においては「勝つこと」を目標にしてはいけない”-一緒に結果を出したという達成感を共有する
・”プロフェッショナルはためらわずに頭を下げる”-「ごめんなさい」と「教えてください」
・”リーダーシップとは「任せきる勇気」”-悪い報告ほど積極的に、何かあれば責任を取る
・”あえてスキをつくる交渉術”-最初から完璧な案を提案しない
・”センス・オブ・オーナ-シップ”-参加している、自分の考えも反映されているという感覚を持たせる