【感想・ネタバレ】暗殺の冬のレビュー

あらすじ

ニューヨーク・タイムズが年間ベストに選んだ傑作警察小説!

1986年、冬。スウェーデン首相が暗殺された夜に、寂しい寒村でひとりの女性が殺された。それは連続殺人犯の最初の犯行だった。しかし暗殺事件の余波で捜査は十全に行われず、第二、第三の事件を許すことになった。第一の被害者を救えなかった刑事スヴェンは姿なき暴行魔を単身、追い続けた。執念の捜査は警官となった息子ヴィダルに引き継がれたが……。
そして現在。作家である「私」はこの村に帰郷する。かつてスヴェンの相棒の刑事だった老女エヴィと私が知り合ったことで、ついに封印されていた恐るべき「罪」が姿をあらわしはじめる。
30年以上にわたる歳月、罪、秘密。最年少で最優秀スウェーデン・ミステリーを受賞し、スウェーデンと北欧のミステリー賞を総なめにしてきた最重要作家カールソンの出世作、日本上陸。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「禁断の”10年に一度の傑作”の帯を付けた」という文春公式Xに釣られて購入。
1988年冬、首相が暗殺された同日にスウェーデン南西部の小さな町(村)で起きた悼ましい殺人事件を巡る30年に渡る物語。謎解きや伏線回収が主眼ではなく(その辺少し弱い気がする)、迷宮入りした事件がいかに登場人物達の人生に取り返しのつかない影響を及ぼしたかが重厚な筆致で描かれる。太古から続くスウェーデンの深く暗い森、傾きつつある国家と登場人物達の心情が重なり合う。一読の価値ある一冊。

0
2026年06月25日

Posted by ブクログ

プロローグ

表紙を見てほしい
スウェーデンの片田舎に建つ一軒家
リビングには明りが灯っている

サイコパスが見つめている
そんな光景だ

そして、親子で警察官になったスヴェンとヴィダル
その土地で不吉な鳥と云われる“ハクセキレイ”を
時代は違えど二人とも見てしまっている

見た直後からお互いの事件が動き出す
30年余りの時を超えて、哀しき糸が意図したように
繋がっていく

視えない親子の絆が掘り起こされようとしている…
見つからなかった死体とともに…



本章
『暗殺の冬』
スウェーデンミステリーの最高峰★Super5!!!
これは、何というか…
素晴らしかった
ストーリーは物凄く複雑だし人物も程よく入り組んでいる

スウェーデンの片田舎の描写は克明かつ明瞭で、
さも現地にいるような錯覚を起こさせる
そして、その片田舎の地で、自身が事件を見聞きし、解決しようともがいているような感覚に陥るのである


結果的に親子で追った30年余りの事件の真相は
なんだっのか!?
衝撃的な事実と事実の裏に隠された嘘と過ち
これに気付いた我々は本書に潜む凄みに戦慄するのである

本年度、刊行された翻訳ミステリーでは、
間違いなくNo.1と云いたい




エピローグ

本書の著者は、スウェーデン人であるクリストフェル・カールソンの本邦デビュー作となる作品だ
勿論、ワールドカップ 日本VSスウェーデンを狙っての一冊である

サッカーは、恐らく日本が勝利するだろうが
本作の完成度には感服せざるおえないし、真犯人への下りは完膚なきまでに完敗である


スウェーデンの文學界に盛大な拍手と賛辞をを贈りたい


最後にそう思った!!!



                     完

0
2026年06月24日

Posted by ブクログ

1 986年2月28日の深夜
スウェーデン首相が暗殺されそのニュースが飛び交うなか
1人の女性が殺害される
それは連続殺人の始まりだった…
事件を担当した刑事スヴェンは犯人を追い続けるが、結局それは息子で刑事になったヴィダルに引き継がれる
刑事である親子の30年にも渡る執念の捜査の結末とは…

解説より
スコット・トゥローの『推定無罪』
カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』
ボストン・テランの『神は銃弾』
デニス・ルヘインの『ミスティック・リバー』
サラ・ウォーターズの『荊の城』
ジュリアン・バーンズの『終わりの感覚』
ローリー・リン・ドラモンド『あなたに不利な証拠として』
フェルナント・フォン・シーラッハの『犯罪』
ディーリア・オーエンズの『ザリガニの鳴くとろ』
以上の作品が好きなら、ぜひ本書を読むといいだろう。
かならずや心にしみいるはずである。

上記の作品全てを読んでいるわけではないが、納得!
読後、しばらく作品の余韻から抜け出せなかった

0
2026年06月22日

Posted by ブクログ

この本は「山形小説家・ライター講座」の世話役で、文芸評論家の池上冬樹先生が不定期に受講生に送ってくださるお便りで「10年に一度の傑作」と紹介されていらしたので読みました。


池上先生の解説によると
しみじみと読ませる傑作。
スゥエーデンのハッランド県にきた小説家の「私」が語り手。
一言でいうなら、三十年以上にわたりスゥエーデンの小さな町で起きた連続殺人事件の謎を解き明かすミステリ。
深い文学性をたたえたミステリ。

以上解説より抜粋。
ということです。

ーーーーーーー

私の感想としては文学性が高く文章に厚みがあるのはよくわかるのですが、私にはちょっと高級すぎる感じがしました。
連続殺人事件は起きるのですが静かすぎてエンタメのはずなのにエンタメ度が低い感じがしました。

池上先生のようにエンタメを読まれる一方、福永武彦などの純文学を心から愛する方にはきっとこういう作品は特に響かれるのだろうと思いました。

でも私にはエンタメなのになんだか格調が高すぎて、全体に静謐で正直500ページがちょっと辛いと感じられるところもありました。

0
2026年06月14日

Posted by ブクログ

時間をかけてじっくり読みたいミステリー。
北欧ミステリーといえば、登場人物が多く社会問題に切り込んでいく内容のものが多いが、本書の登場人物は比較的限られているし、文学的要素が強い。
犯人が誰だということよりも、起こった事件によってそれを取り巻く人たちの生き方がどう変わったり、何を考えたかが丁寧に語られる。
人間はたとえ善人であっても過ちを犯すもの。その後それをどう正していくのか。事件そのものよりも、人間の心理を味わえる小説だった。

0
2026年06月13日

Posted by ブクログ

超★5 スウェーデンの小さな田舎町で起こった連続殺人、重厚で味わい深いスモールタウンミステリー

■あらすじ
スウェーデンの小さな田舎町、警察官スヴェンのもとに奇妙な電話が入る。女性を農場の近くでレイプしたというのだ。彼が現場に到着すると、自動車の中で女性が襲われたのちに殺害されていた。

その日は奇しくもスウェーデン首相が暗殺された夜で、警察では事件捜査が十分に進められなかった。悲劇はその後も続き、犠牲者が増えていく。スヴェンは捜査を続けるのだが、犯人は杳として知れない。そして事件の捜査は、スヴェンの息子であるヴィダルに引き継がれてゆく…

■きっと読みたくなるレビュー
週末の夜長にじっくりと楽しめるスモールタウンもの、北欧らしく重厚で味わい深いミステリーですね。派手なエンタメ的な展開ではなく、人間ドラマで読ませていくタイプの小説なので、日本人好みだと思います。普段翻訳小説を読まない方でも、きっと楽しめる作品ですよ。

本作は小さな田舎町で起こった殺人事件を軸に物語が展開していく。視点人物の中心は警察官のスヴェンで、彼自身の人生にこの事件は大きなインパクトを与えてしまうのです。

読み進めるほどにスヴェンには同情しちゃうよね。警察官はいろんな事件に関わるうちに「たんこぶ」ができてしまうというけど… ほんと、胸が苦しくなるね。責任感が強いからこそ重荷になってしまうんでしょう。

そしてこの事件は、スヴェンの息子であるヴィダルも関わっていくことになる。父と同じく警察官になったヴィダル、彼の静かで熱いの正義感、そして冷静新着な頭脳には痺れますね。特に物語の後半、事件解決のフェーズになるんだけど推理と行動力には目を見張るものがあります。そして真相に迫るシーンでは、ヴィダルの叫び声が暗闇に吸い込まれしまうようで… しんどかった。

また本作で描かれる被害者、女性たちですよね… いつも暴力にあってしまうのは若く弱い女性なんです。PTSDになってしまう辛さや、逃げ惑う苦しさも本当に胸が痛いです。日本でも議論が進んでますが、性犯罪には厳しい態度で制度や規制を進めたほうがいいと思います。

そして本作の終盤、これまで多くの人たちの人生を見てきたんだけど、そこに一石の課題が投じられることになる。澄みきった水面に波紋が広がるように、ある人物の心と感情が揺れることになるのです。

もし私の立場だったら、事実だけで判断ができるだろうか? 人それぞれに真実や正しさがあって、長い長い月日と生きながらえてきた場所や人間関係があってさ。でも結局、今その時点がいつでも考えられる最新のタイミングではあるんだよね。人って、死ぬその時まで歩き続けなければならないんすよね。

いやー、すっかり引き込まれてしまい、自分自身の生きてきた道のりを見つめ直したくなる物語でしたね。今年読んでおきたいミステリーの一冊だと思いました!

■ぜっさん推しポイント
本作はスモールタウンミステリーがメインではあるんですが、ちょっと特徴的な構成になっています。この事件を取材して物語を書こうとする小説家「私」が存在しており、この「私」という視点人物をとおして物語が進行。そして「私」は事件が起きた田舎町の元住民であり、ヴィダルの友人でもあるのです。

このおかげでノスタルジックな世界観になるし、ふたりの距離感で情緒的な深みが増してる。さらに事件の当事者の視点だけではなく、読者のような立ち位置の客観的に描かれることで、伝えたいことの本質やテーマの全体像が伝わりやすくなっていると思うんすよね。このあたりのひと工夫がプロの技だなーって思いました。

0
2026年06月13日

Posted by ブクログ

過去の未解決に終わった殺人事件は、パルメ首相暗殺事件と同じ時間に行われた。その冬からスウェーデンは〜。一番の主題はこの30〜40年間のその国の混沌、その国に住まう人々や犯罪の一般市民との関わりなのだけれど、国がどこであってもソレは非日常のことで決着つけなければならない事、掘り起こさなければならない事、逆に掘り起こしてはいけなかった事、様々な罪が絡み合っている。

久々に北欧ミステリーを手にとったけれど、深い人間描写を感じる。

0
2026年06月06日

Posted by ブクログ

1986年、冬。スウェーデン首相が暗殺された夜に、寂しい寒村でひとりの女性が殺された。それは連続殺人犯の最初の犯行だった。しかし暗殺事件の余波で捜査は十全に行われず、第二、第三の事件を許すことになった。第一の被害者を救えなかった刑事スヴェンは姿なき暴行魔を単身、追い続けた。執念の捜査は警官となった息子ヴィダルに引き継がれたが……。
そして現在。作家である「私」はこの村に帰郷する。かつてスヴェンの相棒の刑事だった老女エヴィと私が知り合ったことで、ついに封印されていた恐るべき「罪」が姿をあらわしはじめる。

帯にある「十年に一度の傑作」かどうかはさておき、味わい深い作品。スウェーデン・ミステリの底力。

0
2026年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!スウェーデンの警察官親子が関わった連続殺傷事件。犯人は実は別の人で、この小説の語り手である「私」が調査して判明する。警察官の父の方は他界していて、息子が真実を知る。

ストーリーが面白かった。地名人名の馴染みがなかったが北欧っぽいのかなと思いながら読んでた。寂しい林の近くにポツンと建つ家のイメージが浮かんだ。
父と子が物理的には近くにいるのに、お互いを遠く感じるようになったというくだりが印象に残る。ヴィダルは警察官になって、父に近づいたのだろうか、スヴェンは息子を身近に感じただろうか。

0
2026年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず人物描写が素晴らしい!
スヴェンからヴィダル、そして私と視点が変わっていくけどどれも読み口が違って楽しい〜。
解説の池上さんの1行目と同じく毎日噛み締めながら読んだ。1日10ページも読まない日もあったけどそれでも十分味がする感じです。
丁寧に描写されるけども中だるみせず、いま各人物がどうなっているか示唆する上品な文章が入ったりと楽しい。
スヴェンから見たヴィダル、ヴィダルから見るスヴェンと父子ものとしてもかなりいい!好きですね〜こういうの。
事件の真相がわかりそれが親父のやった事をひっくり返してしまうなんて展開は辛いですね。

これが著者の初翻訳?ならもっと他のも翻訳してほしいなぁ。
最近の翻訳小説のなかではめちゃくちゃ安いです。4000円とかザラなのに。これで10日くらい楽しめるなら文句なんかなし!
文章が良い犯罪小説は最高ですね。
また棚橋志行さんの翻訳でお願いしたい。

0
2026年05月17日

Posted by ブクログ

クリストフェル・カールソン『暗殺の冬』文春文庫。

スウェーデン・ミステリー。

本の帯に『人間の罪を静かに見つめる十年に一度の傑作。』というコピーがデカいフォントで掲載され、ニューヨーク・タイムズ紙、ベスト・ミステリ選出となれば、見逃せない。

小説の構成上、時間経過が遡ることが多いのだが、全く煩わしさは無く、ページを捲る度に次々と読者の興味を惹いていくという造りになっている。警察官親子2代に亘る執念の捜査と住人たちを震撼させた連続レイプ殺人犯『ティアルプの怪物』の正体とは。そして、第一部の語り手である作家である『私』が最後にどんな真実に辿り着くのだろう。

全く救いの無い結末だった。登場人物の誰もが神に見放されてしまう小説が今まであったろうか。恐ろしいほど残酷で読み応えのあるミステリー小説だった。


第一部。2019年、スウェーデン南西部のハッランド県から物語は開幕する。作家である『私』は離婚して、かつて住んでいた村に帰郷する。『私』は地元のバーで元警察官のヴィダル・ヨルゲンソンと再会する。ヴィダルの父親のスヴェンもまた警察官だった。2週間後、33年前の連続レイプ殺人犯『ティアルプの怪物』逮捕のニュースが流れる。『私』は33年前に事件を担当したスヴェンの元同僚のエヴィ・カーレンという女性に当時の話を聞こうとする。

第二部。場面は変わり、1986年の冬。スウェーデン首相オロフ・パルメが暗殺された夜、寂しい寒村で20歳のスティナ・フランセンという女性がレイプされた上に頭部を殴打されて殺害される。事件発生直後に犯行現場に駆け付けたスヴェン刑事は被害者を病院に運ぶが、その生命を救うことは出来なかった。さらには首相暗殺事件の余波で捜査は十全に行われず、スヴェンの懸命の捜査も何一つ実を結ぶことがなかった。

それから1ヶ月余り、再び事件が起きる。犯人から犯行を仄めかす電話が警察に入り、23歳のフリーダ・エストマルクという女性が行方不明となる。2つの事件を嗅ぎ付けたマスコミはこの犯人に『ティアルプの怪物』という名を与える。

時は流れて1988年。スヴェンは『ティアルプの怪物』の最初の犠牲者となったスティナ・フランセンの両親から訴えられる。そんな中、スヴェンの息子のヴィダルが警察学校に入校する。身体の健康に不安を抱えながらスヴェンは単身、姿なき殺人犯を追い続けるが、怪しい人物を寸での所で逃がしてしまう。

1991年。スヴェンは警察を辞め、息子のヴィダルは警察官となっていた。そして、住人たちが未だに『ティアルプの怪物』におびえる中、第三の事件が起きる。

再び時は2019年に戻る。スヴェンは亡くなり、息子のヴィダルも警察を退職していた。ヴィダルが亡くなったスヴェンの私物を整理していると『ティアルプの怪物』事件の捜査資料のコピーと血液サンプルを発見する。そして、ヴィダルはスヴェンが既にこの事件の犯人を特定し、自らの手で決着を付けていたことを知る。

第三部。2019年。作家の『私』が再び語り始め、少しずつ最悪で最も残酷な真実に近付いていく。

本体価格1,300円
★★★★★

0
2026年05月14日

Posted by ブクログ

最後の方の急展開や大人の静かな愛と抑制の描写がグッときた。
父親がそこまで強くない家庭で育った女の私には「十年に一度の傑作とまでは……」だったけど、父親と息子の関係にグッとくる人、父親の存在が大きい幼少期を過ごした人、大人になってから父親のことを理解したいと思ったことがある人が読んだら、十年に一度の傑作になる気がする。

0
2026年06月27日

Posted by ブクログ

1986年の連続殺人事件を親子2代の警察官の人生と重ねて描いていく。帯にあるようにとても重厚なミステリ。
読み終わった今、喪失感すら感じるほどここ数日は物語にのめりこんだ。

0
2026年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

さして人気もない首相の暗殺がそこまで国民や警察の精神的影響を与えるかはわからないまま読み終えたが、オビの10年に1度の傑作とまではいかなかったかな。ただ、北欧ミステリのイメージとして、重く苦い雰囲気が味わえる良質のミステリ。30年に渡っての警察官親子の捜査は苦悩に満ちており、この間違えをどう評価すべきか悩んでしまうが、何とか話は解決するので、読後感はそれなりにすっきりはする。さすが30年に渡る物語なので、一定年ごとに登場人物表が出てくるのはありがたかった。同じ警察官を職とする父と子の物語。

0
2026年06月15日

「小説」ランキング