あらすじ
ニューヨーク・タイムズが年間ベストに選んだ傑作警察小説!
1986年、冬。スウェーデン首相が暗殺された夜に、寂しい寒村でひとりの女性が殺された。それは連続殺人犯の最初の犯行だった。しかし暗殺事件の余波で捜査は十全に行われず、第二、第三の事件を許すことになった。第一の被害者を救えなかった刑事スヴェンは姿なき暴行魔を単身、追い続けた。執念の捜査は警官となった息子ヴィダルに引き継がれたが……。
そして現在。作家である「私」はこの村に帰郷する。かつてスヴェンの相棒の刑事だった老女エヴィと私が知り合ったことで、ついに封印されていた恐るべき「罪」が姿をあらわしはじめる。
30年以上にわたる歳月、罪、秘密。最年少で最優秀スウェーデン・ミステリーを受賞し、スウェーデンと北欧のミステリー賞を総なめにしてきた最重要作家カールソンの出世作、日本上陸。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
まず人物描写が素晴らしい!
スヴェンからヴィダル、そして私と視点が変わっていくけどどれも読み口が違うのがすごい。
解説の池上さんの1行目と同じく毎日噛み締めながら読んだ。1日10ページも読まない日もあったけどそれでも十分味がする感じです。
丁寧に描写されるけども中だるみせず、いま各人物がどうなっているか示唆する上品な文章が入ったりと楽しい。
スヴェンから見たヴィダル、ヴィダルから見るスヴェンと父子ものとしてもかなりいい!好きですね〜こういうの。
事件の真相がわかりそれが親父のやった事をひっくり返してしまうなんて展開は辛いですね。
これが著者の初翻訳?ならもっと他のも翻訳してほしいなぁ。
最近の翻訳小説のなかではめちゃくちゃ安いです。4000円とかザラなのに。これで10日くらい楽しめるなら文句なんかなし!
文章が良い犯罪小説は最高ですね。
また棚橋志行さんの翻訳でお願いしたい。
Posted by ブクログ
クリストフェル・カールソン『暗殺の冬』文春文庫。
スウェーデン・ミステリー。
本の帯に『人間の罪を静かに見つめる十年に一度の傑作。』というコピーがデカいフォントで掲載され、ニューヨーク・タイムズ紙、ベスト・ミステリ選出となれば、見逃せない。
小説の構成上、時間経過が遡ることが多いのだが、全く煩わしさは無く、ページを捲る度に次々と読者の興味を惹いていくという造りになっている。警察官親子2代に亘る執念の捜査と住人たちを震撼させた連続レイプ殺人犯『ティアルプの怪物』の正体とは。そして、第一部の語り手である作家である『私』が最後にどんな真実に辿り着くのだろう。
全く救いの無い結末だった。登場人物の誰もが神に見放されてしまう小説が今まであったろうか。恐ろしいほど残酷で読み応えのあるミステリー小説だった。
第一部。2019年、スウェーデン南西部のハッランド県から物語は開幕する。作家である『私』は離婚して、かつて住んでいた村に帰郷する。『私』は地元のバーで元警察官のヴィダル・ヨルゲンソンと再会する。ヴィダルの父親のスヴェンもまた警察官だった。2週間後、33年前の連続レイプ殺人犯『ティアルプの怪物』逮捕のニュースが流れる。『私』は33年前に事件を担当したスヴェンの元同僚のエヴィ・カーレンという女性に当時の話を聞こうとする。
第二部。場面は変わり、1986年の冬。スウェーデン首相オロフ・パルメが暗殺された夜、寂しい寒村で20歳のスティナ・フランセンという女性がレイプされた上に頭部を殴打されて殺害される。事件発生直後に犯行現場に駆け付けたスヴェン刑事は被害者を病院に運ぶが、その生命を救うことは出来なかった。さらには首相暗殺事件の余波で捜査は十全に行われず、スヴェンの懸命の捜査も何一つ実を結ぶことがなかった。
それから1ヶ月余り、再び事件が起きる。犯人から犯行を仄めかす電話が警察に入り、23歳のフリーダ・エストマルクという女性が行方不明となる。2つの事件を嗅ぎ付けたマスコミはこの犯人に『ティアルプの怪物』という名を与える。
時は流れて1988年。スヴェンは『ティアルプの怪物』の最初の犠牲者となったスティナ・フランセンの両親から訴えられる。そんな中、スヴェンの息子のヴィダルが警察学校に入校する。身体の健康に不安を抱えながらスヴェンは単身、姿なき殺人犯を追い続けるが、怪しい人物を寸での所で逃がしてしまう。
1991年。スヴェンは警察を辞め、息子のヴィダルは警察官となっていた。そして、住人たちが未だに『ティアルプの怪物』におびえる中、第三の事件が起きる。
再び時は2019年に戻る。スヴェンは亡くなり、息子のヴィダルも警察を退職していた。ヴィダルが亡くなったスヴェンの私物を整理していると『ティアルプの怪物』事件の捜査資料のコピーと血液サンプルを発見する。そして、ヴィダルはスヴェンが既にこの事件の犯人を特定し、自らの手で決着を付けていたことを知る。
第三部。2019年。作家の『私』が再び語り始め、少しずつ最悪で最も残酷な真実に近付いていく。
本体価格1,300円
★★★★★