あらすじ
私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う――。同居していた祖母を亡くし途方に暮れていた桜井みかげは、田辺家の台所を見て居候を決めた。友人の雄一、その母親のえり子さん(元は父親)との奇妙な生活が始まった。絶望の底で感じる人のあたたかさ、過ぎ去る時が与える癒し、生きることの輝きを描いた鮮烈なデビュー作にして、世界各国で読み継がれるベストセラー。「海燕」新人文学賞・泉鏡花文学賞受賞作。
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言葉遣いや言い回しがどこまでも丁寧で優しくて柔らかい、昭和の温かさを感じる1冊だった。
この世界観にいつまでも浸っていたいとさえ思う。
「よし、ぱっとやりましょう。命の続くかぎり作ってみせましょう。」。親を亡くし親しい他人を亡くした2人が最後ちゃんと通じあえてよかったと心から思う。
色褪せないメッセージ性の強さ
水みたいに染み渡る普通の文章が心地よい。
出てくる人物は、辛くてもクールさを装うあまり現実味のない感じはする。
しかし、この小説で一番伝えたいと感じた『絶望の淵から踏み出す小さな一歩』が描かれる場面では、急に繊細に人間っぽく書かれていて、逆にそのメッセージ性を強いものにしていると感じた。
『強く生きないことの大切さ』を知れた気がする。
ムーンライト・シャドウ
個人的には、キッチンよりもその後ろについてる短編ムーンライト・シャドウの方がよかった。
映画「君の名は」は、多少なりともこの小説に影響を受けているんだろうな。
女性向けかな
吉本ばななの小説をある女性に勧められて購入。
キッチン、ムーンライト・シャドウどちらも非常にきれいな作品でした。
ただ男の僕には、作品に共感できるという感じはあまり無かったかな…。