【感想・ネタバレ】ハードボイルド/ハードラックのレビュー

あらすじ

「ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。」最後になった電話でそう言っていた千鶴。彼女のことを操り返し思い起こす奇妙な夜を描く「ハードボイルド」。死を待つ姉の存在が、ひとりひとりの心情を色鮮やかに変えていく季節を行く「ハードラック」。闇の中を過す人々の心が光り輝き始める時を描く、二つの癒しの物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「バードボイルドに生きてね。
何があっても、いばっていて」

心が折れそうになる時、
何度も思い出す。

私はもしかしたら、
へらへら笑ってごまかしてぺこぺこする生き方しかできないかもしれないが、
好きな人には
いつも自分を曲げないでハードボイルドに生きてほしいと思う。

次の一歩を踏み出す好きな人にいつもかける言葉だ。

0
2014年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

身近な人の死についての2つの物語。

ハードボイルドはかつての恋人の死。

夢で何度も彼女が出てくる。本当はとっても大切にしてた毎日だったと思う。彼女からたくさん影響を受けてたんだと思う。

見えないものが見えたり、普通の人が感じれないことを感じ取ったりすることも彼女からの影響が強い?

主人公が1人で訪れた場所でもそういうものを感じたり、もういない人がみえたり。
そのもういない女の人の亡くなったエピソードも悲しかったなぁ。心中しようって決めて相手だけ死なれたら辛いなぁ。でも女の人はそれでも相手に生きてて欲しかったんだよな。それは愛なんだろうな。

ハードラックは姉の死。
わたしも身近の人が突然亡くなった経験があるから、すごく読んでて泣きそうになった。

婚約者の逃げ出したい気持ちも分かる。
徐々に死を受け入れていく自分も分かる。
大切な人がなくなっても時間は流れて
止まってはくれないし、生きていかないといけないから。

最後に私の頭で流れる音楽は何かなって考えたなぁ。

とっても素敵な本でした。

0
2021年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ





ハードトラック がすごく好きだった。よかった。

〈ハードボイルド〉

「あなたはまだわかっていない。いつだって、自分がいちばん大変で、自分さえ助かって、楽で、いちばん楽しければいいと思っているんだもの。」

「人は、自分が相手に飽きたから、もしくは自分の意思で、あるいは相手の意思で別れたのだと思い込むものだ。でも、それは違う。季節が変わるように、時期が終わるのだ。ただそれだけだ。それは人間の意志ではどうすることもできない。だから逆に言うと、それが来るその日まで、楽しく過ごすことも可能だ。」
↑「食べ物に旬があるように、人と人との関わりにも旬がある」と例えてる?



この台詞が好き
「いろいろなことがあると思う。でも、自分を責めちゃだめだよ。ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。」
※ハードボイルド…非情。無情。無感傷的。冷めている。感情を押し殺し、表面に出さない。固茹で。(⇄ソフトボイルド…半熟)



〈ハードラック〉

「世界はなんていい所なんだろうね!」

「あのね、経験したことがないことを、わけ知り顔で語るのがすごくいやなんだ。あまりコメントしないけど、ごめんね 

わからないけれど、どういうことが起こっているのか、一応自分の目と耳で見たこと、感じたことについてはつかんでいることもあると思う。すごく言いたいことがたくさんある。だけど、それは口からはどうしても出てこないんだ。」

「誰にも、わかってほしいとも思わない。でも、優しくしてくれているのはわかるよ。」

「俺も君もついていないわけじゃないよね? この空気にのまれているだけだよね? 今はだめだね。でも、とにかく、今はだめだというだけだよね?」

「冬の星は誰と、いつ見上げても決して変わらないでそこにある。変わってゆくのは私だけだ。」


吉本ばななの物語を読むと、ゾーンに入るというか。
自分がその世界に行ってしまう。現実の世界、周りが全く視界に入ってこなくなる。いわゆる、引き込まれる。だから、疲れていて癒されたいとき、現実を見たくないとき、頭がいっぱいいっぱいで何かに没頭したい時、一度現実から離れてみたいとき、に読むのに合っている。
語順が、正しくないので理解するのに時間がかかることがある。
その正しくない語順が物語の味を出しているのかな。
私はその正しくない語順と、言い回し、思わぬ!マーク、句読点(特に「、」)の使い方、台詞の言葉、長ったらしい台詞、彼女の物語に出てくる登場人物、がすごく好きだ。
吉本ばななの物語は、純文学にも分類されることを最近知った。
言葉や情景の表現、登場人物全てが美しい。
やはり、彼女の物語が本当に好きだと改めて思い、彼女の物語は、彼女の独特の世界がある、他の何にも変えられない、唯一無二の、一つの文学だと思った。
私にとって吉本ばななは、特別な小説家だ。

次はエッセイも読みたい。
彼女は一体どんな人生を歩んできたのかな。

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2019年11月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ちょっとスピリチュアルな「ハードボイルド」と、脳出血を起こした姉が脳死になり亡くなっていくまでの、残された者たちのこころのありようをやさしく、哀しいことばで包み込む「ハードラック」の2編。
「ハードラック」が特に好き。
大好きな姉が亡くなることを主人公が受容していくその過程が、簡単だけど深いことばで綴られていく。
吉本ばななの作品は、言葉の宝庫。なんということもない、エピソードも音もなく降る優しい雨のように、心にしみこんでくる。
だから、読み終わったあとは、本を閉じてそっとため息をつきたくなるのだ。

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2017年07月30日

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