あらすじ
ニューヨーク・タイムズを初め各メディアは連続狙撃犯の正体は自殺したヴェトナム戦争の名狙撃手だと報道したが、ボブは毅然と異を唱える。最大の理由は異常なまでに正確な狙撃精度だった。被疑者が持っていた旧式のスコープで、ここまでの精密射撃は不可能だった。それを可能にするのは超小型コンピュータ内臓のハイテク・スコープ〈iSniper〉だけ・・・。ボブはその製造販売会社の実地講習会に潜入することを決意する。スナイパーの精髄を描破したシリーズ空前の傑作!
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Posted by ブクログ
ボブ.リー.サーガのシリーズ最新作は、原点回帰でスナイパーに徹頭徹尾拘った傑作であり、前々作で赤穂浪士のサムライになってしまい、前作では単なる親になって、少々脱線して黄昏て終わった感のある主人公が、まさしくスナイパーとして蘇ったのが本作である。ただし、とうに60を超えた年なので、流石にドンパチは少なく見せ場は絞られている。スナイパー同士の戦いは心理戦を含めたチェスの様で、ハイテクを老獪な経験が上回ることを示しているが、少々、ギャンブルが過ぎるか。また、最後の西部劇の決闘シーンは、父親のアールばりのガンファイト。すべてが収まることろに収まる終わりで、でもボブは根っからのスナイパーで、どこにいるのか誰にも誰にも知られてはいけないのだ、とする結びが最高。次回作も期待したい。
Posted by ブクログ
ベトナムにおけるヒーローと旧知のFBIの執行官になすりつけられた汚名を灌ぐためボブ・リー・スワガーが巨悪に対してたった一人で動き出す。そもそもの4件の狙撃の目的は何か、そして、事件の背景に何があるのか。この聡明にして凄腕のスナイパーが海兵隊の伝を頼りながら核心へと迫ってくる。そして、彼の鋭敏な知性により、事件の背景が浮き彫りになり、その決定的な鍵となる証拠を求め、単独で敵陣に潜入を決心する。彼が立ち向かうのが、最新鋭のハイテクスコープにより秒角の精度で射撃を身に付けたSAS崩れの私的傭兵であり、荒野での戦いは男臭さ満載のガンノベルとなっている。スティーブン・ハンターのボブを主人公とした小説は、「極大射程」「狩りのとき」を読んではいたが、本作品の前2作を読んでいないので何かと辻褄を理解するのに時間がかかるのが玉に瑕。
Posted by ブクログ
悪くは無いんだけど、イマイチスピード感が足りないってゆーか、物足りなさが残るんだよな。少なくとも極大射程のインパクトには程遠いな。展開が安易で説得力も乏しく、妙に説明じみたセリフが多い。このシリーズ自体に限界が来ているのかな。そんな印象を強く受けた。多分もうスワガーシリーズは手に取らないであろう。
Posted by ブクログ
スナイパーによるスナイパーライフルだけの戦い。
あまりにも克明で坦々とした描写が、
まるで映画のひとコマひとコマをじっくり見ているかのような臨場感を生んでいる。
(この作家さんは映画評論本も2冊出していると知り納得)
傍目にはほとんど動きのないシチュエーションが多く、
ともすればつまらなくなりそうだが全くそんなことはなかった。
登場人物の動きが少ないことに、読み終わってから気付いて驚いたくらいだった。
主人公ボブ・リー・スワガーの兵士らしい冷静な思考がそれを助けてもいるが、
たまに見せるかっこいいおじさんの部分も良く、愛着が湧いてくる。
文章の読みやすさという点では、正直直訳が多く感じられ読みにくいところもある。
しかし、アメリカらしいジョークやネタがより強調されて面白く感じられた。
特に上巻の12節ラスト
「自分がそんなことを言いだすとは信じられなかったが、言ってしまったものはしかたがない」
のくだりは、にやにや止まらなかった。
下巻47節の途中、ジミーとレイモンドのかけあいも印象に残っている。
翻訳が読み辛いから原本を読むんじゃなく、
ジョークなどの生の表現を読んでみたいから原本を読みたいと、初めてと思った。