【感想・ネタバレ】カフェでよくかかっているJーPOPのボサノヴァカバーを歌う女の一生のレビュー

あらすじ

ミュージシャンを目指して活動するも芽が出ないまま35歳になった女が、枕営業の末、インディーレーベルプロデュースのJ-POPのボサノヴァカバーCDのなかの一曲を歌えることになったが……。いい年して夢を捨てきれず、サブカルにまみれて自意識ばかりが肥大した、残念な20代、30代男女の肖像をシニカルな筆致で描く連作短編集。

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痛い……とにかく痛い!表題作の他「ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園」「空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋」など、タイトルだけでも心にグサグサ突き刺さる短編集。
誰でも20代までに一度は何かやらかした過去があるのでは…?例えば、改行だらけの自作の詩をブログにアップしたことは?一字も書いていないのに作家志望を名乗ったことは?セクシャルマイノリティの知り合いを作りたがって夜の街を徘徊したことは?……心当たりは少なくないハズだ。
夢を持つこと、他人と違う自分を追い求めることに憧れても、実現のためには相応の努力とある程度の謙虚さが必要だと思い知らされる。とはいえ、自身を客観的に見つめなおすことができた時、人は成長できるのかもしれないし、けっきょく「フツウ」になってしまうものなのかもしれない。

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ネタバレ

サブカル敗戦宣言

90年代までのサブカルが完全に00年代に負けたことをしっかりと、描いた作品。

ライターとしても面白い直角さんの素直な感想だと感じる。。。

オタ文化が勝って、もう、サブカルって言うのがもう無いですよーって大声で言っているので、サブカル残党の方々は早く撤収すべきです。

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2014年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

内容というか、だいたいのイメージはタイトルを見ただけでなんとなくわかるんじゃないかと思う。
「ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園」
「空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋」

表題作でクウネルまでネタとして取り込んでしまうのはすごいなあと思った。「有名になりたい 手段は選ばない」と主人公は言うが、両者は遠いようで意外と近いところにあるのかもしれない。「カーミイが冬に向けて欲しいアラジンのストーブ」なんてクウネル女御用達のアイテムだし。

バンプオブチキンに憧れる男の子の作る詩や、お笑いオタクの男の子のお笑い論とか、過剰なほどの「らしい」言葉の数々。サブカルクソ野郎の自意識をこれでもかというほどに揺さぶってくる。なんというか、意地悪。でもラストの「口の上手い売れっ子ライター/編集者に仕事も女も全部持ってかれる漫画」(この身も蓋もないタイトルが全てを表している)の主人公は、何もかも失った後に自意識をかなぐり捨てて、新人ライターとして再出発をはかるさわやかな結末だ。

「サブカルクソ野郎」と書いたが私は自分がサブカルクソ野郎なのかどうか今ひとつわからない。私の趣味はややサブカル寄りで「サブカル女子」みたいなコラムを見ると好きなアーティストや作家やお笑い芸人の名前なんかが結構出てくる。だから自分にとってサブカルって何だろうって考えることはよくあったんだけど、この本を読んで少し自分のことを考えてみたら、なんかいろいろ自分の心の暗黒面を思い出してもんにょりした。自意識とは何か考えさせられる本です。

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2013年10月15日

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