あらすじ
書けなくなった作家の女と、5年前に消えた最愛の人。そして、殺人事件の加害者を家族にもつ青年。孤独な魂が惹かれあうとき、この世ならざる景色が見える――。直木賞作家の新境地!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久々に没入体験ができた
過去の人を何度も何度も反芻しながらも、目の前の人との不確かな関係性を続けて、ファンタジックなシーンもあり浮遊感があるというか、不思議な時間の流れ方をしていた気がする
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【あらすじ】
五年ほど新しい作品を書けずにいる小説家の紗文は、知人の紹介で、東京に出てきたばかりの創という若者を家に泊めることになった。創は、殺人事件の加害者を母に持つ素性が周囲に知られ、住む場所も職場も失っていた。人当たりのいい創との共同生活は順調だったが、紗文の周りで常識を超えた不可思議な現象が起こり始めて――。
<誰かを無くす、ということは、その人の声を失くすということ。>
『荷物の多さって、どれだけ自分以外の人のことまで考えられるかっていう表れなんだよね。』
『四十歳を目前にして、いっそう自分がなんのために生きているのか分からなくなっていた。子供が欲しかったわけではないが、ある程度、日常の中に逃れられないタスクや使命があったほうが生きる理由にはなったのかもしれない。』
→この文章を読んで、生きたいと思いたくないから私は子供が欲しくないのかもと思った。
『愛とは我を忘れて恥をかけることだと思う』
『高校時代に母親が父親と無理心中したことを告げる電話が警察からかかってきたとき、私がなぜか少し笑っていて怖かったと、後になって女友達が遠慮がちに口にした。
あのとき笑ったのは、そうしないと自分があまりに傷ましく惨めだと思ったからだ。
それ以来、私はあまり笑わなくなった。』
『青野さんと出会って、私は家庭の役割を理解した。帰る場所があるからこそ、心揺さぶられるような挑戦も経験もできる。家とは、本来、世界に対する安心感を思い出させる場所なのだ。』
『過去の恋愛でもよくやった、無駄な過ちをまた繰り返していると気付いた。こちらから一方的に与えておいて、返って来ないと失望してしまう。これはたぶん家庭環境で身についてしまった私の弱さだった。』
→こちらが一方的に与えておいて、返ってこないと失望してしまう。まさに私の弱いところを突かれていて読んでいて「うっ、、、」っとなった。
【個人的な感想】
島本理生さんの作品はリアリティがあるところが好きだったが、今回の作品は常識を超えた不思議な現象も描かれていて意外だった。今回は年下の男性との恋愛を描いていて意外だった。
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これほど切ない恋愛小説を読むのは何年ぶりだろう。
もししたら島本理生さんのナラタージュ以来かもしれない。 いまさら恋愛小説を読んだところで、という思いもずっとあった。
アラフォーの女性と青年の甘過ぎず、お互いを想うあまりにぎこちなくなる不器用な恋。
きれいな恋愛小説ではないかもしれないけど、僕には心地よかった。
感想を書けば書くほど自分の恋愛観を曝け出しそうだから、ちょっとこれくらいにしとくね。
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辛い体験を乗り越えられず停滞した日々を送っている時に、若い清潔で素直な異性がやってきて癒してくれる。そんな都合のいいことがあるもんかと思わないでもない。亡くなった思いびとの足跡を辿る旅だというのについてきてくれるこの男性は、何を感じているのか分かるようでわからない。
悲しみからの回復の過程で超常現象のようなことが起こる展開も、唐突で気味が悪いようにも思う。
でも結局はこれくらい辛かったら、甘やかされて回復するくらいはいいんじゃないかと思った。だから星4つ。疲れてんのかな、私も。
Posted by ブクログ
本を教えてくれる人がいない分、自分の意のままに選んで出会う景色は常に新鮮な展開に彩られていて、飽きることはなかった。小説を読み続けている自分を代弁していると思う。年上女性と結婚したわたしにとって共感する部分や新たな発見、気付かされる部分もあり勉強になりました。
Posted by ブクログ
他人が持つ自分にない価値観……なんて表したら陳腐だけど、他者にびっくりするくらい傷つけられたり、びっくりするほど癒やされたりする。そういう人間や人生の営みが克明に、じっくりと書いてあって、作家の本気ぶりを感じた。
昔の恋愛小説も好きだけど、これはこれで、今だからこそ書ける作品なのだろうなと感じた。
Posted by ブクログ
島本さんは大好きな作家さんの1人です。
お互いに家族にまつわるトラウマを抱えた、40歳の独身女性作家と青年の物語。
読み始めは創が主人公を好きになるところに感情移入ができなかったけれど、青野さんからの手紙にあった
与えられていないのに与えられる人
というところが繋がってくるのかな??
人それぞれ異なる心の弱さを書かせたら右に出るものなし!だと感じます。
あと状況は全く違えど共感を呼ぶ描写力にも毎度驚かされます。
呪いは祝いには勝てない、という言葉が印象的でした!
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この小説はうまく言葉で表そうとしなくてもいい気がする
紗文が幸せになるために少し遠回りしたり寄り道したりとするところをみることができて幸せだったよ
ありがとう島本先生
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創と紗文の二人暮らしの軌跡。傷を負ったふたりが、少しずつ心を開いて、言葉足らずな部分や配慮に欠けた部分のあること、そして急にいなくなること、そんな軌跡が描かれていた。島本理生さんの美しい描写と、読者の想像に任せる部分相まって作品が素敵に描かれている。宗教信者2世、加害者の家族として、どんな心情になるのかが、色濃く描かれ、少しハッとさせられる本だった。
p.71 うん。そうしたら、隣にいた年上の女の人がリュックから充電バッテリーを出したの。予備も含めて二つ持ってるからって貸してくれて。そのときに思った。荷物の多さって、どれだけ自分以外の人のことまで考えられるかっていう表れなんだよね。私はその女性に分け与えられる物を持ってなかった。絆創膏とか食料とか生理用品とか。
けど、彼女は全部多めに持ってるから頼ってねって笑ってた。震災の翌年だったから、余計にちゃんと常備してたみたい」
p.174 創が当たり前のように言ったので、私は絶句した。やはり川名君とは合わないと痛感した。悪い相性とは、言われたくないことを言って、言ってほしいことを言わない者同士のことだから。
p.189 生前、仲良くしてくれていた女性が、名前のある方だと知って、私もお父さんもびっくりして。分かって、本当に良かった
p.236 ここ数年は特に、先の不安ばかり考えすぎてしまっていて」彼女は、そうですか、と相槌を打って
「そういえば最近、有名な占い師の方に仕事でお会いしたんです。そのときに占いでどうして未来が予知できるのかと尋ねたら、意外と明確な解が返ってきたんですよ」という話を始めた。
「どんな解だったんですか?」と私は訊いた。
「占いを通して叶えたい未来を無意識に自己決定することで、おのずと人は具体的なビジョンと計画性を持って無駄なく進めると言うんです。だから、べつに魔法みたいな話じゃないし、叶う確率が高くなるからこそ、強迫観念や否定的なことを持ち込んではいけないっていうお話でした
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3.7
終わりは良かったものの、途中いろいろと???と難しかった
イギリス行ってからが一気に流れすぎてびっくりした(笑)
創くんはまだまだ知らないことが多いけど、知ってさえいればきちんとできるし優しくできる人だなぁと
何事も、きちんと話し合うのが大事だね
Posted by ブクログ
犯罪加害者の母を持つ青年と、精神を患い自殺した母を持つ作家の女
2人で暮らすことになり、年齢差を超えてお互い惹かれ合うようになる
2人とも傷つきすぎていて、救われることはないように思われる中、この出会いが奇跡を起こす
単純な恋愛でも同情でもない、2人にしかできない生き方の共鳴が切なく描かれていた
心を掴まれた
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不思議な世界をたゆたう。大きなテーマがたくさん出てくるのに、ずっと同じくらいの温度で、でもすごく美しい文章が羅列している。浮世離れした話なのに、なんだかすごく人間らしくて、目を背けたくなった。
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書けない作家と宗教二世、面白い組合せ。
でもありそうで現実的なのに、スルッと入るファンタジー。
境目が微妙で絶妙。
audibleの語り手は聴きやすく色気もあって作品の雰囲気に合っていた。
Posted by ブクログ
タイトルと装丁に惹かれて手に取った。何処からが現実で空想なのか分からなくなるところがいくつかあり全体的に薄い色彩の映像を見てるかのようだった。
創(ソウ)って何か天然記念物みたいな人だなと思ってたところ、中盤でスマートフォンを手にして「やまぎしだ」と学生時代の先輩の名前を呼び捨てで呟く場面で急に親近感湧いた。
Posted by ブクログ
作家が殺人事件の加害者の息子と出会うことから始まる物語ということで、事件絡みの話かと思い読み始めたが、全く違っていた。
これは恋愛小説になるのかな?
恋愛小説ともちょっと違うな。
殺人事件の加害者を母に持つ青年と最愛の人を突然亡くしてしまい、書けなくなってしまった作家。
過酷な過去や生い立ちは、現在も未来も縛り付けてしまう。
とても辛い過去を持つ2人の物語だけど、とても美しい風景がずっと頭に浮かぶ。
未来の希望を失いかけながらも、どうにか前を向いて歩き出そうとしている2人の姿が、美しいと思えるからなのだろう。
Posted by ブクログ
タイトルと書影の雰囲気、あらすじに惹かれて読んでみた。星評価は3.5の気持ち。
タイトル通り「ノスタルジー」や「後悔」といった、憂いの空気を感じられるものが好きな人は楽しめそう。
ただ、若干のファンタジーというかスピリチュアルっぽい要素はあるので、それを受け入れられるかで好みが別れる気がする。
創の大型犬のような可愛らしさと、時折見せるイラッとポイントの塩梅が絶妙。自分がどちらかというと紗文の年齢に近いのもあり、共感できる部分が多かった。
イギリスの果てまで行ったところは、なんとなくカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を思い出した。
それぞれの後悔に決着がついて、新たな一歩を予感させる爽やかな読後感も好き。
初の島本理生作品だったけど、文章の雰囲気が好みかもしれない。他の作品も読んでみたくなった。
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作家の紗文のマンションに母が殺人の勾留中に自死した青年・創が身を寄せることになる。2人の交流と過去と向き合う様子を綴った小説
唐突に日本の性的なものが嫌だという例を謎に小出しにしてくる作家らしいところがあるのに引っ掛かりを感じたのと、大人なのに拗らせてる感があって読んでて疲れるところもあった
創は純真かつカットモデルも頼まれるくらいのいい男として描かれており、性的な記述もあって、そういうのは女は対象にしたらダメだけど男ならいいのか?と疑問に感じた
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大切な人がいなくなり5年、書けなくなった作家の紗文、母が犯罪者だった創が、二人一緒に暮らす事になる。過去とか親が心の奥底にあり、どうしたら救われたのかずっと考えながら生きている。そして大切な人が訪れたイギリスへ旅をし、死者との分岐に立ち会う。これが幻なのか不思議ではあるが、この出来事があり吹っ切れたのだと思う。心に残る小説。
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とても不思議なお話
創と紗文は年齢は離れているけれど境遇がかなり似ているからか、紗文がどんなに大人として振る舞っていてもなんだか痛々しい共依存にしか見えなくて、、、
2人の関係が妙に危なっかしいというか、いつかどちらかがスーッ…っと消えてなくなりそうな細々とした感じがヒヤヒヤした。
所々、ファンタジー要素が入るのでちょっと???な部分もあるけど、そういうのもこの2人にしか分からない世界なんだろうな、と。
紗文はたぶんモテるんだろうけど川名さんみたいな、生命力がしっかりしてる人間とはたぶん上手くいかないと思う。
青野さんや創みたいな、いつの間にかふわふわと消えていきそうな生命力の薄そうな人間に惹かれるんだと思う。
でも青野さんが抱えてた秘密が…衝撃的で…汗
紗文は辛いだろうけれど前を向けてよかったと思う。
ただ、創と紗文は離れてはくっついてを繰り返していきそうだなぁ〜
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書けなくなった作家の元へ、殺人を犯し自死してしまった母親をもつ創がやってくる。複雑な過去をもつ紗文。「愛とは、なにか、一瞬の点滅のような、常に失われていく、ノスタルジアのようなものかもしれません」。
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愛する人がいなくなり書けなくなった作家の紗文と、殺人事件の加害者の息子である創が出会い惹かれる愛の物語。
現実にふっと紛れ込む並行世界に、静かな幻想感を味える1冊。
加害者家族である創がそれを理由に理不尽な目にあいながらも、年齢やステイタス・損得に左右されずに相手を見られるピュアさが、物語感を増している気がした。
紗文と創、二人が惹かれるのは、同じ痛みを抱えているがゆえに相手の欲するものを無意識に与えることができるからなのかもしれない。
「愛する」と一言にしても、何を愛と捉えるのか、愛情表現も愛する人に望むことも人によって違う。
お互いの熱量の差や、タイミングもある。
一瞬で過去のものになってしまう「愛」の儚さと、愛したがゆえに残ってしまう後悔や痛み、どちらも感じた作品だった。
Posted by ブクログ
書けなくなった作家の紗文と犯罪加害者の母を持つ創。年齢の離れたひょんなことから一緒に暮らすことになり、互いに惹かれ合うように。
二人とも壮絶な過去があるのに、それをさらりと語って一緒にいられるというのが、物語の中とはいえ単純にすごいなと思ってしまった。
途中、現実と空想を行ったり来たりするのもあって、どこかフワフワした気持ちで読み進めた。
個人的には創のピュアさが好きで、ずっとこのままでいて欲しいと思った。
Posted by ブクログ
島本理生さんらしい世界観の話だった。
人生でたった1人だけ本当に心から愛した人がなくなってしまった喪失感。
創と出会うことによって今までの気持ちや思いを生理して、新しい自分の人生を進んで行こうとする主人公の気持ちが見事に描かれていた。
題名にもなっているノスタルジアの意味が読み終わった後にわかった。
誰しも人生で一度は自分の全てを賭けて好きになったことがある、それはとても幸せで奇跡みたいなことなんだと思った。
Posted by ブクログ
殺人罪で判決を受け自殺した母を持つ創
小説を書けなくなった紗文
創が勤めていた会社に母のこと知られ会社に入れなくなり紗文とも繋がりがあった記者の川合くんから創がこちらにくると言われ住む場所を提供した
一緒に暮らして行くうちに次第に距離が縮み恋人となる
そして紗文は忘れられない恋人が最後に行ったイギリスに旅行に出ることにし創も一緒に行く
その時海辺で2人が別に会った人
Posted by ブクログ
久しぶりの島本理生さんは難解だった。
書けなくなった作家 紗文と、殺人事件の加害者を母にもつ青年 創。2人の人生が交差することで、不思議な現象が起き始める。
紗文と創がこれまで歩んできた道が、複雑で険しすぎて、気持ちを寄り添って読み進めることが難しかった。心の内を描写するのではなく、事象に合わせて読者が汲みとる必要があるので、集中して読まなくては取り残されてしまう。空き時間に少しずつ読んでいた私は見事に取り残されてしまった。
不可思議な体験がもたらしたラストに、希望の光が感じられてよかった。島本文学の新境地との評判だが、私の想像力では現実味が乏しくて、いっそ映像化して欲しいと思った。