【感想・ネタバレ】倒錯の死角 201号室の女のレビュー

あらすじ

覗く男と覗かれる女、究極の折原マジック。ベットの上にのびた恍惚の白い脚──男の妄想が惨劇を呼ぶ! ベッドの上に白くすらりとした脚が見える。向かいのアパートの201号室に目が釘付けになった。怪しい欲望がどんよりと体を駆けめぐる。あちら側からは見えないはずだ──屋根裏部屋から覗く男と覗かれる女の妄想がエスカレートし、やがて悪夢のような惨劇が。折原ワールドの原点ともいうべき傑作長編! (講談社文庫)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

プロットがかなり緻密。まさに折原マジック。まんまと騙されたが、これは気づけん。
そしてこの"繰り返される"っていう構成も面白いし、本書の雰囲気も好き。


↓トリックを少し整理

真弓がアパートに入居し、高野と不倫。大沢は真弓の写真を撮り、脅迫。
真弓は日記を記している。
その後高野が真弓を殺し、大沢はその死体を見ておかしくなる。

そしてその一年後、真弓の母ミサ子が真弓のアパートに"真弓"として入居。
若い女を狙う通り魔となる。
大沢は再び"真弓'を脅迫。(今回は写真はなし)
ミサ子は手記を書き直し、それを曽根が読み、写真(一年前大沢が真弓に送ったもの)を高野と大沢に送る。
大沢は叔母とネコを庭に埋め、自分が通り魔だと思い込む。
高野、罠にかかって(殺したはずの真弓から写真が送られてきたから怖くなってアパートに来た?)
"真弓"を殺そうし、ミサ子の夫に捕まる。

そしてミサ子は"真弓"として再びアパートに入居し、三度目のゲームが始まる...

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2021年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

倒錯のロンドも面白かったけど、こっちも普通に面白かった。

大沢視点で始まるから、屋根裏部屋が実は真弓にバレている、もしくはいつかばれるんじゃないかとかそんなことを意識していたけど、まったく問題ない感じだった。

後、叔母が病気で亡くなったのは予想できてしまったかな。まあ、それに対する大沢の行動関連はまったく予想できてなかったんだけども。

そして、真弓の母の真実には驚いた。そういうことだったとは…。まさに狂気。

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2013年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マミちゃん…そういうことだったか…
視点が入れ替わりながら進んでいく構成なので、何らかのトリックが使われていると予想してはいたが、母親が娘に成りすましていたのは予想外だった。

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2021年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2017年26冊目。
叙述トリックは好きだけど、これは今まで読んだどの叙述トリックものとも違う作品。最後の最後まで面白かった。
ただ、主にランチ休憩中に読んでたから色々辛かった・・。
個人的にはオススメミステリー作品に入るけど、これは好き嫌いがわかれそうかも。

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2017年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリーらしいミステリー・・・ぐいぐい!
にしては当たり前すぎて、へ~っと終盤までは。

だがしかし、あのオチのつけ方は!と驚愕。
うっかり睡眠を削って読み進めてしまいました。
折原さんの「倒錯~」シリーズ、マニア好みですね。

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2014年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロンドに比べ見かけることの少ない死角の方です。 折原氏お得意の複数人視点に日記視点を交えた非常にトリッキーに作りになってます。

日記を用いた時系列の誤認と母と娘のよる清水真弓の二人一役の叙述トリックである。
正直どちらもトリックとしては大掛かりすぎて中々飲み込みにくいものだろう。 というか通り魔するなら早々に大沢か高野も殺してしまいそうなものだが。 中々面白かったのは曽根の見た骨を埋めるシーンの誤認だが、結局は大沢の幻想という狂気的なトリックでこそ成立するので評価は難しい。
 最終的には曽根が一番まともで読者の気持ちを代弁するような存在になる。 それぐらい本作にはまともな人間がいなかった。

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2023年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

翻訳家の大沢の仕事部屋からは、向かいのアパートの201号室が見える。昔、この部屋で若い女性が殺される事件があり、その死体を大沢は窓越しに見てしまったのだ。それが彼のアルコール依存症の原因となる。
その部屋はしばらく借り手がなかったが、ある日また女性が入居してきた。
実は覗きの趣味がある大沢は、しばらく我慢していた屋根裏部屋からの覗きをまた始めることになり、それに伴い、入院して治療した依存症も再発してしまう。

201号室の地方から東京へ就職で出てきた若い女性の日記に綴られる日常や彼女の母親との手紙のやり取り、変態大沢の日記、それに加えて大沢と同じ病院に入院していたコソ泥の曽根。語り手は次々と目まぐるしく変わり、飽きさせない。昔の小説なのでセリフもレトロで面白いと思うときもあった(驚いたときに「ウヘッ」って言ったり)。

話が終盤に差し掛かると、あれ?あれ?っと何度も前のページの通り魔の記事を読み返したり、日記の日付を確認したりしたが、最後まで読んで『なるほど、そういうことか』と理解した。
娘の代わりを母親がやるというのは、いくら若く見える母親でも無理があるだろう!
でも、社会人一年目の女の子に対しての描写で、
成熟した腰つき、とか
化粧が濃い、とか
違和感を覚える描写はいくつかあったし、怪しい箇所には字の横に「、、、」がついていたりして、そりゃないよーっていう結末ではなかった。
読んでる間は先が気になったし楽しかった。

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2020年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

倒錯のロンドと同じで前半はとても惹きつけられ面白かった。
が、後半につれ、あれれ?

母親が娘の格好をして生活してるって無理ないか??
意外性はあっだが、なんとなく釈然としない終わり方だったし、これは叙述トリックと呼ぶのか??
といろいろ思うところはあるが、なぜか記憶に残るようなストーリーなのはさすがだと思う。

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2018年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ストーリーの展開は面白かったが、叙述トリックとはいえ、無理が有りすぎな気がする。
高野広志がなぜ一年後にここに居る?

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2018年04月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アルコール中毒で入院経験のある翻訳家、同じくアルコール中毒で入院していた窃盗常習犯、旅行会社に務める新人女子社員、この三人で視点を変えて語られていき、三人が交錯するストーリーは面白く、リーダビリティーが高い。叙述トリックで有名な作者なので、騙されないように注意しながら読んだが、トリックを見抜くには手掛かりが不足しており、設定にもいささか無理があり、真相自体はそれほど面白いとは感じられなかった。また、最後に袋綴じがあるのだが、その内容を読むとわざわざ袋綴じにする必要があるとは思えなかった。

(ネタバレ)
大沢芳男が清水ミサ子を若いOLに間違えたり、清水ミサ子が真弓と同じことを繰り返すという設定には無理があると感じた(大沢芳男も清水ミサ子も、精神的に異常であったということだとは思うが)。
真相を読んで、大きな疑問がある。
高野広志は、前年の9月30日、真弓を殺すために201号室にやってきたわけだが、次の年の同じ9月30日に201号室にやってきた理由がわからない。
どういう理由で、次の年の同じ9月30日に、高野広志は201号室にやってきたのだろうか?

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2018年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

巻末に袋とじがあり、面白そうなつくりになっている。
大沢芳男、清水真弓、曽根新吉の3人の視点で物語が語られる。
その中で一番面白いのはやはり大沢芳男の視点で書かれているものだろう。

大沢芳男は最初やや神経質だが普通の人間だったのだが、
徐々に徐々におかしくなってしまう。
大沢芳男自身もそれを認識しているのだが
それが清水真弓のせいであると逆恨みするようになる。

なぜそれが逆恨みだとわかるかというと
読者は清水真弓の視点で書かれてあるものも読んでいるからだ。

この2人の視点のボタンの掛け違いというかズレが、
ホラーじみた設定であるにもかからず
コミカルに印象をこの小説に与えるのだろう。

しかし、最後になって大沢芳男が見ていた清水真弓は
清水真弓ではなく、彼女の母親の清水ミサ子だと分かる。
つまり推理小説としてみると
「探偵=清水ミサ子」「被害者=清水真弓」「犯人=高野広志」となり、
めでたしめでたしなのだが、
そこでやや引っかかる部分がでてくる。

そう、つまり大沢芳男が感じていたのは被害妄想なのではなく、
本当の被害だったのだ。
それを考えると本当の被害者は大沢芳男であり、
清水ミサ子は探偵ではなく、
犯人であるともいえるのではないだろうか。

作者もそれを意識しているものと思われる。
なぜなら袋とじの部分に
清水ミサ子の気がふれている様子が書かれてあるからだ。

ただその部分は正直蛇足。
清水ミサ子がおかしくなっていることを
わざわざ袋とじにしなくても、その前に彼女が真の探偵ではなく、
犯人の要素も含んでいることが分かっているからだ。

前作の倒錯のロンドもそうだったが、
最後の最後でひっくり返そうとしている部分が
逆にやりすぎな気がしてならない。
もう少しシンプルにしても十分面白いと思うのだが。

とはいえこの清水ミサ子のキャラを
ここで強烈に打ち出しておくことで、
次の「倒錯の帰結」へつなげようとしているのかもしれない。

そういえば倒錯のロンドで出てきた山本安雄が
退院後住みだしたのは、東十条のアパートの203号室とあった。

清水真弓(ミサ子)が住んでいたアパートの203号室には
老人夫婦が住んでいるとある。
ということは山本安雄のと
清水真弓(ミサ子)のアパートは別物なのだろう。

どうせ203号室の老夫婦なんて
ストーリー上に何の関係もないのだから、
せっかくなら同じにしておけばよかったのに
と思うのは私だけではないだろう。

いや、203号室に老夫婦が住んでいる
といっているのはおかしくなっている大沢芳男であり、
実際は誰もその姿を見ていないのだから…
と、そこまで考えたところで先ほどと同じ感想を持つことになる。もう少しシンプルにしても十分面白いと思うのだが。

その後「倒錯の帰結」を読んで
203号室の老夫婦は山本安雄の両親だったとわかった。
なんだ、考えすぎて損した…

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2022年09月30日

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