あらすじ
円城塔デビュー20-1周年記念ファンタジー大作
魔術都市ミスルカラを支配する大魔術師のノーシュ・アレグラは、魔法が使えないソウルレスの弟子エスノダのために世界中の魔術を消去することを宣言、自由都市連合軍と熾烈な戦いを繰り広げた末に地下迷宮の奥に閉じこもる。魂と世界の在り処を探る15篇の連作
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
大きく3章に分かれた、15篇からなる連作短編集。異世界ファンタジーにはあまり触れてこなかったこともあり、自分の想像力の限界を感じ、序盤はなかなか読み進められなかった。
後半に差しかかると、物語は少しずつ収束し始める。「設定」を逆手にとった壮大なメタ。そこで初めてこの作品の構造の面白さに気づき、始めからもう一度読み直した。
最後には、このややこしく、こんがらがったこれまでの物語は、試練だったのだとわかる。
一緒に最終章への突入を果たした読者にしかわからない。本物の、飛び出す本だった。
大真面目にルラィ・ララララスドなどという名前の人物が登場するセンスも好き。
Posted by ブクログ
円城塔作品は未体験(『屍者の帝国』を除く)
今井喬裕氏の表紙イラストに、まず惹かれて。
そして、「円城塔、ただの書物からついに魔術を取り出す。」のキャッチコピーに惹かれて。
なんだなんだ、どういうことだ、と……。
読み終わってみると、確かに確かに。魔術の顕現を垣間見た気分でした。というか、自分自身が…。
正直分からない部分も多々ありましたが、この書籍自体だけでなく、他の数多ある小説の祝祭にもなるような終わり方は謎の感動を得ました。
エスノダの言葉がいいですよね。「わたくしは、ノーシュ様と共におります」「お話の中に。それで充分ではありませんか」
メタフィクション構造ですが、設定の甘さを突き合う魔術戦というのは実に面白かったです。
というか、魔術自体を『設定』としているのがね。
2章目まで、代わる代わる色んな登場人物の色んなお話を読んできたんですけど、考え込まれた叙事詩だなあとか思ってたら!
フィクションの捉え方がすごい。
最終的に、ページをめくる自分達へ物語の終焉が波及して、ノーシュの目的が、愛する(でいいんですかね)エスノダを読み手に重ねることによって魂を付与する、というところに帰結し……ただ、それは別の人物に投げられて、達成できないわけなんですけど。
読み手との転移、となったら、この世界には何人もの転移者がいて、それはやっぱりミミモマニが言う通り、別に一人の人間が一人でいられないというわけはないということに????
それは置いておきましょう!
登場人物たちが手を振ってくれている。
書物を開けば、いつも、みんなはそこにいる。
それだけで充分な気がします。