あらすじ
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昭和二〇年八月六日、広島は雲ひとつない快晴だった-東京の女学校に通う十五歳の珠紀。戦争の影が濃くなるなか、友人たちは次々軍人に嫁いでゆき、珠紀は従弟の担任教師と結婚する。だが突然、夫は軍に志願したため、二人で過ごせる時はたった一週間しかなかった。珠紀は姑と暮らすため広島へ移り、やがてその地で運命の日を迎えることに…。少女たちの目から原爆を描き話題となった名作。
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Posted by ブクログ
再読。投下の瞬間を詳しく描かないことで、かえって大きな喪失が迫ってきます。
史郎が原爆投下で喪われ、市岡先生も実は鹿屋「に」ではなく鹿屋「を」立つだったんじゃないかと思ったりします。どちらも、最期に珠紀に会いにきたのだと。
出来るだけキラキラとした日常を送っていても、戦争の影はひたひたと迫ってきて、終戦近くにもなると空襲という牙を剥いてくる。
どちらが先とかではなく、こうの史代さんの「この世界の片隅に」とも似ている物語世界だと思いました。空襲の描写、長野さんも色遣いが特徴的でしたし。
珠紀はきっと広島市といっても海側の中心部からは離れた内陸部にいて、すずがいるのは呉。原爆投下は光と振動だけで、、
焼夷弾、油が降ってくるのは薄っすら存じていましたが改めて怖い兵器です。白く烟るように降る雨の如き激しさで。。
長野さんのあとがきでいつも長野さんのお父さまのことを考え…母方の祖父の弟の事も思い出してしまいます。叔父は8月9日に長崎にいました。幸いなことに生きて帰ってきたのでそれから長生きしてました。もしかしたら叔父も、何も語れず(語らず)いたのかなと思います。叔父一家だけかなり離れたところで暮らしていたのでほぼ会ったことがなく、そんな話する機会もありませんでした。
こうやって、先の大戦は遠くなりましたが、こういう作品を読んで反戦を染み込ませていくのは続けていきたいです。
Posted by ブクログ
夏なので夏っぽい長野まゆみ作品を再読しようキャンペーンそのご。今他に読みかけが2冊ほどあるけど、これは日を選んで読んだよ。
久々すぎてほとんど話憶えてなかったんやけど、改めて読んだらめっちゃおもしろかった。こういう時期のこんな日常がこんなに語られるのってあんまりないんじゃないのか?いや戦争モノ好きじゃないけんあんまり読まんくて知らんけど。
一番衝撃やったのは、特攻隊員進発の記事が女性たちに嘆きや悲しみ以上の興奮を与えたっていうところ。興奮てどういう興奮なんやろか。こんなの語られることないんやろうけど、戦争ってわたしらに知らされん一面が絶対あったはずよ。
6日の描写もあっさりしているようですごくドラマチックで素敵ですよ。それから、夫も史郎も会いにきてくれる珠紀はみんなに愛されているなあと思う。
でも、史郎せつないのうーーー
Posted by ブクログ
河出文庫は昔のサラサラとした手触りの表紙の方がよかったなぁ。
表紙の淡い色彩によく合ったろうに…と思ったり。
あからさまには書かれないことへ思いを馳せて、しみじみと哀しく。
序盤の少女特有のきららかさが好ましかっただけに余計に。