【感想・ネタバレ】白い人 黄色い人のレビュー

あらすじ

第2次世界大戦中のドイツ占領下のリヨンで、友人の神学生をナチの拷問にゆだねるサディスティックな青年に託して、西洋思想の原罪的宿命、善と悪の対立を追求した「白い人」(芥川賞)汎神論的風土に生きる日本人にとっての、キリスト教の神の意味を問う「黄色い人」の他、「アデンまで」「学生」を収めた遠藤文学の全てのモチーフを包含する初期作品集。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

遠藤周作のイメージが変わった。信仰についてハードコアに突き詰めた作品。

白い人 

舞台は第二次世界大戦中のリヨン。不器量な容貌で厳格な親のもとに育ち、抑圧された主人公は女中が犬を折檻しているのを目撃してサディズムに目覚め、アデンで少年を襲う。
学校に入ってから、神学生に心酔する女生徒の下着を盗み、舞踏会に呼び出して踏みにじる。
自らの異常性を隠し善良な天使を母の前で演じ続け、母の死を見届ける。
かつて自分が踏みにじった女生徒と神学生が教会で信仰の道に生きているのをのぞき見ると、フランス人であるにも関わらずナチスに入隊し拷問に明け暮れる。

あの神学生がナチスに囚われ、自分の担当となると、彼とともにいた女学生も捕えてきて神学生に自白か女学生への乱暴かどちらかを迫る。

自室に女学生をつれこみ、神学生の身の危険をほのめかしながら
乱暴する。神学生は拷問の末、教えにそむいて自殺し、女生徒は発狂する。

主人公は言いようのない悲しさを覚えるのであった。

「黄色い人」

第二次世界大戦中の神戸。教えに背き不倫をし白眼視される神父は、自らの罪に苦しみ続ける。出征中の婚約者を裏切って内通する主人公。拳銃を隠し持っていることを警察へ密告し、家宅捜索に合う神父。「なむあみだぶつ」と唱え、すべてをあるがままに呑み込んで半ば自堕落に暮らす人々。

0
2012年08月15日

「小説」ランキング