【感想・ネタバレ】福家警部補の再訪 福家警部補シリーズ2のレビュー

あらすじ

しがない探偵から転身し上昇気流に乗った警備会社社長、一世一代の大芝居を自作自演する脚本家、天才肌の相棒と袂を分かち再出発を目論む漫才師、フィギュア造型力がもたらす禍福に翻弄される玩具企画会社社長――犯人側から語られる犯行の経緯と実際。対するは、善意の第三者をして「あんなんに狙われたら、犯人もたまらんで」と言わしめる福家警部補。百戦不殆のシリーズ第2集。著者が刑事コロンボに寄せる熱い想いに溢れた、4編を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 大倉崇裕さんの『福家警部補』シリーズ第2作。全4編中3編は、100pに満たない手頃な長さであり、その分切れ味が鋭い印象を受ける。

 「マックス号事件」。強請られたから殺すという単純な動機と、航行中のクルーズ船内という現場。なぜか福家警部補が乗船していたのが、運の尽き。このシリーズには珍しい動かぬ証拠を突き付けられ、観念するしかない真犯人であった。

 本作中唯一100p超えの「失われた灯」。売れっ子脚本家の一世一代の大勝負とは。これまた強請られたから殺すという単純な動機だが、偽装工作が凝りすぎていて脚本家らしいというか、最初から無理があるような。被害者の職業設定が、意外な形で真犯人の足元をすくう、とだけ書いておきましょう。

 「相棒」。落ち目の漫才コンビの一方が、再出発を目論み相棒を殺害した。お笑いコンビの解散は現実にもよく聞くが…なぜ殺す??? いくら作り話とはいえ、福家警部補の追及がさっぱり頭に入ってこない1編。

 「プロジェクトブルー」。フィギュア造形を手掛ける会社社長の、過去の秘密とは? 最後にまた強請られたから殺すパターンだが、マニアックなフィギュア造形の世界だけに、足が付いた理由もマニアックでしたとさ。

 全4編、真犯人の職業設定や舞台など凝りに凝っており、贅沢なネタ揃いである。最初に切れ味が鋭い印象を受けると書いておいて、矛盾するかもしれないが、勿体ないネタの使い方という気もしないでもない。

 このシリーズの評論によく挙げられる『刑事コロンボ』シリーズをちゃんと見たことがないのだが、ヨレヨレのコート姿というコロンボの印象は強烈だ。内面は描かないとしても、福家警部補にも見た目のインパクトがあればなあ。

 シリーズを逆に読んでいるから、こんな勝手な考えが浮かぶのかもしれないが、自分は思う。もっと認知されてほしいシリーズだ。

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

福家警部補二作目。

あー、そういえばコロンボ警部でも客船に乗ってた話があったなー。
福家警部補と違って密航者ではなかったけど。
奥さんと一緒に乗っていると言っていたから、
いつか奥さんが登場するのではないかと心待ちにして見ていたのに、
結局登場しないまま下船していたっけ。

コロンボ警部と古畑任三郎を同列に語るのは心苦しいが、
明石家さんまが水差しと花瓶を間違えた弁護士役をやってたなー。

ちらちらとそんなことが頭をよぎりながら、
福家警部補にも慣れてきたのか、前作よりちょっと楽しめてきた。
ところところで、誰かを勇気づけたり、小悪党をやっつけたり。

それにしても、徹夜で捜査を続けて、
映画オタクでフィギュア好きで、演芸場にオールナイトで漫才を見に行って、
いつ寝てるんだろう福家警部補は。

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2020年11月18日

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