あらすじ
きらめきに満ちた、高校生の一日限りの冒険
第40回織田作之助賞、第74回芸術選奨文部科学大臣賞をW受賞!!
青春小説の新たな名作にして、第169回芥川賞候補作。
修学旅行で東京を訪れることになった高校二年生の「僕」、佐田誠。
誠は、スクールカースト上位の大日向やクラスの人気者の小川楓から、いつも余りものになってしまう男子たちまで、奇妙な七人がそろった「三班」の一員となった。
東京修学旅行では、このメンバーと二日目の自由行動をともにすることになる。
皆が東京で行きたい観光地の名を提案し合うなか、誠にはどうしても行きたい場所があった。
それは生き別れになった、大好きなおじさんの住むところ。
彼らは自由行動の一日を使って、先生たちにも秘密の小さな冒険に出ることに。
道中のきらめく景色とささやかな会話が、やがて誠たちのかけがえのない一日に満ちてゆく。
高校生たちの生の輝きを捉え多くの人々の胸を揺さぶった、青春小説の傑作。
【絶賛の声、続々】
あやうく落涙するところでしたよ。
――川上弘美さん(作家・芥川賞選評より)
胸がじんじんして、家の中を歩き回ってしまった。
――堂園昌彦さん(歌人)
数多ある青春小説の名作と並べてもまったく見劣りしない。
――吉田修一さん(作家・芥川賞選評より)
小説を読む喜びが、ことばにも、ことばのすきまにも、詰まっている。
――いしいしんじさん(作家)
傑作。衝き動かされ、日野市へ行ってしまった。この小説と自分の肉体を、つなげたいと思った。
――古川日出男さん(作家)
魅了されている。誠たちの生きる世界のめくるめく目映さに。
――大塚真祐子さん(文筆家・元書店員)
単行本 2023年6月 文藝春秋刊
文庫版 2026年4月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
高校2年生の修学旅行。班決めの日に仮病を使って休んだ佐田には、修学旅行の自由行動の時間に訪れたい場所があった。どう決まったのかはわからないが、班員はなぜか好きな者同士、とは程遠いメンバー7人。佐田以外の6人は佐田が日野を訪れたい、と言い出したことに呆れたり、困惑したり。
雑多なメンバー7人の織りなす会話が面白い。それぞれのキャラクターが立っているからだろうか、飽きずに読める。ト書きは佐田が後日談としてパソコンで入力して振り返っている構成。これも面白い。
でもなによりも、読んでいて、あ〜、こういうのもう一度味わいたいなぁと思う高校生のリアルと甘酸っぱさがノスタルジックである。きっとこの冒険は、修学旅行の後、この7人によって表立って語られることはないだろう。でも、この7人の中で、不思議な繋がりや仲間意識は永遠に続いていくんだろう。そんなことを勝手に想像しながら本を閉じた。名作。少なくとも私にとっては。
Posted by ブクログ
主人公をはじめ素直に自分を表現できない登場人物たちが、修学旅行の一日の中でささやかな冒険、かつ奇跡のような経験をする。それを愛おしみながら綴る主人公の姿に胸を打たれる。
Posted by ブクログ
皆それぞれ考え方がバラバラで、友達というわけでも無いけど、共通の目的を通して、協力し合う。ベタつきすぎず、あっさりとした旅の道連れ感が良かった。大日向君みたいに明るくやっている人でも、思うところはあるもんなんだな。
Posted by ブクログ
前半の修学旅行の準備パートはちょっと読みにくい感じもあってそこまででもなかったけど、後半の旅行当日パートがすごく良かった。
特に何が起こるわけでもない大冒険を通して、特に仲が良いわけではない寄せ集めグループの距離が縮まっていく感じが良かった。
Posted by ブクログ
著者後記を読んでやはりと思ったが、この小説は主人公である高校生が修学旅行のレポートを書いた設定なのでプロらしからぬ文章になっていて、しかも4人の会話がかなり占めるため読みにくい。
なのに、たまたま一緒の班になったメンバーが高校生らしく斜に構えたり、異性にときめいたり、小競り合いをしたりする様がとてもよいアオハル小説だった。
絶妙な短編なのも良い。
第40回織田作之助賞、第74回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。第169回芥川賞候補作。「青春小説の新たな名作」とのことですが、私には最初は作者の文体に慣れなくて読み難い作品でした。
修学旅行の自由行動の日の冒険というか、ささやかな行動を青年の目で書いたストーリーです。
Posted by ブクログ
乗代雄介『それは誠』文春文庫。
第40回織田作之助賞、第74回芸術選奨文部科学大臣賞のW受賞作にして、第169回芥川賞候補作にもなった作品のようだ。
表題作の『それは誠』の他に『Sに』という掌編が収録されている。
乗代雄介の作品は過去に『本物の読書家』『旅する練習』の2作を読んでいる。『本物の読書家』は自分にはしっくり来なかったが、『旅する練習』は不思議な魅力のある作品だった。
さて、まずは表題作の『それは誠』である。高校2年生の佐田誠が修学旅行で東京に行くのだが、二日目の自由行動を使って、過去に生き別れとなった大好きなおじさんに会いに行くというストーリーであった。どこか『旅する練習』にも通じるところのある青春小説なのだが、『旅する練習』のラストのような衝撃も無く、また、心を揺さぶられることもなく、サラリとした感触しか残らなかった。
『Sに』という掌編は、サリンジャーの小説に言及すると見せ掛けて、『それは誠』の主人公である佐田誠が修学旅行について書いた小説に触れていくという構成であった。確かに『それは誠』の冒頭で佐田誠が修学旅行を題材にした小説を書くという描写があったが、本編ではそれについては何も語られていないので、『Sに』は『それは誠』の解決編と言っても良いのかも知れない。
乗代雄介は不思議な作家である。
本体価格720円
★★★