【感想・ネタバレ】月光の東のレビュー

あらすじ

「月光の東まで追いかけて」。出張先のカラチで自殺を遂げた友人の妻の来訪を機に、男の脳裏に、謎の言葉を残して消えた初恋の女性の記憶が甦る。その名前は塔屋米花。彼女の足跡を辿り始めた男が見たのは、凛冽な一人の女性の半生と、彼女を愛した幾人もの男たちの姿だった。美貌を武器に、極貧と疎外からの脱出を図った女を通し、人間の哀しさ、そして強さを描く傑作長編小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

14年位前の作品で、ひとりの女性をめぐって
その女性と一緒にいた後、自殺した夫の妻の日記と
その女性と中学時代に同級生だった男の語りで、物語が進むのです
米花という女性が、どのように生きてきたのか
全てのことが明らかになることはないのですが、
傷ついた妻の再生と、米花の壮絶で固い意思、女としての弱さ
何故か、この米花が好きで、何度も読んでしまう小説です

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2012年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宮本輝さんは最近気に入りつつある、丁寧語で統一された文体、丁寧で細やかな人たち
舞台はまた裏日本、暗い怪しい影のあるような雰囲気
ある女を追いかけてという筋だが、結局出会えないままに話が終わる。真相が明かされるのも探偵の結果ではなく1人の人間にたどり着いたためという。中々ない幕切ではなかろうか、その方がロマンチックでもありまたリアルでもある、切符1枚が記憶の拠り所なんて夢のある話
また話の途中でそれとはわからぬままに何度もすれ違っているという点も僕には新鮮でその不確かさなどにリアルな魅力を感じる


再読する
かしわぎでの最後の夜はないままの終焉でも良かったのではという印象もすこし。月光の東が朧げなように米花も掴みきれない存在のままでも良かった。最後の解説のような怒涛の文章はやや負担

糸魚川
信濃大町
親不知駅前のヒマワリ
門別

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2022年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解説をよんでいて、宮本輝の小説には、自殺というテーマがよくでてくることを知った。
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ほかの小説にもよく出てくる自殺のモチーフである。
自殺といっても、自殺した当人よりむしろ、すぐそばで誰かに自殺されたものは
どうするかという問題である。
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読んでいると、死よりも、生きるためのすべをかいてあるように思えた。
死なないで、生きるためにこうして!って生きることへのヒントがちりばめられている
ような気がした。

最近樋口裕一先生の本で、知的な思考は訓練で身につく。と学んだが、

自分を好きになること、これも訓練で身につくのか!と思った
自分を好きでいる訓練は、生きるために必要。

生きることは、自殺しないことではないと思う。
アドラーでいう、他者からの承認欲求を求めて他者の人生を生きることも、
自分自身を生きることではないと思う。

自分の人生を生きるためには、自分のことを大好きでいる訓練が必要。
失敗しても大好き!ということは大事だけど、自然と大好き!っていえるような
行動を増やしていきたいと思った。

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2018年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

★2.8ぐらい。
宮本輝作品にしてはイマイチ。

自殺した友人の足跡をめぐる中年の技術者と、その友人の妻とが交互に自己語りする形式。友人の死に絡む、宿命の女の過去が明らかになっていく。

肝心の友人の死の真相がうやむやのまま終わってしまいミステリーとしては不発。美しいタイトルだが、作中のモチーフとしては弱い。ただし、夫に先立たれて精神錯乱に陥った母親の再生物語として読めば感動できるかも知れない。

後書きで著者の家庭の事情を知った後だったら、なぜこれを書いたのか理解できるんだが…そういう裏事情を知らないといけないものは、どうなんだろう。

筆者は自分と同じ背景を持つ人を励ましたかったのかもしれない。あと、この人、女の心情を描くのは上手いよね。

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2015年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初恋の相手が友人の自殺に関与しているのではないかという疑惑から、居場所を探すうちに、それまでの彼女の足取りを辿ることになり、そんな彼女に思いを馳せる話。
宮本輝節が光るものの、結局は美人か、という感想。
直接の接触は最終的にもないあたりが宮本輝らしい。

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2012年04月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もともとこの作家は語り口が好きなのですが、今回はその良さをすごくよく感じました。
二つの視点が交互に語っていく一人の女性の姿が重なりながら離れながら物語は進んでいくのですが、その人となりが明かされていく中で、どんどん加速度的に読み進めていける作品だったと思います。続きが読みたい、とどんどん思える作品ってすごいと思うんですよね。

一人の人間の生涯がどれほどまでに深く、どんな運命を辿ってきたのか。“幸せ”を掴むために持つ覚悟や、忘れられない出来事が遠回りをしながら明かされていく様子が、淡々と描かれているこの話が私はとても好きです。

枯れたひまわりの出てくる場面がとても好きなのですが、もう一つ、人の強さと弱さのあまりの距離の溝の中で相手は消耗していく…というくだりが印象的です。人が人を受け止めてあげることはできないのかもしれない、と思えてしまう。
誰か一人の人間を根底から知ろうという作業は、途方も無いもので、そしてそれはとても哀しい事なのではないかと思いました。

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2011年10月24日

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