【感想・ネタバレ】戦略読書日記のレビュー

あらすじ

本質を抉りだす思考のセンス!
『ストーリーとしての競争戦略』の原点がここにある。


──そもそも本書は普通の意味での「書評書」ではない。
書評という形式に仮託して、経営や戦略について
僕が大切だと考えることを全力全開で主張するという内容になっている。
ものごとの本質を抉り出すような本、僕の思考に大きな影響を与えた本を厳選し、
それらとの対話を通じて僕が受けた衝撃や知的興奮、発見や洞察を
読者の方々にお伝えしたい。
僕の個人的なセンスなり趣味嗜好に引きずられた話なので、
好みや体質に合わない方もいるだろう。
その辺、ご満足いただけるかどうかはお約束しかねる。
しかし、本書を読んでも「すぐに役立つビジネス・スキル」が
身につかないということだけはあらかじめお約束しておきたい。(「まえがき」より)

読んでは考え、考えては読む。
本との対話に明け暮れた挙句の果てに立ち上る、極私的普遍の世界。
楠木建の思考のセンスとスタイルが凝縮された1冊。
特別付録・ロングインタビュー「僕の読書スタイル」、付録・「読書録」付き。

【目次】
■序章:時空間縦横無尽の疑似体験
『ストーリーとしての競争戦略』 楠木建著
■第1章:疾走するセンス
『元祖テレビ屋大奮戦!』 井原高忠著
■第2章:当然ですけど。当たり前ですけど」
『一勝九敗』 柳井正著
■第3章:持続的競争優位の最強論理
『「バカな」と「なるほど」』 吉原英樹著
■第4章:日本の「持ち味」を再考する
『日本の半導体40年』 菊池誠著
■第5章:情報は少なめに、注意はたっぷりと
『スパークする思考』 内田和成著
■第6章:「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の戦略思考
『最終戦争論』 石原莞爾著
■第7章:経営人材を創る経営
『「日本の経営」を創る』 三枝匡、伊丹敬之著
■第8章:暴走するセンス
『おそめ』 石井妙子著
■第9章:殿堂入りの戦略ストーリー
『Hot Pepper ミラクル・ストーリー』 平尾勇司著
■第10章:身も蓋もないがキレがある
『ストラテジストにさよならを』 広木隆著
■第11章:並列から直列へ
『レコーディング・ダイエット 決定版』 岡田斗司夫著
■第12章:俺の目を見ろ、何にも言うな
『プロフェッショナルマネジャー』 ハロルド・ジェニーン著
■第13章:過剰に強烈な経営者との脳内対話
『成功はゴミ箱の中に』 レイ・クロック著
■第14章:普遍にして不変の骨法
『映画はやくざなり』 笠原和夫著
…他、全21章

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読書は、経営のセンスを磨き、戦略ストーリーを構想するための筋トレであり、走り込みである。即効性はない。しかし、じわじわ効いてくる。20

日本の持ち味とは。菊池が言うところのアメリカの持ち味は、大きな対象を機能に分化して、それぞれに専門家を充てて、大所高所で計画を立てたうえで実行して事後的に統合するというやり方。日本では、全員が全体を意識して仕事をする。私たちはこれを顧客に提供しますというアウトプットに基軸を置いたコミットメントが自然と前面に出てくること、これはいまも失われていない、日本の持ち味ではないか。60

各科目の平均点が高いというのと綜合力があるというのは、全く別物。経営にはスキルではなく、センスが不可欠で、言い換えれば「因果律のデーターベース」が豊富である事。柳井さんのいう、一つの経験を抽象化して論理レベルで捉える事と同様である。このセンスを磨くには、スモールイズビューティフル。創って作って売るという、開発生産販売を一気通貫で任せるほかない。100

伊藤元重東大教授の話。英語で仕事は三つある。labor、work、play。野球選手をworkerではなく、playerと呼ぶのは、そのためだ。1080

人間の熟成は生活ルーティンの錬成にあるというのが持論。464

読書において大切なのはトリップすること。一つは、書かれている舞台、年代、状況に自分が生きているような感覚を持つこと。もう一つは、対話トリップ。対談に自分が三人目、四人目として呼ばれているような感覚を持つ。474

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2016年06月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

○引用
「私は、可能な限り仕事本来の目的だけを考えようと努めました。それに、どんな小さな仕事であっても、純粋にその仕事の目的だけを考えて工夫すれば、達成感があり、とても楽しいということもわかりました。」

「川の流れに身を任せて淡々と生きているように見えて、江口さんのように素晴らしい見識と人格を持った人がこの世の中にはまだまだたくさんいる、ということだ」

「自己の芸風を確立するえでは、誰もが注目する成功事例の存在は時として障害となる。成功の巨大さゆえに、その背後にあるストーリーの時間的な奥行きを無視して、表面をなぞりたくなる誘惑に駆られる。見える部分だけ真似をすれば、自身の芸風に破綻をきたす。」

「人間の成熟は生活ルーティンの錬成にある」

「知識や対象そのものよりも、その背後にある論理にむしろ関心がある」

「世の中に生きている人間が織りなしているロジックみないなものを、追っていくのが好き」

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2016年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦略と経営について、22冊のジャンルの異なる本(建築や芸についてなども)から解き明かしている。非常に濃い内容だった。本題とは異なる箇所でハッとさせられる考え方が多かった。本を読むモチベーションも上がる本。

■印象に残った言葉
・「「やくざ映画のライターという仮面をかぶってやってきた。最初は、生活のために引き受けただけだった」と、笠原(和夫)は名言している。その一方で、「本当に面白いものを書くために、自分が何かしら乗っかれるものを、探す必要があった」。」
・個々の「モノ」の意味が、「モノ」の内側から一意的に決定されるのではなく、「モノ」の置かれた「場所」(すなわち「モノ」の外側)によって決定されている有様を記述すること。そして「モノ」の行う象徴作用が「場所」に深く依存している様相を解き明かすこと。これが本書(「10宅論」)の主題である。
・グローバル化は相手のある話だ。常にこちらから出ていく先の国や市場や人々がいる。自分たちの都合だけで完結できる話ではない。…考えてみれば、鎖国体制の崩壊と開国以来、明治維新を経て現在に至るまで、日本は「グローバル化される」側にあった。
・理論(セオリー)じゃなくて論理(ロジック)を考えるのが僕(著者 楠木建)の仕事だと心得ている。論理というのは因果関係についての洞察。一方の理論とは再現可能で一般性が高い因果関係についての法則を意味している。

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2013年11月09日

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