あらすじ
ぼくの名前は花咲太郎。「推理は省いてショートカット」が信条の、犬猫探し専門探偵だ(しかもロリコン)。にもかかわらず、最愛の美少女・トウキは殺人事件を勝手に運んでくる。オネガイヤメテー。これは、そんな僕らの探偵物語だ。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
主人公の刹那的でシニカルで死ぬほど自己中心的な、全くブレない立ち位置が厭世的で凄く好き。
その礎となったエピソード(「花咲太郎は覆さない」)の乾いた空気感が特に秀逸と思うが、直前に彼の思想を抽出したかのような印象的な掌編(「この電車の行く先で」)が挿入されている事によってより「表裏」のコントラストが明白になっている気がする。
そう言えば彼の登場するみーまー8巻にも「表裏『あなたの人生がある訳』」という素晴らしいサブタイトルがあったけども、この作者サブタイトルのセンスが鋭すぎて時々ソレだけで泣ける。。
個人的にみーまー>>>越えられない壁>>>花咲太郎>>>電波女、なイメージだったのだけど、この巻はみーまー並に良かった。文句無く★5つ。シリーズ続刊希望。。!
書店にて新品購入。
Posted by ブクログ
「探偵・花咲太郎は覆さない」
僕の名前は花咲太郎。探偵兼ロリコン。犬猫探しが専門で、今日もその捜索に明け暮れているはずだった。しかし、自称友人からのお電話が、平穏な僕の暮らしをぶち破る。
探偵・花咲太郎第2弾。第1弾は「閃かない」だったけど、本作は「覆さない」である。被害者が残したダイイングメッセージの謎を解明したり、容疑者のアリバイを崩したり、密室トリックを解いたりする探偵達、彼らの武器のひとつは閃きではないだろうか。しかし、太郎君は閃かない。その上、今度は、覆さないだと?太郎君は探偵として一体何重苦なんだろうかw
第1章「エニグマ作戦」では、前作で知り合った殺し屋木曽川からの依頼を受け、しぶしぶ動く太郎君を拝見でき、第2章「双子ペット事件」では、大好きな猫の捜索依頼を受け、後にがっかりする太郎君を観察し、第3章「この電車の行く先で」では、今から人を殺しに行くという人に話しかけられ、探偵らしからぬ態度をとる太郎君を「何やってんだよ」と叱責出来ます。
しかし、一番力が入っているのは表題の第4章ではないでしょうか。というのも、この章は「前作から既に登場し、主人公であるはずの太郎君を操る影のフィクサー的ポジションに収まっている上真桑桃子ことトウキと太郎君の出会い話」であるからです。
ロリコン太郎君がロリコン対象年齢に収まっているトウキに話しかける時点で「アウト!」と誰かが叫んでもおかしくないわけですが、そこから一体どう転んで、トウキが太郎君と一緒に住むことになったのか、トウキの予知能力なるものがどんな状況で発揮されたのか、を知ることが出来ます。しかし、それを知ったとしても、どーーんと衝撃を受けることはないw
唯一、どーーんと衝撃を受けるのは、最終章「水槽の向こう側」ですね。何せ、木曽川は本当に殺し屋なんですか?という疑念が渦巻いていた中、答えをくれたのがこの章ですから。あのスピーディーな動きはやっぱり殺し屋であろう。もちろん、太郎君は、このときも動きませんし、動けませんw
全編で光る太郎君の特徴と言うのは、実は「覆さない」ではなく「閃かない」であると思います。探偵として、依頼人の嘘を看破出来ないし、人質となったときに洞察力を発揮して、事態を収拾出来ないし、犯人が分かっていてもそいつを逮捕するような道筋を作ることも出来ない。それが太郎君です。
では、何故「覆さない」なんだろうか。それは、トウキと太郎君の出会いが肝でした。これを指しているのならば、「なるほどね」って思います。