あらすじ
ハンセン病の北条民雄は文学を目ざし、川端康成に見出される。やがて『いのちの初夜』が文学界賞を受賞、ベストセラーとなるがペンネーム以外は秘された。差別と病魔と闘い生涯を終えた民雄の生の輝きを克明に綴る!
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いのちの初夜を読む前に
群馬県の重監房資料館を訪れた際、もっとハンセン病のことを知りたいと思いました。
『いのちの初夜』を読む前に少し情報を入れようと思い、『火花』を読みました。
知識のない私にもわかりやすく、ためになりました。その後に読んだ『いのちの初夜』もより深く理解できたように思います。
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19歳でハンセン病になり,多摩全生園に入所。たったの23歳で夭逝した作家,北条民雄の生涯を描いた伝記です。
本書には,民雄と交流のあったハンセン病患者仲間だけではなく,民雄の作品を世に広めた川端康成との関係もたくさん出てきます。だから,ハンセン病患者をめぐる当時の世相だけではなく,文壇の様子も垣間見ることができます。
この文庫本の解説で柳田邦夫氏も書いているように,この伝記はとても良くできています。というのは,当時のらい病患者は,らい病だとわかったとたんに親兄弟からも隔絶されて本名も忘れたように過ごさねばならなかったのです。そんななかで,これだけ読み応えのある伝記を書けるというのは,並大抵の取材と編集では無理です。
とにかく,いろんな人に読んで欲しい伝記です。
Posted by ブクログ
ハンセン病に侵された一人の作家の生涯を丹念に調べ書いた力作。病気についても施設についても差別についてもあまりにも知らないことばかりだった。もっと読まれるべき本だと思う。
Posted by ブクログ
らい病患者は親や故郷からも見放され、本名や過去も語ることがない。『いのちの初夜』作者:北条民雄の謎につつまれた生涯を追う力作ドキュメンタリー。
Posted by ブクログ
北条民雄の伝記。ハンセン病がまだ根強い偏見に晒され、患者が肉親に絶縁され療養所に隔離されていた頃に発病した北条は、療養先で小説「いのちの初夜」等を渾身の力で生み出した。発病してから幾度も死が過ぎり、親友は「君は死に損なう度に一作できる」と言った。闇に瞬く火花のような一生である。そして偏見も恐れずに、北条の生原稿に目を通し支援し励まし続けた、川端康成の人間の大きさにも随所で感銘を受けた。「いのちの初夜」と幾篇かの随筆は青空文庫で閲覧できる。