あらすじ
経営者は社員と夢を共有せよ。二位となるのは「死」である。リクルートで起業や経営を学び、成功する「リクルートの遺伝子」を持った人々の活躍が続いている。彼らの原動力となっている江副浩正氏の「起業家精神」とは何か。リクルートの遺伝子たちはなぜ、これほどにも強いのか? 企業を拡大発展する極意と受け継がれるDNA……成功した戦略、失敗した戦略、本書にはベンチャーの全てがある!
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Posted by ブクログ
リクルートのDNA_読書メモ_012317
<経営の三原則>
1. 社会への貢献
2. 個人の尊重
3. 商業的合理性の追求
<企業が収益を上げる3つの方法>
1. 質の高いサービスを提供する
2. モノ・サービスをスピーディに提供する
3. コストを下げて顧客への価格を下げる
<経営理念とモットー>
1、誰もしていないことをする主義
2、分からないことはお客様に聞く主義
3、ナンバーワン主義
4、社員皆経営主義
5、社員皆株主
6、健全な赤字事業を持つ
7、少数精鋭主義
8、自己管理を大切に
9、自分のために学び働く
10、マナーとモラルを大切にする
・同業者が出現すれば歓迎する。同業間競争のない事業は、産業として認められない。ただし、「2位になることは我々の死」をポリシーに。
<マネジャーに送る十章>
一、希望・勇気・愛情
ニ、ネットワークで仕事をすること
三、高い給与水準
四、人は仕事を通じて学ぶ
五、プレイングマネージャー
六、まず周囲に自らを語ること
七、数字に強いこと
八、努力の継続
九、脅威と思われる事態の中に隠された発展の機会がある
十、リクルートは社会とともにある
<成功する起業家の二十ヵ条>
1. 当然だが一人では大きな事業はなし得ない。気力と体力のある若い人材を集め、目標を共有して事業を推進すること
2. 人がついてくることが大切だが、そのためには自らを磨くこと。必ずしもカリスマ的魅力がなくても、人がついているやり方を身に着けることはできる。重要なことはメンバーのだれよりも優れた仕事を熱心にしていて、それに継続をしていることである。
3. “企業は人となり”と言う。優れた経営者の条件は、構成メンバーの人物をよく知り、誰にどの仕事をどのレベルまで要求するかである。
4. 日本で初めての事業、創業者利益が得られる事業が良い。
5. 変貌している産業社会の新しい要請に応える事業かどうかを自ら問いかけ、周囲の人にも聞くことから始めること。
6. 多くの資本を要さない仕事から出発すること。
7. 時間の有効な使い方を知らないと大きな成功は難しい。
8. 失敗を恐れぬ勇気をもつこと。
9. 若くかつ就職しないで起業すること。
10. 大学の成績や学歴は関係ない。
11. 経営哲学を社員と共有すること。
12. コミュニケーション能力を高めること 。
13. 優れた経営者は話し上手であり、かつ聞き上手である。
14. 起業家に求められるものは倫理観である。
15. 起業家は常に健康に留意する。
16. 起業家が政治に関心を持つことは必要だが、私の経験から言えることは、政治家と一定の距離を持っておくことも重要である。
17. 今の仕事が将来に向けて有望な事業であれば、その仕事をコアビジネスとして1つの事業でシェアを拡大し、他の追随を許さないように専念しなければらない。
18. 起業家は人の能力を精一杯引き出す力を持たなければならない。
19. 起業家は自分の考えは正しいから成功するというところから出発するが、それが正しいかどうかを決めるのは顧客である 。
20. 若くしなくても起業して小さな成功をおさめた人は私の周囲にいくらでもいる。
Posted by ブクログ
今日の2冊目の書評は、一般人の方は眉を顰めるかもしれませんが、ビジネスマンの間では凄く優秀な経営者として有名な、リクルートの創業者・故江副浩正氏の「リクルートのDNA」という著書です。
皆さんもご存知の通り、江副さんはリクルート・コスモスの未公開株(上場するとそれは大金になる)を政治家に配ったことで贈賄罪で執行猶予付きの有罪判決を受けたことで有名な方です。
しかし、経営者がそのようなことを犯すと、彼の会社は潰れてしまうのが定説なんでしょうが、逮捕に伴う退社時にあった一兆八千億円の借入金は毎年一千億円の利益を生み出し、負債ゼロの無借金会社になり、売り上げ利益率三十パーセントの超優良企業に甦ったそうだ。
なぜ、このような事が起こったかというと、ずばり江副さんの経営センスである。まず彼は東大生の時「東大新聞」という企業から学生の就職先の企業の情報誌を作るといった、ベンチャー企業を起こしていたという事実がある。
彼は年に50万円くらい稼いでおり、「このまま就職するのはもったいない。いっそのこと事業化してやれ」と思い(当時サラリーマンになると給与は三分の一に減る)、「リクルート」を創業した。
ご著書によると、本人は優秀でないと謙遜しておられるが、就職シーズンは忙しく、睡眠時間は四、五時間、土日も朝から夜まで仕事とベンチャー企業の経営者にあるようにモーレツである。本書でも至る所に経営理念や、成功する起業家の二十か条等記載されているが、さすが海千山千の東大生らしく偏差値秀才だけでなく、地頭もいいのである。
こんな江副さんも創業時には相当苦しまれている。「東大新聞」から「企業への招待」という新規事業を起こすのだが、問題が起こる。広告主の企業から「同業他社がだすなら我々も出す」とつれない態度。ここで江副さんは、今までは“東大新聞”のブランドで稼げたのだ、と認識させられる。
しかし、彼はこれくらいでは諦めない。取引先を回り、金策として芝信用金庫に森ビルに収めていた保証金を譲渡担保に(つまり江副さんの会社が潰れたら、信金に回収される)五十万円を融資してもらっている。他人への感謝を忘れない江副さんは、退職されるまで芝信金を営業報告書の金融機関名のトップに置いてたそうだ。
このような、他社への気遣いは部下にも思い切り発揮される。まず自身も含めてリクルートでは部下による上司の評価を導入し、自身も批難を甘んじて受けるとともに、社員の結婚式には積極的に参加。大安の日には、大阪~東京と一日で移動することもあったそうだ。
リクルートでは退職することを「卒業」と呼び、江副さんは必ず退職の理由を尋ねて、以後の人材教育に活用したそうだ。
なんでも現在リクルートでは、日本全国に優秀な学生を探させ、「これぞ!」という学生がいたら、一緒にキャンプなどを行い、社員が学生と腹を割って話し一本釣りするそうだ。
ある社員は某経済系のマスコミに内々定を貰っていたが、リクルートの社員から一冊のリクルートの紹介本を渡された。そのビジネス感覚が強かった学生は、思わず赤ペンでその冊子を汚したので、返却する時謝ったが、当該社員は「いいよ、君にあげるよ。それよりも君、経営者を取材する立場から、実際に経営をウチに来て一緒にやってみないか?」と言って、落としたそうである。リクルートの社員はこのような優秀な社員ばかりである。
リクルートでは社員は公共財という意識が強いのか、リクルート出身者のビジネスマンは日本の経済界で多く活躍している。このような結果になっているのは、江副さんを筆頭に、「ビジネスとは何か」をとことんまで追求し、(仕事は厳しいものの)社員が気分がいいように就労できるシステムを社内で構築しているからである。だからリクルートの社員は何処に行っても通用するのだ。
このブログを読んでいる学生諸君でビジネススクールに進学したい方などは、是非リクルートも就職先の候補として研究して欲しい。細かな江副さんの経営に対する考えはこのブログでは捨象した。その辺りを知りたい方は、本書を読んでほしい。