あらすじ
ノストラダムスやコックリさんから、ミスター・ポーゴに北尾光司。恐怖体験から映画、寺山修司まで。ロック界屈指の文学青年・自称「野狐禅」野郎オーケンが、のほほんと放つ珠玉のエッセイ集。
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Posted by ブクログ
満月だ。月の光がベランダの避難はしごに反射して明るいが、オリオン座はしっかりと見える。東京でもちゃんと星は見えるのだ。都会は星が見えないなどというのは、都会の人間は星を見ようとしないという意味に過ぎないのかもしれない。
最近大槻ケンヂのエッセイにハマっている。月の裏のクレーターから飛んでくる宇宙船が云々などと歌いながらも、彼にはしっかりと現実が見えていたということになんだか安心した。だから惹かれたのだと思う。
狂気の世界に憧れながらもけして狂うことができない、狂ってはいけないと踏みとどまろうとする意志はなんとなく感じていて、私はまさに彼が思春期に求めたという同志に出会ったような気持ちで彼の詩を聞いていたのだった。
だから私の彼への想いは恋心に似て非なるものだし、醒めることがない想いとなりえたのだろう。
彼がバンドでなくても良かったというのもなんだか嬉しい。彼は表現者でありたいだけで、音楽に心酔しているわけではないのだ。私が音楽を聴いているようでその実歌詞や世界観を噛み締めているという意味で根本的には音楽の人ではないことを、なんだか肯定されたような気がした。
彼は彼の言葉通り、サムくない形で私を勇気づけてくれていたし、私が望むことがあるとすれば私もまた、他人にとってそんな存在でありたいと思う。
もちろん私には彼の言うところの“天動説の女”であった時代があるのは自覚しているし、彼が言うようにどんなに辛くても生きていなきゃならん、と思えるようになったのはわりと最近なのだけれど。
自己憐憫に溺れていた過去の私が大槻ケンヂのエッセイを読んだら、果たしてどのような想いを抱いていただろうか?それは今となってはわからないが、いずれにしてもイエローモンキーと同じくらい筋肉少女帯に影響を受け、この精神を支えられたことに変わりはない。
Posted by ブクログ
【恋をするな。仲間になれ!】
大槻エッセイにしては比較的に攻撃色が強い。バンド好きの勘違い女が読んだら気分を害すであろう一冊。
こんな僕でもやっぱり音楽の世界に憧れたときがある、本書の中に出てきた勘違い女たちとたいした差がない。むしろもっと悪い気がする。
今思うのは、恋人より仲間になったほうが、バンドとは長く付き合っていけるということ。苦しいのは君だけじゃなくて、バンドも同じくらい君の熱すぎる情熱に苦しんでいるのだ。と誰かに御節介を焼きたくなった。今も大して成長できてないのだけど。
それ以外にも、ちょっと読んでクスって笑って、心の薬になる作品。
薬は苦くて当たり前だ。
悪い病気は早く直して、外で笑おう。
Posted by ブクログ
「ボクはこんなことを考えている」3
著者 大槻ケンヂ
出版 角川文庫
p50より引用
“今では想像もつかないが、ジャズやマンボだって絶頂期には
カウンターでオピニオン興奮剤だったのだ。”
ロックミュージシャンである著者による、
著者が愛してやまない事柄について書かれたエッセイ集。
プロレスについてからマイナーな映画についてまで、
穏やかな文体で時にコミカルに書かれています。
上記の引用は、
タイアップについて書かれた項の中の一文。
マンボはまぁ盛り上がる感じはしますが、
ジャズはしっとりとしているイメージが強い為、
かなり以外に思いました。
ロックミュージシャンなのでもっと突飛で過激な内容が、
これでもかと書かれていると思っていましたが、
驚くほど普通でまともな内容だったので、
少し拍子抜けしてしまいました。
顔にひび割れを入れていた人とは思えない、
穏やかでまっとうな意見だと思います。
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