【感想・ネタバレ】白夜のレビュー

あらすじ

ドストエフスキーには過酷な眼で人間性の本性を凝視する一方、感傷的夢想家の一面がある。ペテルブルクに住む貧しいインテリ青年の孤独と空想の生活に、白夜の神秘に包まれたひとりの少女が姿を現わし夢のような淡い恋心が芽生え始める頃、この幻はもろくもくずれ去ってしまう。一八四八年に発表の愛すべき短編である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『夢想家の妄想が生み出した純愛失恋物語』

孤独な夢想家の青年。祖母の束縛から逃れられない娘。偶然の出会いから純愛へと発展し、白夜の下で交わされる二人の会話。どこまでが妄想で、どこまでが現実なのか?甘く切ない恋物語かと思いきや…!?

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2021年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 孤独に空想家として生きる主人公が、町を歩いていてお祖母さんと二人で生活し同じく孤独を抱えたナースチェンカと知り合い、身の上話をしていく話。
 現代に置き換えると恋愛相談してきた相手に恋をして成就しかけるも、相談相手は結局、相談内容の相手と付き合ってしまうという話だった。
 セリフ回しが舞台や演劇のようで、最初は取っ付きにくさを感じたがだんだんと慣れていった。
 別れの失恋のシーンは肉薄するような表現で美しくも儚い夢の終わりだった。
 主人公の弱気や人の良さがさらに切なさを加速させ、この主人公はナースチェンカを祝福はしているが、きっと今後、自分と上手くいった未来を空想するものの特に行動はせず、以前と変わらない生活を続けるんだろうと思う。
 ナースチェンカの最後の手紙は冒頭に「赦して」だの「あの人があなただったら」などと書かれていたのが、気が付いたら「ありがとうございます!」や「永遠にあたしの親友、あたしの兄」となって恋の盲目さよりも厚かましさを感じた。まぁ最初からナースチェンカは「あたしに恋をなさらないこと」と言っているので初志貫徹と言えばそうなのかもしれない。4.4。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後まで名前のない青年の未来に、幸せのあることを祈りたくなる話だった。
丁寧に心の動きが書かれ、2人きりの会話から感情がほとばしる様子は非常に瑞々しい。無垢で無邪気で純粋な愛に満ちていることが羨ましく思えてくる。
青年を苦しめるナースチェンカの発言や、行動の一つ一つに切なくなった。けがれのない青年の心を余すことなく表現されていて、感情移入せずにはいられない。

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2021年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

僕が大学を卒業する直前、いろいろ訳があって松葉杖をついていた。そんな僕が神戸三ノ宮の東門街で泥酔して転んだとき、松葉杖のすぐそばにポケットから飛び出した角川文庫クラシックの『白夜』を見つけて僕の友人は闇の深さを感じたらしい。

とんでもない。『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』に比べればライトノベルズの類と呼んでもいいくらい軽くてナイーブで青臭い小説だ。

今夜は都内に泊まらないといけないので読みかけの分量がちょうどよいこの本を持ってきて、高野馬場あたりで読み終えた。

ヒロインのナースチェンカは正直言ってメンヘラビッチである。主人公が鬱々とした暮らしの中でナースチェンカと邂逅し、惚れてしまったのは仕方ないにしても、それにしても無様な男女模様なのである。はっきり言って交通事故だ。オラこんなの嫌だ。

「いい人防衛ライン」を突破して攻めに転じた主人公の青年を僕は応援したい、が、ダメでもともとの試合に出る潔さが足りなかった。

もっと軽く!もっと軽薄に!!

『どうかあたしをお責めにならないでください、だってあたしはあなたを裏切るような真似はなにひとつしなかったのですもの。あたしはあなたを愛しつづけると申しました。いまでもあなたを愛しております、いえ、愛しているなどというなまやさしいものではありません。ああ!あなたがたお二人を同時に愛することができたならば!ああ、もしあなたがあの人だったならば!』

これがラスト付近でナースチェンカが主人公に出した「詫びの手紙」です。いやぁ、クソ女ですね。このあと、舌の根も乾かないうちに青年のことを「親友」とか「兄」だとか呼んで愛の換骨奪胎を始める始末。
そら青年も「侮辱」という表現を使うよな。

青年は完全にナースチェンカの後出しジャンケンに翻弄された。しかも二回。彼女は青年が自分に気があることを十分に理解して、自分は如何に賭け金を少なくしながら相手がどっぷり勝負にのめり込むかを見極め狡猾なゲームを展開した。

そしてその二股はナースチェンカに奏功した。
酷い話です。

だから僕は青年に言いたい。
「もっと軽く!もっと軽薄に!!」

ただ、『白夜』のストーリーの優れているで点は青年は自分の試合をして、そして負けたこと。僕が軽蔑するのは「脱オタク」をサクセスストーリーとして成就させる『電車男』のような商品だ。エルメスを仕留めたお前、そもそもコンセプトがオタクじゃなくなってるやんけ。
映画『ダメージ』や『ゴーストワールド』のように一本筋を通し切ったあとの虚無感こそ美しい。

そして『ナポレオン・ダイナマイト』がいかにぶっ飛んだヒーローなのか、ドストエフスキーを読んで今更ながらに実感するのである。

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2020年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中学生の時に手を出しておけば良かったなと思える作品。ドストエフスキーという作者名の重苦しさからは想像もできないほどセンチメンタルな短編。『地下室の手記』の主人公とは違って、何だか愛らしさを感じてしまった。ナースチェンカが青年の空想の産物では無かっただけ救いがあると考えよう……
訳文にはやっぱり違和感を感じてしまった。光文社古典新訳文庫とかで新しく訳して出した方が良いんじゃないかな……

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2014年05月26日

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