あらすじ
世界幻想文学大賞・ヒューゴー賞受賞、MWA賞最終候補。『進撃の巨人』風異世界の本格派ミステリ
帝国辺境で技術省高官が変死した。体から突然、巨大な木が生えたのだ。捜査を開始したアナとディンは十人の技術省技師が同様に死亡し、海から現れる巨獣を阻止せんための防壁が破壊されたと知らされる。帝国を揺るがす事件の謎を二人は解くことができるのか!?
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Posted by ブクログ
アメリカの作家、ロバート・ジャクソン・ベネットのファンタジーミステリ。世界幻想文学大賞とヒューゴー賞を受賞し、MWA最終候補というとんでもない作品。
神聖カナム大帝国の辺境の州で、政府の高官が体の中から樹に食い破られて死亡する事件が発生する。完全記憶能力を持つ記銘師のディンは、上司で変人のアナと調査を開始するが…
間違いなく今年度ベスト級の作品。名だたる賞の受賞も納得の作品。
読みやすさもさることながら、ストーリー展開やミステリ的な意外性もしっかりしていて、のめり込んでしまった。
特殊能力や海からやってくるリヴァイアサンなど、ファンタジーの材料でもあるが、それらをしっかりと推理に活用しているところがすごい。
続編もあるらしいので、ぜひこのまま邦訳を続けてほしい。
Posted by ブクログ
とても読みやすくぐいぐいと世界観に引き込まれてしまい、読み進める手を止めることが難しかった。
いろいろな細かい設定に、伏線回収等満足できる点が多く自分としては当たりだなぁと思えました。
続編あるのかな?あればぜひ読みたいし、なければ是非とも書いてほしいなと思いました。
Posted by ブクログ
ヒューゴー賞(SF)および世界幻想文学大賞(ファンタジー)受賞、そしてMWA賞(ミステリー)候補という、まさにジャンルを超越した大興奮長篇小説。
舞台となるのは“リヴァイアサン”という怪物にたびたび襲われる世界。怪物と戦うために帝国は様々な手段を駆使する。なかでも白眉は、怪物退治の副産物ともいえる“血”を用いた人体改変だ。
主人公は捜査官助手のディン。あらゆることを記憶する“記銘師”である彼はその能力を駆使して、上官のアナと共に不可解な殺人事件の謎に挑む。
本年度ベスト級の傑作。続篇も楽しみだ。
Posted by ブクログ
面白かった。ミステリ色の強いファンタジー&SFといった感じだけど、犯人・謎解明に向けたストーリー展開が素直に進むので、SF的なガジェットやファンタジー向け設定などが普通に馴染んできてすごく読みやすい。その分、ミステリとしての満足感は浅く、ファンタジー的にも掘ってほしいところはあっさりとかわされたりするので、それぞれのコアなファンには物足りないかも。しかし、シリーズものの第1巻としては満足で、この世界は奥深く、続刊が出たら迷わず手に取ってしまうだろうと思う。出てくるアイテムもそれぞれとても魅力的。おすすめ。
Posted by ブクログ
家から出ない安楽椅子探偵が、助手を現場に派遣して事件の全容をつかみ、最後に関係者全員を集めて謎解きをする、殺人ミステリの王道を行くスタイルなのだが、表紙カバーのイラストが無気味で、ホラーか何かと勘違いされて敬遠されてしまいそうだ。ミステリ好きの読者はどうか安心して読まれるがいい。とんでもなく面白いことは保証する。
しかし、ただのミステリではない。まず、移動は馬、通信手段は鳩ならぬ「伝書鷹」、武器は腰に下げた剣という、西欧中世あたりを思わせる、神聖カナム大帝国辺境地帯が舞台。そう聞くと歴史小説みたいだが、雨季になるとリヴァイアサンという巨獣が深海から浮上し、帝国東部に幾重にも巡らした堡塁を襲うというのだから、これは架空の帝国。つまり、ミステリでありながら、ハイ・ファンタジーなのだ。
帝国は軍を派遣し、大砲、巨砲で応戦することで臨海防壁を防御してきた。ところが、今回は東海岸の一部で防壁の一部が崩れ落ち、巨獣はそこをめがけて「突破」をかけてきた。そんな非常事態下で、事件が起きる。地主貴族の屋敷で客が死ぬ。ただの死ではない。からだのなかで植物が芽を出し、一気に枝を伸ばして根を張り、人を引き裂いて成長し、根は床下に枝は天井を突き抜けているというから恐ろしい。
政府は凄腕ではあるが変人の司法省捜査官アナを送り込む。アナは感覚が鋭敏過ぎて外に出られない。今回は捜査官助手見習い中のディン・コル中尉が現場に向かう。帝国には、各種技能を持つ人材に、巨獣の死骸から生えた植物から抽出した薬液その他を使って人体を改変した卓越者という存在を各部門に有している。コルもその一人。見たもの聴いたこと、匂い、触感と五感をフル稼働し、それを記憶に留め、捜査官に報告するのが記銘師の務めだ。アナはそれをもとに事件を解決してゆく。
この人体改変や蔓性植物や羊歯紙でできた建築、その他諸々の次々と繰り出されるSF的なギミックが、単なるミステリを読むのとは異質の読書体験をもたらす。それでいて、およそ国家というものができ、階層が生じると、そこに腐敗堕落が起きるのは、いつどこの世界でも同じで、人間の欲が善や正義を脅かし、世界は悪や汚濁に飲み込まれることになる。ハイ・ファンタジーの世界であるのに、今と通じるリアルな世界観が作品に幅と深みをもたらし、情味あるキャラクター造形と相まって、得も言われぬ読書体験を約束してくれる。世界幻想文学大賞、ヒューゴ賞受賞の傑作ハイ・ブリッド・ミステリの誕生である。
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むっちゃおもしろかった。〈ゴジラ的な巨獣が年に一度襲ってくるので、それに対抗するため、能力の改変が行われている帝国〉という世界の作り込みがすごいのと、その中で記憶する能力を極限まで高めた「記銘師」ディンが、体からいきなり樹が生えてきて死ぬというわけのわからんグロい事件の捜査に突っこまれて、あたふたしながらすごい才能を発揮していく姿が痛快。
能力の改変を受けて「記銘師」になっているのだから「才能を発揮」するのは当たり前かもしれないけど、ディスレクシアであることをひた隠しにしていたりして、ちょっとしたデコボコがあるところがいい。上司のアナも天才的な安楽椅子探偵みたいな人でクセ強。ホームズというよりは、フリーレンの師匠の師匠であるゼーリエを思い出したかな。いつも大きな椅子に座って何もかもお見通しなあたり。あと、しゃべりもちょっと似てる。
リヴァイアサンは進撃の巨人を思い出す人が多いようだけど、やっぱゴジラでしょ。とてつもなく恐ろしいのに天を衝くその体躯で上陸するところを見てみたいと思ってしまうのはなぜなんだ。
そしてさらにストロヴィ大尉へのほのかな想い? 続巻でも触れられるのかな。次も出るそうで、歓喜ですね。
Posted by ブクログ
超★5 海の巨獣に襲われる帝国、木に殺された男の謎… 重量級の幻想ミステリ #記銘師ディンの事件録
■あらすじ
舞台は神聖カナム大帝国、海に面したこの国が恐れているのは、海の巨獣リヴァイアサン。この災厄に対抗するために、人々は身体能力を改良する特殊能力を得ていた。
ある日、地方豪族の邸宅で高官の死体が発見される。彼は体から巨大な木を生やした姿で亡くなっていた。記銘師ディンと捜査官アナは、この奇妙な事件の捜査を始めるが…
■きっと読みたくなるレビュー
超★5 おもろい! 重量級の幻想ミステリー、今年必読の一冊ですね。
カテゴリ分けするとファンタジー、SF寄りになっちゃうと思うけど、謎解き要素もしっかりあってミステリーとしても読みごたえ十分。表紙が不気味で物々しくって手に取りづらいかもだけど、ビビんなくても大丈夫。超エンタメな内容なのでワクワクしながら読めますよ。
さて本作は架空の国カナムが舞台。この国に住む人々は、海にからの巨獣リヴァイアサンからの強襲に日々恐れている。何重にも防壁を建築し、大砲まで準備している。
さらに人々はワンピースのゴムゴムの実みたいに、身体能力を改良できる技術を発展させてきた。怪力、記憶力、計算能力、空間能力など、様々な特殊能力を得ることができる。中世のファンタジーを思わせる世界観で、もうこの設定だけで面白そうでしょ
さらに帝国と地方豪族の力関係だったり、帝国軍内部の部署ごとや上下関係のイザコザなど、解像度高く物語に組み込まれてるから社会派&人間ドラマとしても読みごたえがあるんですよ。
もちろん謎解きミステリの要素もある。体から巨大な木を生やした姿で死んでるっていうインパクト抜群の事件から始まるんだけど、その後も次々と不可解な事件が発生する。事件の謎解きの他にも、いくつか隠された秘密があって、読み手を引きつけて止まないんですよね~
そしてリヴァイアサンという海の巨獣がでてくるってことは、もちろん街が襲われるんです。殺人事件は解決するのか、街は救わるのか――総じて超エンタメなファンタジーに仕上がっている本作、具材たっぷりな濃密パフェを食べているような気分。もはや食べ始めたら止まりません。
またキャラクターも好きすぎるんすよ。事件解決に奔走する主人公の記銘師ディン、庶民の出の彼は頭脳明晰で性格も真面目な好青年。香水を嗅ぐと飛躍的に記憶力が伸び、詳細まで忘れなくなる能力をもてるよう身体改造をしている。
一方、事件を解決に導く探偵役アナ。ディンの上司でもある。40歳くらいの中年の彼女は、普段から必要以上に情報を入れない。家から出ずに目隠しをして生活をしているという人物で、もはや変態。彼女から放たれる台詞も強烈で、思わず笑っちゃうこともある。
この奇妙なホームズ&ワトソンコンビが難事件に立ち向かっていくんだけど、これが何とも可笑しくて小気味いいのよ。上司部下だから主従関係ではあるんだけど、当然最初はギクシャクしててさ。でも事件が展開するごとに、ちょっとずつ関係性が(特にディン目線で)変化してくところがいいんですよね。終盤に重大な事実が明かされるんだけど、これも二人らしいエピソードで好きだったな~
あと私のイチ推しキャラはミルジンですね。これまで帝国のために生涯を尽くしてきたベテラン、イメージはタンク役の軍曹。ディンとの会話が新人兵と老兵みたいで、話が通じてるのか通じてないのかわかならいのがおもろい。力だけと思いきや、ちゃんと狡猾に物事をみているのもベテラン兵らしくてカッコイイんすよ。
さて次々起こった一連の殺人事件。本作はファンタジーではあるんだけど、こんな事件を起こすにはちゃんと理由があるのです。ここにも人間の傲慢さや弱さがあってさ、読み終わって振り返ってみると切ない想いが胸に広がりました。
■ぜっさん推しポイント
特殊能力を得られるなんざ、興味深いですよね。もし現実にそんなチートみたいなことができたら試してみたいですね。でも記銘師なんて職種はかなり大変そう。なにせ良い記録も悪い記録もずっと脳みその中にあるんですから。
世界中、いつの時代も辛い歴史ばかり、その裏側では人間たちのどんな記録があるんでしょう。記銘師がストレスなく生きられるような世の中であって欲しいですね。
Posted by ブクログ
凄く飲み込みやすい設定、分かりやすくて読みやすい翻訳、こんな楽しいファンタジー小説を買った自分を褒めたい!表紙みた感じもっと堅い感じやと思ってたのに読んだ瞬間にこれは……ってなる。今年1番面白かった!じわじわ捜査が進み、事件の全容が明かされる楽しさプラス、世界設定がどんどん馴染んでくる楽しさもあって最初から最後まで飽きることない。仕事で疲れて1ページしか読めない時でも楽しかった。この本のおかげでこの数週間仕事頑張れましたね。
ファンタジーミステリーものでこれに似た感じの特殊な世界設定、迫り来る脅威なんかは折れた竜骨を思い出しました。
主人公と探偵、他のキャラクター造形がほんと素晴らしい。キャラクターが多いので名前を覚えるのが大変ですが、必殺のメモ帳に名前を書くで乗り切りました。
特殊設定も多くて、鍵、壁、感染症。すごい数の名称が出てくるけどすぐにどういうものか、分かるよう実際に使ってみせるところがあるから理解しやすい。丁寧ですね。
続編読みたいなぁ、どうか売れまくって続きが日本で出版されますように。
今年はこの作品を超える小説に出会わせてください神様。
ハヤカワのファンタジーは前に大ハズレでそれは翻訳の本屋大賞とってたな、これがなんかのランキングで1位にならんかな〜。
こういう面白いのを力入れて宣伝してほしい。Tiktokでバズった本じゃなくて。
Posted by ブクログ
ロバート・ジャクソン・ベネットの『記銘師ディンの事件録』は、ファンタジーとミステリとSFを融合させた独創的な作品であり、その魅力は何よりも圧倒的な世界観にある。雨季になると海から巨大な怪獣が襲来するという過酷な環境の中で、人々は生体改変技術によって適応し、独自の生態系と社会を築いている。この“環境そのものが物語を動かす”構造が非常に新鮮で印象的だった。
中でも、天才的な推理力を持つアナの存在は際立っている。冷徹な論理で事件を解き明かしながらも、真実への強い執着を感じさせるその姿は非常に魅力的で、物語の核を担っている。一方、語り手であるディンもまた印象深い。完璧な記憶力という特殊能力を持つ観測者としての役割があり、アナとの絶妙な会話が物語にポップさを与えている。
本作は単なる謎解きにとどまらず、人間の認識や理解の限界に迫る物語でもある。世界と人物、そして事件が密接に結びついた、極めて完成度の高い一作だと感じた。
Posted by ブクログ
面白かった。
世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞受賞と表紙に書かれているんだけど、個人的には幻想文学でも、SFファンタジーでもない質感だった。とはいえ、幻想文学ではあるし、SFファンタジーではある。一番違い感覚はラノベですが、実際に読んでみると思いのほか骨太なミステリになっているし、作者の自認もこれです。
ファンタジーな設定が細やかに説明されていて、訳し方も上手いのだろう、読んでいてあまりストレスは感じなかった。主人公視点で、この主人公がいたって普通の感覚の持ち主であることも、良い読感をもたらしていると思う。
序盤に出てきた厭なヤツが痛い目にあわないのが若干不服だが、押し並べて因果応報がほどよく配置されていて、ストレスフリーなのがありがたい。
あちこちに、世相を反映させた皮肉や辛らつな世評が入っている割に、楽観的な視点が組み込まれているのが好感度高い。
安楽椅子探偵役の年上変人女性と、実働役の年下がたいはいいけど童顔のちょっとたよりない青年という、組み合わせとして実に映える感じなので、日本でコミカライズしたらかなり良い感じになりそう。
挿絵がないけれど、表紙のイラストはかなり怖くも美麗、しかし本編に出てくる実際とは違っているので、若干表紙詐欺的な印象は否めない。
続編が既に出ていて、五部作として計画されているとのことだから、続きがとても楽しみだ。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃおもしろい。一気に読んでしまった。
雨季になると深海から巨獣リヴァイアサンが上陸し、なにもかもめちゃくちゃにしてしまう世界。人類はそれに抵抗するため、巨大な防壁を何重にも築き、重火器や軍隊によりその「帝国」を維持している。リヴァイアサンは人類の敵ではあるが、同時にその血は動植物に突然変異をもたらす恩恵でもある。帝国をささえる官僚や軍人たちはリヴァイアサン由来のバイオテクノロジーにより肉体や精神を強化したり特殊能力を獲得しており、食物や建築素材も突然変異によるものが多い。
雨季が近づく辺境の地で、ひとりの技術官僚が不審な死を遂げる。急成長する樹木が身体をつきやぶり、一瞬で死んでしまったのだ。この事件を解決するのが、司法省捜査官のアナ。そしてその助手である主人公のデイン。デインは「記銘師」という一度見たり聞いたりしたことをすべて記憶する特殊能力者。引きこもりのアナのかわりに現場におもむき、すべてを記憶する。それを元に、アナが直感と知識で推理をおこなうスタイル。このペアのやりとりが言うまでもなくホームズっぽくて楽しい。
事件はさらに拡大し、帝国の暗部ともいえる過去の事件にもつながっていく……というストーリー。
SFでもありファンタジーでもありミステリでもある。訳者のあとがきによるとヒューゴー賞と世界幻想文学大賞を受賞し、アメリカ探偵作家クラブ賞の最終候補にもなったそうだから、ぜんぶありで、どの観点からでも高い水準の作品であることは間違いない。
作り込まれた世界観もいいしキャラもよい。リヴァイアサンの血のおかげとはいえ、脳や身体を改造したり臓器培養や不老不死に近い技術まであるのに、それ以外のテクノロジーが中世レベル(移動は馬車だし、大砲はあるけど兵士の武器は基本剣だったり)というちょっと不思議なところもあるけど、あまり細かいところは気にせずに楽しめるエンターテイメントの良作。
あとがきのよると5部作らしく、2作目は去年本国で出版済みとのこと。翻訳&出版されることを願う!
Posted by ブクログ
奇怪な死に方をした男の調査から始まる物語。どんどんと謎が解明されていくとともに新たな謎が出てきます。
探偵役の推理がすごすぎてテンポよく物語が進んでいきます。最後まで飽きずに読めて面白かったです。
Posted by ブクログ
いや〜〜面白かった!なかなかグロテスクな描写もいっぱいで想像して うっ ともなるんだけど、幾重に絡んだ謎もヒントがいっぱいなので予想しながら楽しめたしハラハラ展開も不安なる程ひどい事にならなかったので割と焦らず最後まで読めました。
え、あの、ケフェウスその雰囲気ってまさかそういう・・?ってなってからは事件よりそっちがどうなるか気になってしまったけど(笑)だってまさかここまで見てきたあのディンにそんな展開くると思いもしなかったし!!予期せず萌ツボを刺激されてとてもニヤニヤでした。ちなみにこれがどの性別の組み合わせであろうとああいう関係性の生まれ方大好きです。
ただ色んな固有名詞の読み方がなかなか覚えられなくて(錬薬省:アポセティカルは最後まで無理だった)章ごとに毎回ルビ振ってくれてありがとうと思いつつもいっそ全部につけてくれという気持ちでした。
既にシリーズ2冊目出てるし3も出るそうだけど翻訳版はいつになりますか!リヴァイアサンの謎を知りたい気持ちでいっぱいだよ!!
追記
原書2巻目買いましたw