あらすじ
世界幻想文学大賞・ヒューゴー賞受賞、MWA賞最終候補。『進撃の巨人』風異世界の本格派ミステリ
帝国辺境で技術省高官が変死した。体から突然、巨大な木が生えたのだ。捜査を開始したアナとディンは十人の技術省技師が同様に死亡し、海から現れる巨獣を阻止せんための防壁が破壊されたと知らされる。帝国を揺るがす事件の謎を二人は解くことができるのか!?
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Posted by ブクログ
ロバート・ジャクソン・ベネットの『記銘師ディンの事件録』は、ファンタジーとミステリとSFを融合させた独創的な作品であり、その魅力は何よりも圧倒的な世界観にある。雨季になると海から巨大な怪獣が襲来するという過酷な環境の中で、人々は生体改変技術によって適応し、独自の生態系と社会を築いている。この“環境そのものが物語を動かす”構造が非常に新鮮で印象的だった。
中でも、天才的な推理力を持つアナの存在は際立っている。冷徹な論理で事件を解き明かしながらも、真実への強い執着を感じさせるその姿は非常に魅力的で、物語の核を担っている。一方、語り手であるディンもまた印象深い。完璧な記憶力という特殊能力を持つ観測者としての役割があり、アナとの絶妙な会話が物語にポップさを与えている。
本作は単なる謎解きにとどまらず、人間の認識や理解の限界に迫る物語でもある。世界と人物、そして事件が密接に結びついた、極めて完成度の高い一作だと感じた。