あらすじ
昨日も暇だった。明日もたぶん暇だろう。結婚6年目、専業主婦。子どもはいない。退屈でない暮らしなど、考えただけでゾッとする。多忙な夫は今夜も家に帰らない。この緩やかな生活に、猫と隣家の息子が飛び込んできてから、何かが崩れ始めた。封印したはずの衝動。少年との、二人だけの秘密。嘘は次第に周囲を巻き込んで――。マンション住まいの主婦の平凡な生活が一変する様を、ドラマティックに描いた傑作恋愛長編小説!
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Posted by ブクログ
面白かった
専業主婦6年目の汐美ちゃん 手塚さん
夫は仕事で留守
ある日、夫が猫を持って帰ってくる
隣の家の息子ルフィオと知り合い、家にくるように
その後父親のダニーも家に来るように
そしてある日ネコをベランダから突き落とす…
あなたには帰る家があるの真弓と同じマンションに住んでた!
Posted by ブクログ
山本文緒さんが描く女性は、惨めで哀れでリアルで痒いところに手が届く。
私は何もしない専業主婦になりたくて結婚したから、「今日も暇、明日も暇」に幸せを感じるタイプ。これが私の欲しかった暮らし、ここにルフィオのような若い男の子が現れたら…溜め息がでるくらい羨ましい出来事だけど。不倫はこの暮らしを脅かすことがわかるから現実ではしない。でもこの主人公が私の代わりに「もしも」の行方を教えてくれた、だから星5をつけました。
Posted by ブクログ
山本文緒さんの書く女性主人公は
飄々として見えて底知れない狂気を抱えていて
目が離せなくなる
誰かと一緒に居ても感じる孤独
そんな気持ち誰にでもあるんだと思うけど
どうやって折り合いつけるべきか分かない
でも、汐美はひとつだけ明確に欲しいものがあって
そしてこの本の展開はめちゃくちゃになって。
なんとなくそれで私も満足した。
生きるために死んでいたというフレーズ
すごくすごく印象的。。。
Posted by ブクログ
主人公は退屈を求めていて、何も考えずに暮らしていけるような平凡で平和な毎日を望んでいて。
だけどそんな日常を自ら壊してしまう。
人生には、積み上げてきたものが、一気にどうでも良くなってしまうような瞬間ってある。
この主人公は全部を失っても「悪くない感情だった」と言っているから、退屈を求めつつも刺激を求めていたのかもしれない。
刺激っていうのは単純に不倫をする事によって得られる非日常の刺激とかではなくて、自分が自分であるための、自分で人生を選び取っていくという意味での刺激みたいなものかなぁ。
読み終わった後に何とも言えない爽快感ともの悲しさが残った。
Posted by ブクログ
中学一年生の男子ってこんなに大人びてるっけ?と思った。
関わる機会がないからどんなものなのわからないけど、わたしが中学一年生だったときの同級生はこんなんじゃなかった。
うまく人物像がつかめなかった。汐美がどう頑張っても28歳に見えなかった。でも汐美がこんな感じだから一向に帰ってこない夫を責めないしおかしいとも思わないんだろうなと思った。均衡が取れていないようで、取れている。奇妙な夫婦関係。
最後はルフィオと汐美の関係がバレて裁判沙汰になるかと思ったら、意外とあっけなく終わった。本当に北海道で一緒に暮らせるのかが気になる。
Posted by ブクログ
女性の塊
選ばれたい女の性癖。資本は美貌。猫、手近な男、男の子に求められまくる。
女性が浸りたいエンタメかな。
私は軽く頷いた。「父ちゃんはさ、給料を持ってくる機械みたいに自分のことを思ってるみたいだけど、そうじゃないんだ。えーとさ、うまく言えないけど、父ちゃんってすごく普通の人じゃん?」「常識的だよね」「そう、それ。母ちゃんは母ちゃんで外っかわだけきれいにしとけば中はどうでもいいって奴だし、妹は末恐ろしいガキだし、俺はこんなじゃん。その中に、あのハゲ親父がいるだけで、何となく空気がさ、えっと……」「中和される?」「そう、それ」
Posted by ブクログ
眠くて眠くて何もやる気がおきない時の空気感が漂う小説。
意思もなく自ら塔の中に閉じこもって色んなことをただ受け入れているお姫様。
色々意味不明としかいいようがないしお隣の少年がこんな女に好意を寄せるのが納得いかない。
でも、こんな腑抜けになった女が抱えていたのは、かつて夫と愛し合ったこと、それが過去になってしまったという事実。それに決着をつけてしまうことの怖さから、自分から何か起こすことを避けて城に閉じこもる。だけどきっとどこかで変わることを望んでいたから、外からきた変化は受け入れる。その結果自分で城を壊すことになる。
結局は夫婦関係の不和からうまれた鬱の症状だと思うと可哀想だけれども。
人は何も変わらないということもできないんだなあという話。