【感想・ネタバレ】イランとアメリカ、そしてイスラエル 「ガザ以後」の中東のレビュー

あらすじ

ガザ戦争は3回目の停戦合意後もイスラエルの空爆による死者を出し続けている。ハマスと戦うイスラエル、その後ろ盾となるアメリカ、ハマスを支援するイラン。イランとアメリカの複雑な関係にイスラエルが加わりますます混迷を深めている。核開発問題でトランプ大統領は再びイランを攻撃するのか。いくつかの流れが合流して中東を激動させる。国際政治の構造変化を軸に歴史、宗教、民族から最新動向まで中東研究の第一人者が解説。イラン、アメリカ、イスラエルをめぐる壮大な変遷史!

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Posted by ブクログ

イランとアメリカがなぜここまで揉めるのか、イスラエルはなぜイランと揉めるのか等々、中東の政治状況の基本的な問題について、知っているようで分かっていない状況を整理したいと思っていたら、なんとアメリカがイランに攻撃を仕掛けた直後に本書が発売されるというタイミングの良さ。これは読むしかないと手に取りました

本書はイランという国家の成り立ちから1970年代の中東戦争、冷戦期、そしてイラン・イラク戦争を経てアメリカの対テロ戦争、最後にオバマ・バイデン・トランプの時代に至るまでの経緯を分かりやすくまとめてあります。

かつてアメリカがイランの石油利権を握るため、親米政権を樹立させて武器供与までするほど肩入れしていたのに、親米政権がホメイニ師の革命で倒されると、大使館人質事件などを経て一気に「イラン=悪」という位置づけに変化しました。しかし、その後もイラクのフセイン政権や、ソ連との確執の中でアメリカがその時々の都合でイランに近づいては、袖にするというご都合主義でイランを振り回してきたことが良くわかります。

また、イランはかつての四大文明の時代から世界の歴史を担ってきたという歴史大国としてのプライドを持っています。日本から中東を眺めると、アラブとペルシャの違いがよく分かりません。著者は”アラブ人とペルシャ人を混同することは、日本人と中国人を混同するのと同じぐらいの大きな間違い”と表現していて、その例えは非常に腑に落ちました。そんなイランのプライドや、アメリカに対する猜疑心を全く理解していないトランプが、「ちょっとアメリカがその気になったら頭を下げてくるだろう」みたいな感じで手を出したのでしょうが、ローマ帝国や、モンゴル帝国の時代からそれら大国と鎬を削り、したたかに生き残ってきたイランが早々に折れるわけもないのが良くわかりました。

歴史上の位置づけから、近現代史に至るまでの流れが非常に分かりやすくまとめてあります。ただ、分かりやすくといっても複雑に絡み合う地域の話だけに、新書で500ページ近いボリュームです。特にアメリカの内政と対イラン政策の絡みを交えた近現代史あたりの章は興味深く読み通せました。

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2026年04月30日

Posted by ブクログ

とても分かりやすい、中東情勢の入門書でした。
歴史的にも内政によって中東政策が振り回されてきた米国、米国に対して愛憎入り乱れる感情を抱くイラン、裏でコソコソ動き回る悪の権化イスラエルの3カ国の長く複雑な歴史を俯瞰している良書です。
筆者はイランのルーツを日本の京都に喩えていますが、古代から文明を担ってきたという矜持がありつつも、その後奪われた苦難の歴史から外国に対する猜疑心が根深いとの事。ただ、米国に対しては長年の恨みの蓄積もありつつも、上手く取り入りたいという相反する思惑もあり、米国とイランの内政状況が変わる度に、お互いがうまく交わったり離れたりする事を繰り返してきた歴史があるのがよく分かります。
足元の中東情勢に関しては、その関係を引き剥がそうとしているイスラエルがまずあり、その甘言で誤った方向に進んでしまったトランプという事でしょうが、歴史は繰り返すというのは正にこの事ですね。

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2026年04月16日

Posted by ブクログ

本当に勉強になった。アメリカがいかにダブルスタンダードか。イスラエルが一貫して酷い国か、イランが複雑な、そして中国よりも長い歴史を持ち、隣接諸国に蹂躙された歴史もあり京都人的なメンタルも持ち、交渉に強い点もすごく勉強になった。

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2026年04月06日

Posted by ブクログ

少し作者の政治学者としての意見が強い部分があるようにも感じたけれど、昨今の中東情勢やそもそもなぜそれが起きるのか?を古い歴史を紐解きながら学ぶことができてとても勉強になった。
日本人だからこそ分かりづらい、宗教が政治に与える影響の大きさも感じた。
中東関連の今後の動きを、少しだけ俯瞰して考えることができるようになりそう。

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2026年05月10日

Posted by ブクログ

高橋和夫「イランとアメリカ、そしてイスラエル」(朝日新書)
ハマスのイスラエルへのゲリラ戦、それを好機としてガザに全面侵攻したネタニエフ率いるイスラエル、そしてイスラエルはイランへの爆撃を敢行し、アメリカも引きずられる。レバノンのヒズボラ、シリアのアサド政権崩壊も絡む複雑な中東情勢についてイランの歴史や革命、アメリカのユダヤ教やキリスト教福音派の影響なども含めて詳細に記述されており、大変興味深い。

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2026年04月23日

Posted by ブクログ

2025年までのイラン現代史をざっくりと、イスラエルとアメリカとのこれまでのおさらいができる本。
個人的にはだいたい知っていたので、もう少し周辺の事情にも踏み込むか、あるいはイランの内部事情を詳しく書くかしてくれると良かった。
入門の人には十分な内容だと思う。

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2026年03月23日

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