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Posted by ブクログ
書店で会計をするときに新書で1500円を超えていて少し驚きましたが、中東情勢を理解するための入門書として良書だったと思います。
本書を一読しただけでは、頭を素通りしてしまっていた情報も多かったですが、NHK BSスペシャルの「ネタニヤフと極右 ~戦闘拡大のジレンマ~」を見た後に、もう一度読み直すとイスラエルやネタニヤフ首相の動きについても少し理解が深まったように思います。
また同時に、紙面の都合上仕方がないとは言え、イスラエルの国内情勢についてももう少し詳しく書かれていると、イスラエルに対するイメージもまた違ったものになっていたかと思いました。
Posted by ブクログ
テレビでコメントする学者として知っていた。どうせ権力側に都合のいい御用学者だろうと思っていた。ところが「朝日新書」である。それも普通の新書2冊分の厚さ。読み進めるとガザから始まり南アのアパルトヘイトへ。面白い。ぐいぐい読める。
ヒズボラ、アサド政権、イランへと話は進む。それぞれに長い歴史から解説されるのでほんとに面白い。
中東の複雑さや、関わっている米欧の、平穏より利権に走る様が物語として展開される。
面白さの原因は、学者の割に実は推測を大胆に提示していることにあるのではないか。
先に読んだ早尾貴紀「希望のディアスポラ」は行動する学者の書いたもので、高橋和夫氏の本は広く深くまさしく解説の書であった。しかしどちらもが世界史を教科書的な支配者側の視点でなく、逆の立場から見ることの重要性を述べているという共通点があると感じた。
ほぼ同時期にこの2冊に出会えたことは幸運であった。
Posted by ブクログ
イランとアメリカがなぜここまで揉めるのか、イスラエルはなぜイランと揉めるのか等々、中東の政治状況の基本的な問題について、知っているようで分かっていない状況を整理したいと思っていたら、なんとアメリカがイランに攻撃を仕掛けた直後に本書が発売されるというタイミングの良さ。これは読むしかないと手に取りました。
本書はイランという国家の成り立ちから1970年代の中東戦争、冷戦期、そしてイラン・イラク戦争を経てアメリカの対テロ戦争、最後にオバマ・バイデン・トランプの時代に至るまでの経緯を分かりやすくまとめてあります。
かつてアメリカがイランの石油利権を握るため、親米政権を樹立させて武器供与までするほど肩入れしていたのに、親米政権がホメイニ師の革命で倒されると、大使館人質事件などを経て一気に「イラン=悪」という位置づけに変化しました。しかし、その後もイラクのフセイン政権や、ソ連との確執の中でアメリカがその時々の都合でイランに近づいては、袖にするというご都合主義でイランを振り回してきたことが良くわかります。
また、イランはかつての四大文明の時代から世界の歴史を担ってきたという歴史大国としてのプライドを持っています。日本から中東を眺めると、アラブとペルシャの違いがよく分かりません。著者は”アラブ人とペルシャ人を混同することは、日本人と中国人を混同するのと同じぐらいの大きな間違い”と表現していて、その例えは非常に腑に落ちました。そんなイランのプライドや、アメリカに対する猜疑心を全く理解していないトランプが、「ちょっとアメリカがその気になったら頭を下げてくるだろう」みたいな感じで手を出したのでしょうが、ローマ帝国や、モンゴル帝国の時代からそれら大国と鎬を削り、したたかに生き残ってきたイランが早々に折れるわけもないのが良くわかりました。
歴史上の位置づけから、近現代史に至るまでの流れが非常に分かりやすくまとめてあります。ただ、分かりやすくといっても複雑に絡み合う地域の話だけに、新書で500ページ近いボリュームです。特にアメリカの内政と対イラン政策の絡みを交えた近現代史あたりの章は興味深く読み通せました。
Posted by ブクログ
とても分かりやすい、中東情勢の入門書でした。
歴史的にも内政によって中東政策が振り回されてきた米国、米国に対して愛憎入り乱れる感情を抱くイラン、裏でコソコソ動き回る悪の権化イスラエルの3カ国の長く複雑な歴史を俯瞰している良書です。
筆者はイランのルーツを日本の京都に喩えていますが、古代から文明を担ってきたという矜持がありつつも、その後奪われた苦難の歴史から外国に対する猜疑心が根深いとの事。ただ、米国に対しては長年の恨みの蓄積もありつつも、上手く取り入りたいという相反する思惑もあり、米国とイランの内政状況が変わる度に、お互いがうまく交わったり離れたりする事を繰り返してきた歴史があるのがよく分かります。
足元の中東情勢に関しては、その関係を引き剥がそうとしているイスラエルがまずあり、その甘言で誤った方向に進んでしまったトランプという事でしょうが、歴史は繰り返すというのは正にこの事ですね。
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