あらすじ
昭和54年大阪、猟銃を持って銀行に侵入し、四人を殺害して立て籠もった花川清史は香川からヘリで駆け付けた母の説得を拒絶し、射殺された。事件解決後、新聞記者は犯人の生涯を掘り起こし、母は問い直し、愛人は振り返る。『ホテルローヤル』『家族じまい』などで親子、愛憎を描いてきた著者がその究極に迫る長篇小説。
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Posted by ブクログ
桜木紫乃氏、「ホテルローヤル」「蛇行する月」を読み、筆力のある作家、と思っていました。さて税込2,750円の長編、どんな本に仕上がっているのか…
題材は、昭和54年、1979年に起きた、銀行人質立てこもり事件。当時私は高校生か…この事件、テレビ中継や新聞報道で内容を知ったはず。Focus、Fridayが創刊するのは1980年以降で当時はまだ存在していない。
本書では事件そのものにほとんど触れない。焦点は、犯人の花川清史の母、内縁の妻、の目線を主に、なぜこの男が犯行に至ったのかをゆっくりと描き出す。
作中、描き出す側としてこの事件のノンフィクションをまとめる記者とその上司も重要な登場人物でこの作品に軸を通す存在として描かれる。犯人花川の心理を周囲の人間を描くことで浮かび上がらせる…のだが、犯人花川の実母、内縁の妻、記者、その上司、と視点が散ってしまった感がある。私の読みが浅いのか。
作品最後段で、花川の母が骨壺をあけ、頭の骨を出すシーン。骨に銃撃された穴が開いているのを観るところ。事件後も内縁の妻が花川の母に何度か会いに行くところなど、著者の筆力を感じるシーン多数。
こんな長編、いつの間に?と思って奥付をみたら、週刊新潮連載だった。週刊新潮、毎週読んでたのに。