あらすじ
第68回江戸川乱歩賞受賞作。
史上最年少、選考委員満場一致。
「大新人時代」の超本命!
本格ミステリーの骨法もよく心得ている――綾辻行人
特A、もしくはA+、もしくはAA――月村了衛
二人の女性のバディ感が最高に楽しい――柴田よしき
極限状況で生きてゆくひとが、愛しくなる――新井素子
非日常を日常に落とし込む、その手捌きは実に秀逸である――京極夏彦
―滅びゆく世界に残された、彼女の歪んだ正義と私の希望
正義の消えた街で、悪意の暴走が始まったー
小惑星「テロス」が日本に衝突することが発表され、世界は大混乱に陥った。そんなパニックをよそに、小春は淡々とひとり太宰府で自動車の教習を受け続けている。小さな夢を叶えるために。年末、ある教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見する。教官で元刑事のイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める――。
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Posted by ブクログ
イサガワ先生、好きだ。強く、考えに芯がある、しかしそれゆえに危うい女性、好きじゃないわけがないよな。現実離れした世界なのにやけに現実臭くて、世界も人間も書くのがお上手だ。ライフラインが丁寧にえがかれていてよい。終わりかたも綺麗。
Posted by ブクログ
もう、出だしから普通じゃない。自動車学校で教習中のハルとイサガワ教官の会話が、完全におかしい。
「実家暮らしか……家族は?」
「弟がひとり」
「母は逃げました……」
「父は一昨日自殺しました」
これだけでも「は?」だ。しかも、この後はもっとひどい。
「お父さんは埋めた?」
「まだ、何もしてなくて。天井の梁からは下ろ
したのですけど……」
この後、ようやく物語の設定が明かされ、納得するのだが、あまりのインパクトの強さに、ディストピアの世界にどっぷり浸かってしまった。コロナ禍を思い出させる世界観に加えて、ミステリーでもあるのだが、事件の真相そのものよりも、世界の終わりに直面したとき、人はどう行動するのか、自分ならどうするのか、という方に心を動かされた。
ハルは、自動車免許を取って、自らの運転で行きたいところがある。そのことがラストで明かされる。伏線があったにもかかわらず、私は気づくことができなかった。
それでも、世界が終わるという救いのない状況下で、自分の希望を持ち続けるハルの姿が、強く印象に残った。どんな状況に置かれようとも、人の心までは支配できない。そこに、人間の尊さを感じた。
Posted by ブクログ
世界の終末という設定に惹かれて購入。
小惑星の衝突を控え、住人がほとんど居なくなった福岡の様子が細かくリアルに描写されていて、その世界観は読んでいて楽しかった。
ただ、物語のメインとなる連続殺人の真相には物足りなさを感じた。みんなすぐに死んでしまうのに、なぜ敢えて殺したのかという大きな謎に対しての真相が薄っぺらいなと。
福岡残留村など終末世界ならではの魅力的な要素もあってワクワクしたのでそういったところももっと深掘りしてほしかったな。
Posted by ブクログ
所謂終末物ながらそれを普遍的に描き、かつ状況を主人公が説明してくれるので分かりやすい。主人公が物事に詳しいことにもちゃんと理由がある。変わった登場人物が多いが、各々の感情や人柄が伝わる文章の読みやすさが1番気に入った。ミステリに関しては最初に犯人っぽいなと思った人物がそのまま犯人だったのは面食らったが、次々と新しい場所や登場人物が増える中で読者が混乱しないよう整理されて書かれている。教官が無能だと言ってた刑事に最終的に助けられたことや恐らく読者が好感を持ってた人物を殺したのはミステリらしくて好きだった。
Posted by ブクログ
もうじき隕石が落ちてきて滅亡する世界で、連続殺人犯を追いかける話。
機能停止した九州で、なおも教習所に通うハルと教官の先生は、教習車のトランクに詰め込まれた遺体を発見し、犯人を追っていく。
限界世界で連続殺人が行われる理由や、やたらと星に詳しいハル、少女ナナコにもう少し登場した意味が出てくるのかと思っていたけど、特に何もなかった。
Posted by ブクログ
面白かったです
隕石が落ちてどうにもならないと分かったからこそ綺麗な一面を覗かせてくる人もいれば、残忍な一面も覗かせてくる人もいる
残酷な現実と美しい景色が同時にやってくるのがとても良い皮肉でした
Posted by ブクログ
面白く読んだ。
癖のないきれいな文章で伏線も絶妙。小春の名字が出てこないというミスリードに最後まで引っかかっていた。
よくできたミステリである。とてもデビュー作とは思えない質の高さ。
しかしイマイチ物語に入り込めないのは、人物に対する書き込みが薄いことと、イサガワの動機が異常者すぎるせい。ストーリーとしてはシスターフッド物でもあるはずなのに、この2つの理由でそういうふうには読めない。
まぁそれも含めて新本格っぽいのか・・・