あらすじ
オリジナル文庫と電子書籍同時発売!
悪ガキたちの昭和史から、映画『風立ちぬ』、日本の明日まで。
世界の「宮崎駿」と昭和の語り部「半藤一利」がニッポンを語る!
半藤「ヨーシ、こうなったらうんと長生きして、やっぱりもう一作、宮崎さん、待とうじゃないの」 宮崎「いやいや、それはちょっと待ってください(笑)」。宮崎駿監督が「かねてからお目にかかりたかった」という昭和の語り部・半藤一利さん。「漱石好き」という共通点からたちまち二人は意気投合。宮崎作品最新作『風立ちぬ』で描かれる昭和史をたどりつつ、持たざる国・日本の行く末を思料する。貴重な対談で構成された、オリジナル作品。
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Posted by ブクログ
・「太平洋戦争 日本航空戦記」の表紙を谷井健三という絵描きひ書いてもらった際に「どうしても描けない」と言った
・才能のない連中が戦争をしたがるのである→才能のないものが成り上がるための時代への皮肉
Posted by ブクログ
「愛国談義」とタイトルにあるが、中身は夏目漱石の話から始まり、新作の「風立ちぬ」の話、そこから発展して関東大震災や太平洋戦争へと続いてゆくが、話はこれらのテーマを行きつ戻りつして、取り止めがない。あちらこちらに面白い話がちりばめられている。どれか興味がある話があれば、「なるほど、なるほど」と思って読めば良い、そういう気楽さのある本だけれども、中身は濃い。
半藤さんはあとがきでこのように書いている。
「いまの日本の政治は期末利益優先の株式会社の論理で国家を運営している。わたくしにはそうとしか見えません。とにかく目先の利益が大事であって、組織そのものの永続は目的ではない。自然環境や医療や教育や自活の方策など、国民再生産の重要課題などは後回しで、その日暮しで、国民の眼くらましとなる利益のあがる政策最優先です。」
本当にそうだと思う。今の日本は行先が定かではない、その不安を誤魔化すように毎日毎日景気動向の話で盛り上がっている。でも肝心の行き先は誰にもわからない、そのことを正視するがこわくて、『一億総活躍社会』なんて言葉が出てくるのだろう。
第2部の終わりの方に”「持たざる国」の将来のこと”という章で、宮崎さんが「健康で働く気があれば大丈夫。それしかないだろう」「不安がるのが流行っているけれど、流行に乗っても愚かなる大衆になるだけだからやめなさい」「不安なときは楽天的になって、みんなが楽天的なときは不安になれ」と言っているのが面白い。「「この生き方が正しい」なんて、そんなこと決めないで、いろいろでいい。困るときは、みんなで困るしかないんです。オタオタするなら、みんなで一緒にオタオタするしかない。」とにかく生きろ!と言われているようで、なんだかよくわからないけれど、ふっと笑ってしまう。そしてふっと肩の力が抜けたところで、さぁもう少し頑張ってみるか、と思える言葉だ。
ただ「今日本で着るものも食うものも自分ではつくっていませんね。そのことは、あんまり大丈夫じゃないなぁ」「しかもいまの日本人には、この国には資源がないという発想がない」ともいっている。「持たざる国」であるという発想がない。それではどうすればいいのか・・・?この後宮崎さん半藤さんなりの意見がもちろん書かれているが、それこそ「この生き方が正しい」なんて決めないで、それぞれがオタオタと生きればいい、そういうことなのだろう。
Posted by ブクログ
少しずつ世の中良くなっていると信じたい
「30年も経てば世界には国境がなくなるのでは」の10年後北朝鮮は変わりなく、ウクライナ戦争は終わらず、イスラエルは無茶苦茶
歴史は見通せない
Posted by ブクログ
付箋つけたとこ。
・漱石「坊っちゃん」は中学校を下敷きにして大学を皮肉っている。
・「こころ」の奥さん……女の人が思われていることに気づかないわけがない。
・「草枕」のユートピアは俳句が下敷き。
・零戦は描くのが難しい機体。
・日本は守れない国。資源を持たざる国。だから原発を。
・大和や武蔵は武力誇示宣伝に使えばよかったのに、あえて隠匿した。
・腰ぬけ愛国論だってある。
・ひとつのジャンルは50年。アニメも。鉄腕アトムがちょうど50年前。
・実際に立っていた建物と、現代の観客がそれを無化の姿と思えるかどうか。
・隅田川には空母の代わりに橋が建てられた。
・芥川を主役にした探偵モノ。とぼけた推理の漱石。
・堀越二郎と堀辰雄を宮崎監督の親父を重ねて描いた。
・自分が一番美しかった時を、時代のせいで失ってしまった人たち。
・神西清。「詩を散文で書ける人はあまりいない。¥:
・堀越は山師。本庄は生活人。
・ジャン・カプローニ=ルネッサンスの人。
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2013年9月に初読。
2020年8月に再読。
付箋つけたとこ。
【第一部】半藤が映画を見る前。
・駿は「草枕」好き。半藤、何でも則天去私と言う小宮豊隆はつまらない、一種のファンタジー、桃源郷だ。
・漱石「坊っちゃん」は(松山時代の中学校を下敷きにして)東京大学を皮肉っている。
・「こころ」の奥さん……女の人が思われていることに気づかないわけがない。
・新聞の後続の志賀直哉が書けないというから、「こころ」は延ばした。
・「草枕」のユートピアは俳句が下敷き。
・駿、大和と武蔵がかっこいいと思う自分と戦ってきた。
・零戦は描くのが難しい機体。
・日本は守れない国。資源を持たざる国。だから原発を。
・大和や武蔵は武力誇示宣伝に使えばよかったのに、あえて隠匿した。
・腰ぬけ愛国論だってある。
・ひとつのジャンルは50年。アニメも。鉄腕アトムがちょうど50年前。
・デジタルにすると赤が強烈な蛍光色になってしまう。
・実際に立っていた建物と、現代の観客がそれを昔の姿と思えるかどうか。
・隅田川には空母の代わりに橋が建てられた。
・関東大震災、祖父、これはダメだッ。すぐ飯を炊けッ。
・芥川を主役にした探偵モノ。とぼけた推理の漱石。
【第二部】半藤が「風立ちぬ」を見た後。
・駿、おやじは実は前妻があったが、病死している。
・堀越二郎と堀辰雄と宮崎監督の親父(シティボーイ)、三人を重ねて描いた。……父を重ねていたと、他の関連書ではあまり言及していなかったはず。
・母親の脊椎カリエス。胎教にうっかり「フランケンシュタイン」。
・自分が一番美しかった時を、時代のせいで失ってしまった人たち。
・神西清。「詩を散文で書ける人はあまりいない。優秀なのは堀辰雄だ」
・堀田善衛は、堀辰雄に「文学者になるなら文学を生活しなさい」と言われた。
・漱石は人生で三度万歳と言ったらしい、と芥川。上田敏がヨーロッパ外遊、そのお祝いの席で小さい声で言っていたとか。
・零戦ではなく、堀越の生きた昭和史を描こう。
・遅れて来た軍国少年。
・ドイツは親日的ではないのに、海軍はドイツ好き。なんでも士官にドイツ女性をあてがわれていたから、とか。
・堀越は山師。本庄は生活人。
・声優よりは、存在感のありなし。
・ジャン・カプローニは、ルネッサンスの人。
・中島飛行機が牛で引っ張った道、あまりにも凸凹しているのでコンクリートで舗装、実はそこが「トトロ」のバス停。