あらすじ
新時代の知性 人類のミステリーに迫る衝撃作
斎藤幸平氏推薦!
「短期的な成功を競うほど、社会は破滅へと近づく――それが「ダーウィンの罠」だ。本書は、進化の力と資本主義が結託する危うさを暴き、私たちに協調にもとづく新たな社会像を迫っている。絶滅の回避はまだ可能だ」
私たちはなぜ、短期的な成果にすがり、長期的な展望を見失ってしまうのか。
企業の不正から、核兵器やAIの進化まで。経済学の理論などを用いて、スウェーデンの気鋭の知性が、よりよい選択をするための方法を探る。
1902年、フランス領時代のベトナムのハノイでネズミが大繁殖した。
役所では「ネズミの尾を切って持ってきた者に報酬を与える」という触れ込みを出した。
役所には大量の尾が持ち込まれるが、市内のネズミは増えるばかり。
…実は人びとは報酬目当てに尾だけを切り、ネズミは放していたのだ。
さまざまな場面で「短期的な成果を出すために、長期的な目標、展望を見失う」という過ちが起きてしまうことがある。
著者はこれを「ダーウィンの悪魔」と呼ぶ。ダーウィンの唱えた進化の「選択圧」(その環境によって、生物の進化が一定の方向に導かれてしまうこと、圧力になってしまうこと)になぞらえて、良くない結果つながっていく現象になぞらえた言葉だ。
会社組織で数字を達成するために、マネージャーが不正をしたり従業員に厳しくすることで、結果的に利益より大切な社会的信用を失ってしまう。
AIによる知の軍拡競争、SNS、国家同士の対立など…困難な選択に、私たちはどう立ち向かうべきか。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ダーウィンの進化論によると、生物は特定の形質が自然選択の圧によって、種における支配的な個体数を持つというプロセスで進化が発生する。これは別の側面では個体が自らの利益を最大化するような行動を取ることによって種全体としては損失となることもある。これをダーウィンの罠と名付けその影響を様々なレイヤーで検証する。そこから脱却するためには現在の資本主義から評価市場へと移行するという道標を示している。
物事を善悪ではなく、原理的に起こり得てしまうのでシステムを改修する、という視点は非常にエンジニアリング的だと感じた。また述べられている評価市場は、実装としてはPIXYのようなものと同じ思想であると思った。
Posted by ブクログ
気候変動が散々問題になりながら中々CO2排出を削減できないなど、なぜ人類は悪いと分かっていることを止めることができないのか。一口に、各個人や企業に選択圧がかかっており、それぞれが利益を享受する手段を最適化しているだけ…そうしないと他者との競合に負けてしまう…これをダーウィンの悪魔と呼ぶと。
とても分かりやすかった。ダーウィンの悪魔により人類は確実に破滅に向かっているが、生存者バイアスのせいで気付けていないというのも納得。
後半にでてくる評判市場の構築、それに必要な巨大な影響力を持つ者の働きかけは、必要だし目指さなくてはいけないが今の段階では理想論なのかもしれない。応援しつつ、自分でできることをやっていきたい。