あらすじ
武士から菓子職人に転身した変わり種の主、治兵衛。父を助ける出戻り娘、お永。看板娘の孫、お君。
親子三代で切り盛りする江戸麹町の評判の菓子舗「南星屋」には、味と人情に惹かれやって来るお客が列をなす。
麹町を大火が襲った夜以来、姿を見せなくなった気のいい渡り中間を案ずる一家だったが、
ある日、思わぬところから消息が届き……。
「誰だって、石の衣は着ているもんさ。中の黒い餡を、見せねえようにな」
ほろりとやさしく切ない甘みで包む親子の情、夫婦の機微、言うに言えない胸のうち。
諸国の銘菓と人のいとなみを味わう直木賞作家の大人気シリーズ、最新刊!
〈収録作〉
饅頭くらべ
母子草
肉桂餅
初恋饅頭
うさぎ玉ほろほろ
石衣
願い笹
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
第1話 江戸で南星屋という和菓子屋を営む治兵衛。雲平という雇人を雇っていて、娘のお永、孫のお君も手伝っている。鹿蔵という参勤交代についていって諸国を巡っている鹿蔵が情報収集をしてくれて、地方のお菓子を作っている。家事が起こって、鹿蔵に手紙を託された。牛込の弟のところに逃げる。
第2話 毎年3/2は一家揃って蓬摘みに出かける。お雛様の菱餅に使うためだ。菱餅は縁起物なので売れ行きがいい。そのためみんなで朝から晩まで餅を撞き拵える。注文を頼まれていたお崎ちゃんが取りに来ないので、心配してお君が持っていくとお母さんと喧嘩していた。
第3話 お君に菓子屋さんの唐木屋さんから縁談がある。しかしそれは今様子見。両親が算盤が得意な兄と職人の弟どちらに継がせるか今になって揉めているらしい。
第4話 菓子屋治兵衛の弟石海が菓子断ちをしているという。治兵衛は菓子を持参して弟を見舞った。今日は尾張餅と青柳餅である。だが食べなかった。訳を問うと、石海は美緒という女性との昔話を語り出した。
第5話 子供がやってきて、離縁状を書いて欲しいという。店ではどういうことかわからなくて、子供を家に入れてうさぎ玉という菓子を与える。それはすっかり別れているお永の元旦那のことだった。
第6話 鹿蔵の妹が南星屋に現れた。鹿蔵の託した手紙を欲しいと言われたが、咄嗟に疑念が湧いて渡さずに様子を見ることにした。
第7話 治兵衛の主筋の岡本家から呼び出しがかかる。鹿蔵は目付の下で働く小人目付であり、本名小暮周馬というらしい。
Posted by ブクログ
麹町の菓子舗「南星屋」第3弾。前作で辛いことがあったお君ちゃんも元気いっぱい、レギュラー陣が大活躍する中、新キャラが現れて、第4弾以降も楽しくなる予感です。
とにかくお菓子が美味しそうだし、連作短編ながら大きいしかけもあり、色々な角度から楽しめます。
Posted by ブクログ
今回も読んでいるうちにヨダレで口の中がじわりと潤う。
菓子名が出るたびに検索せずにはいられない。
おかげで発見があった。
行き付けの老舗菓子屋で食べた事がある菓子が出てきてびっくり。
その名も「石衣」!!
最初はうさぎ玉かと思ったが、後々読み進み判明。ちょっと感激。
Posted by ブクログ
このシリーズ大好き。
江戸の様々な職業のことなどが分かり、お菓子の繊細な描写も魅力的。
お君のまっすぐさが良い(が、時に危険でもある)。
雲平さんがだいぶ親しみやすくなってきた。ずっと南星屋にいてほしい。
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。今作ではミステリー要素が入っている。
7つの短編だが、最初に出てきた怪しい中間が謎の言葉を残し行方不明になる。敵が襲いそうになる不穏な空気を感じながら進んでいく。話の中心は全国の銘菓。それに夫婦や恋人達の微妙な機微の人情噺を挟む。本来なら美味しい話や恋愛話に集中したいところだが、事件の行方が気になってしまう。中間の妹を自称する女が現れ事件が動き出す。南星屋の旗本出身の出自を生かし、事件に当たる。意外な事件の結末にホッとしてしまう。