【感想・ネタバレ】ジェンダー・クライムのレビュー

あらすじ

死んだ男の息子は集団レイプの加害者だった

ジェンダー・クライムの連鎖を断ち切れ!
罪と罰と赦しを問う、著者ならではのノンストップサスペンス

八王子南署刑事課の鞍岡直矢の元に、殺人事件の一報がもたらされる。殺されたのは54歳の男性、佐東正隆。裸に後ろ手で縛られた遺体には、肛門に擦過傷と、「目には目を」というメッセージが残されていた。 浮かび上がったのは、佐東の息子・進人が3年前に起こした集団レイプ事件。
昔気質の強行犯係の猛者・鞍岡は、バディとなったどこか掴みどころのない警視庁捜査一課・志波倫史と共に事件を追うが、最重要人物だったレイプ事件被害者の兄・竜介が姿を消し、曰く付きの元警官・伊崎が接触してきて……!?
佐東殺しの犯人は誰なのか? そして、隠された志波の過去とは?

「ジェンダー・クライム」とは――DV、痴漢、盗撮、虐待、同意なき性行為、児童買春、ストーカー行為や暴力、女性を狙った無差別な攻撃、性に関する偏向した考えや性文化に起因する犯罪、著者はジェンダー・クライムと名付けた。

単行本 2024年1月 文藝春秋刊
文庫版 2026年2月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

主人公、鞍岡は、柔道有段者の刑事課、警部補。中二女子、小六男子の子を持つ。旧知の仲である生活安全課の依田警部(女性)とともに、未成年女子の猥褻動画を撮影、販売している半グレグループのアジトに乗り込み、一斉逮捕をするところから、話は始まる。その後、管内で遺体が上がる。裸で拘束、絞殺された中年男性。尻の中からビニールに包まれたメモ『目には目を』が見つかる。男は、三年前に、集団レイプ事件を起こした四人の犯人のうちの一人の、父親だった。

「女の腐った奴、とはどういう意味です?」と、鞍岡と依田が、頭からやり合うように、全編を通して、性別における偏見、差別に対して、厳しい目が向けられている。核となるのは、三年前の集団レイプ事件で、関わったのは、①根っからの根性悪(政治家とつながる家系)②その友人(不良)③④二人に利用されている気弱な子の四人で、その事件は①の祖父のつてで不起訴になっていた(もみ消しに関わった刑事がいる)。裸の死体は、④の父親であり、①②③の家にも、姿を現していたことが確認され、犯人は、そのときの被害者の兄だと、早々に目される。が、どうやら、もみ消しのため働いた、調査員である元刑事も、関わっている様子(調査過程で知りえた情報をネタに、加害者を脅していた?)。並行して、鞍岡がかつて関わった、DV被害にあった女性、鞍岡の娘の友人(義父からの性暴力?)などの出来事も描かれる。

鞍岡は、擦り込まれたジェンダーに基づく発言をすることもあるが、誠意ある刑事で、コンビで動くことになった志波は、徹底した合理主義者であり、フラットに物事を見ることができる男。終わりのほうで、彼の過去が明かされるところは、胸が痛くなった。そして、意外な犯人と、そこに至った事情も、苦しかった。付き合う男、すべてにDVをふるわれる女性の話も。「女のほうにも非があったんじゃないか」という、社会に蔓延している見方について、考えさせられる。

べつの準強制性交の事件についても、警察は過去に逮捕状の執行を止めていた。それについて、殺人事件でも同じことをしたのかと、つきつける。それがすべてだろう。

今も、若い女性が刃物で刺され、死亡する事件は頻発している。それに対して、女の容姿、職業、過去などを詮索するような報道も、それを視聴者が求めているような空気も。

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2026年02月16日

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