【感想・ネタバレ】リア王 ――シェイクスピア全集(5)のレビュー

あらすじ

老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固める。二人の姉は巧みな言葉で父を喜ばせるが、末娘コーディリアの率直な言葉にリアは激怒し、彼女を勘当、二人の姉にすべての権力・財産を譲ってしまう。ここから老王の悲劇は始まった。シェイクスピア四大悲劇の最高峰を第一人者による流麗の技で訳出。詳細を極めた脚注を付す。

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Posted by ブクログ

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シェイクスピア四大悲劇の一つ。リア王と三人の娘たちの話、グロスター伯爵とその二人の息子たちの話が交差する。

冒頭、ちょっと言葉が足りないだけで、いきなり激高するリア王には面食らった。甘言の心地よさに惑わされ、最も愛ある娘の真意を読み取れぬ浅はかさ。切り捨てられても愛と忠誠を貫く娘と家臣の気高さ。親を裏切る息子、勘違いを受けて好機を待つ息子。そういった様々な人間の思惑、言動が胸にしみる重厚な物語だ。単に悲劇的なだけではなく、人間の愚かさと高潔さが、彩り濃く描かれていることが非常に印象深い。全滅エンドではなく、これだけの悲劇がありながら、わずかに希望を感じさせる終わり方をするのがすごく良かった。ケントさんは尊敬できるし、何よりもエドガーさんがカッコ良すぎる。まだ全作品を読んではいないが、個人的に本作はシェイクスピアで一番のお気に入り作品になるかも。

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2022年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リアの敵対者側の繋ぎ役であるエドマンドの存在が面白かった。
上の姉妹たちの関係を上手く収束させていた。

あれだけ王に付き添っていた道化が
後半に出てこなくなるのが寂しいし不気味。
道化とコーディリアが一人二役の演出はぜひ見てみたい。

コーディリアが言葉足らずなおじさんみたいって考察を
どこかで読んだことがあって、
確かに読んでいて「もっと身の潔白を話しなさいよ!」
とも思ってしまう(笑)

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2022年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

遺産分配の際に自分への愛を上手く伝えられないコーデリアを相続から外すリア王。フランス王と共にフランスに旅立つコーデリア。遺産分配後に2人の娘ゴネリス、リーガンに冷たくあしらわれるリア王。グロスター伯爵の元に身を寄せるが・・・。グロスター伯爵の庶子エドマンドの陰謀。陰謀により追放されたエドガー。ゴリネルの扱いに気がふれるリア王。リア王に追放されながらも忠誠を貫くケント伯爵。エドマンドにより追放されるグロスター伯爵。伯爵のために復讐を行うエドガー。上陸したフランス軍を率いるコーデリア。

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2013年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『リア王』は子どもの頃、お子様向けの読み物で読んだ記憶がある。三姉妹の父であるリア王が、一番優しいはずの末娘の言葉に怒り、追い出してしまう、その悲劇の顛末。…あたりは割とよくある昔話にも似たストーリーで、微かに記憶に残ってた。だが、シェークスピアのこの原作(翻訳であることは大前提として)はさらにグロスター家の父と息子たちも登場。元になった史実はあるみたいだけど、それにも増して、シェークスピアならでは(イメージです)の皮肉や性的なジョークも散りばめてある作品だった。
自分の財産を娘二人に分け与えた後、それぞれのところに代わりばんこに寄宿し世話になろうというのは、今も(というか今なら尚更?)トラブルの元。案の定、長女の元を追われ、次女からも疎まれることになる。
この作品を読んだきっかけは、この松岡和子さん翻訳の脚本で演じられる舞台を見に行くことになっていたから。(以下、舞台の感想も混じります。)結局、始まるまでに全部は読み終えられなかった。演じられた作品は大胆な演出で現代的というか前衛的なものになってた。シェークスピアの昔風の舞台をイメージしながら読んでたもので、前半戸惑ってしまったことは否めない。むしろ読んでなかった方が先入観なく見られたかもしれないという反省はした。ただ、登場人物を整理しながら読んでいたので、そこの理解はスムーズだったかも⁇予め元の戯曲を読んでいるのは悪いことではないと思うけど、そこからどんな演出がされるかはわからないから、なかなか諸刃の剣というところはある。聴力が落ちてきている年代なもんで、何を言ってるか、読んでた方が安心できるけど…。(俳優さんによって、聞き取りやすい方とそうでない方がいらっしゃったのは否めない…)
まぁ、パンフの情報くらいで、あんまり予備知識を入れない方が、今回においては良かったかな~。
読まずに見ていた最後、次々に人が死んでいく。心のどこかで救われる結末を期待していた自分に気付いた。そういえば『リア王』は四大悲劇の一つだった。
見終わってラストを読んだ。これがああなったのか…。やっぱり大胆な演出だ。正直、お金と時間があれば、もう一度見たい。というか、見落としてるところがたくさんある気がした。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シェイクスピアによる「4大悲劇」に含まれていることは予備智識として知っていたが、じっさいに読んでみるとなるほどたしかにこれは悲劇である。しかも、これ以上ないくらいの。何しろタイトルになっている「リア王」はもちろん、その娘たち3人とも最終的には亡くなってしまう。これではあまりにも救いようがない。せめてコーディリアだけでも生き延びてほしいというのが、多くの読者の願いではないだろうか。しかし、この悲劇は元はといえば、リア王が理不尽にコーディリアを勘当したところから始まる。そう考えると、この悲劇は誰にも止める術がなく、はじめからこのような結末を迎えるしかない運命だったのであろう。「邪知暴虐の王」は、かならず除かれなければならない。だから読んでいて、ゴネリルとリーガンの謀略もそれほど酷いとは思わなかった。断罪されるべき人間が「正しく」断罪される物語である。そのため、作中の人物にとっては間違いなく「悲劇」なのであろうが、今日の感覚でいえば、自己中心的な「悪人」たちがバタバタと倒れてゆくことに対して快哉を叫ぶような、「喜劇」としての側面もあるかもしれない。

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2020年02月16日

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