【感想・ネタバレ】ロシア・シオニズムの想像力 増補版 ユダヤ人・帝国・パレスチナのレビュー

あらすじ

●『ユダヤ人の歴史』『シオニズム』の著者デビュー作、待望の増補版!●

パレスチナに行かなかった「シオニスト」たち
忘れられたユダヤ思想の文脈に光をあてる
シオニズム運動の枢要を担ってきたロシア帝国出身のユダヤ人たち。しかし彼らのなかには、シオニストでありながらあえてロシアにとどまる「ロシア・シオニズム」思想の系譜が存在した。歴史的な文脈を丁寧にたどりながら、シオニズムの新たな側面に光をあてる。新たに補論を加えた待望の増補版。


【主要目次】
序 章 パレスチナに行かなかったシオニスト

第1章 ロシア帝国におけるシオニズムの生成:一九世紀終わりのロシア・ユダヤ人と初期のシオニズム

第2章 「ネーション」概念にはいかなる利点があったのか:集団内アイデンティティと集団間アイデンティティ

第3章 本質規定を忌避するナショナリズム:純粋な社会性の追求

第4章 シオニズムの「想像の文脈」:ロシア・シオニズムは何を持ってパレスチナに入ったのか

終 章 一九一七年:消えた帝国、散っていった夢

補 論 イスラエルの特殊性の普遍的起源

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Posted by ブクログ

本書は歴史的にあまり着目されてこなかったロシア・シオニズムの成り立ちと特質に光を当てるものだが、その焦点は西欧・アメリカ・更には現代イスラエルにまで届く骨太な論考だった。
主な個人的発見としては以下。
・ナリョナリズムの大家や社会学者にユダヤ人が多いこと。これは間接的にユダヤ人のアイデンティティが影響しているものと推察できる。
・シオニズムはむしろディアスポラの中で他民族と対等にふるまいたいための手段と捉えられている向きが強く、パレスチナに行くことが全てではない
・ヨーロッパの東西、政治・社会・文化に対する捉え方の違いから、シオニストと言っても多数の派閥が存在していた

読みながらアリソンの「決定の本質」を思い出していた。意思決定や行動は外からは見えない複雑性に因っている。
しかし皮肉なのは、ロシア・シオニストもまたパレスチナ現地民を「アラブ人」と一括りにしており、これが現代にまで尾を引いているという事実である。
長いけど読む価値があった。巻頭の地図や巻末の年表、事典も理解の助けになる良書。

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2026年04月04日

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