あらすじ
高校の修学旅行の夜。鳴海くんとの間に感じた、恋とは違う、何か特別な感情……七年後、会社員になった有麻は、それを確かめるべく、東京に行くついでに、彼に会ってみようと思い立つ。はたして鳴海くんは、同じあの時間、何を感じていたのか?せつない一週間の東京観光を描くロングセラー!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
高校生の頃に同級生と「セ」(ックス)の一文字すら喋れなかった私とは、そもそもクラスタが異なる。
というやっかみはさておき。
不思議な読後感。
何が起きたわけでもない、ただカメラアイとして存在するだけの「私」が、なぜか引っ張りだこ。
具体的にはみんな彼女に「自分の部屋へおいで」と声をかけてくるのだ。
最終的にはいわゆる「ゆきずり」へと。
(宿泊場所を変えられない自分とはまた、クラスタ違い。)
この図式的な感じは『春の庭』でも気づいたが、それがいったい何を示すのかは、やはりわからない。
「セックスフレンド」云々のエピソードはなぜか心に残っており、それを確かめるように動く。
つまり《過去の記憶に触ろうと》している。
この感覚を描くために、この中編はできたのではないだろうか。