あらすじ
「私は、〈永遠〉という響きにめっぽう弱い子供だった。」誕生日会をめぐる小さな事件。黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。ぐれかかった中学時代。バイト料で買った苺のケーキ。こてんぱんにくだけちった高校での初恋……。どこにでもいる普通の少女、紀子。小学三年から高校三年までの九年間を、七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。第一回本屋大賞第四位作品。
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Posted by ブクログ
楽しい読書だった。
気づけば頬を緩めるような文体だった。
多分、重いテーマについて深く掘り下げて
いくような作品ではなく、70,80年代のどこにでもいる女性の生涯の刹那を切り取っていることと、作者の作風からそう感じたのだと思う。
しかし、タイトルの永遠についてハッとするようなシーンがあり、
それが太陽は数十億年後、なくなりそれに伴い、
永遠の象徴だった地球もなくなってしまうと紀子が知って、永遠ではないのか、、と思い、こうしてはいられない! と奮起するシーン。
終わりのことなんて全く意識していなかった紀子が明確に永遠の終わりを感じたところでもあり胸にきた。
また、永遠の終わりについて 春子ちゃんとの最初の別れを今から振り返り、少女期に感じていた別れと大人になった今の自分が感じる人との別れの重さについて言及されているシーンも好きだった。
たしかに、少年期は友達との別れは永遠のように思えるし、泣いたこともあったが、今はどっかで会えるだろうという安心というか油断とも言える感情ありきの別れだな、、と思い、幼い頃の瑞々しさを思い出した。
Posted by ブクログ
思春期で抱く複雑な感情が、温かい雰囲気の中描かれているように感じました。
自由と快感だけを求めて勝手に過ごしていた日々を思い返し、胸が締め付けられました。
『幼い幻想を勝手に押し付けて失望し、自由であることのリスクも背をわずに甘い蜜だけを求めていた。』
読んで良かった作品。