あらすじ
いつもと同じ時間に来る電車、その同じ車両、同じつり革につかまり、一週間が始まるはずだった――。丸の内に勤めるOL・片桐陶子は、通勤電車の中でリサーチ会社調査員・萩と知り合う。やがて二人は、身近に起こる不思議な事件を解明する〈名探偵と助手〉というもう一つの顔を持つように……。謎解きを通して、ほろ苦くも愛しい「普通」の毎日の輝きを描く連作短編ミステリー。
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Posted by ブクログ
「普通」の毎日の中で起きるちょっとした不思議な事件。
謎が謎のままで残っているとモヤモヤする。
平凡なOLと自分では思っているかもしれないけれど、陶子の頭の回転の速さと観察力・行動力は結構たいしたもんだ。
そして萩くんの記憶力。
ふたりに共通する優しさ。
読後感がとてもいいのは、彼らの人柄のおかげだ。
だけどちょっと待って。
よ~く読んでみたら、結構刑事事件に該当する謎が「いい話」っぽく解決されてますよ。
右京さんなら許さないところだね。
陶子が少しずつ人間的に成長し、自分を捨てた母親と向き合えるまでになったこと。
大人の弱さを受け入れながら、人をまっすぐに見つめることが出来るところ。
成長小説としても読むことができる。
加納さんの小説って、好きだなあ。