あらすじ
誰しもけして逃れられない、死(自殺)について深く考察し、そこから人生について、善人と悪人との差異、生きることの意欲の本質へと迫る! 偉大な思想家の歴史的な名著を読みやすく新装復刊!!
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Posted by ブクログ
生きようとするする意志は、死を願うという形をとっていよいよ明らかに現れ、その極端な表現がすなわち自殺である。という皮肉。また意志を否定し我慾を放擲することによってむしろ悟性に到達できるという仏教の思想に通じる感性、この世はもともと悲惨、人間はもともと卑劣。意識している表象の世界は単なる個人の妄想に過ぎないなど、ありとあらゆる悲観の向こう側に、達観した安らぎさえ覚える不思議な思想世界にいざなう名著。読むことによって生きることそのものから怒る苦痛や苦悩まで否定されていき軽くなっていく感じがした。物事をとらえる感性を変えられた。
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ショーペンハウエル 「自殺について」
著者の代表作「意志と表象としての世界 」の補論集。論考テーマは 自殺、生の空しさ、悩み、存在としての不死など。各テーマ共通して 厭世的な雰囲気はあるが 暗さはない。
著者の言いたいことは「世界は表象に過ぎないのだから、苦悩や不幸も表象に過ぎないし、存在として人間は不死なのだから、個体としての死は意味がない」ということだと思う
「生は夢であり、死は目覚めである」「人生は迷妄であり、人生そのものに内容はない」など 一見すると、死を積極的に捉えたり、自殺を増長しているような言葉もあるが、読み進めると なるほどと思う。
「生は夢であり、死は目覚めである」
死の前に 存在としての不死性を認識せよというものだと思う。存在としての不死性は、キリストの復活や永遠性と関係しているのか?
人生を「現在の各瞬間であり、いまは既に終わっているもの」と定義した上で「人生は迷妄であり、人生そのものに内容がない」
人生を追憶することに意味がなく、幸福を求めたり、不幸に苦悩することに意味がない という意図だと思う
悩みや自殺に関する言葉は、かなり本質をついているように思う
*私たちが意欲することがそのまま私たちの不幸なのである〜意欲は満足させられるものでないから、人生は悩みとなる
*人間の一生は、全体として観ると悲劇であるが、部分的に眺めると喜劇である
*自殺は、生きようとする意志の現れである〜いつまでも生きたいという志向が、耐えられないほどの苦悩によって打ち負かされた結果である
*自殺によって滅ぼされるのは、生そのものでなく、生の現在的な現象であり、個体のみにとどまる
*自殺は、苦患に充ちたこの世の中から形の上からだけ解脱することで紛らわすこと
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哲学者が書いたものとしては、読みやすいとのことだが、それでも一読してすんなり入ってこない部分もたくさん。翻訳の問題ということもあるのかも。
朝目が覚めて、今日も死んでなかったな(睡眠も死も似たもの?)と思うことや自分は子供を残した時点で生物としての役割を終えてしまったのではないかと思うようになりました。
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・我慾を廃棄することによって、わたしたちは、生に対する絆から放たれ、生に関する生存の重荷である自我は永久に振り捨てられ、認識は残っているにしても、中心はなくなり、球形も失せる、いいかえると、外なる世界は存続しているが、我はないのだ。
・個体的存在の根底には、あるひとつのまったく異なったものが存在し、このものの現れが、すなわち個体的存在なのだから。このものは決して時間を認めない。従って、また、永続をも滅亡をも認めない。
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ドイツの哲学者 アルトゥル・ショーペンハウアーの論文集。彼の代表作"意志と表象としての世界"は哲学に興味を持つと一度は通る道ではないでしょうか。本作は、死について考察を行っており、前半が"パレルガ・ウント・パラリポメナ"から5編、後半が"ノイエ・パラリポメナ"から5編を収録しています。哲学の本は作者の思想の一端を掴むまでがとにかく苦行になりがちですが、本作は巻末の解説が丁寧なので読みやすいかと思います。キリスト教的な西洋の考え方というよりも仏教やヒンズー教などの東洋の考え方を重視しているように感じました。
Posted by ブクログ
ショーペンハウエルは、この世の中は、どれほど悩み苦しみに、迷いや愚かしさに、さてはもろもろの害悪に満たされていようとも、当たり前のこと、と述べる。
もののけ姫のアシタカが言ったようにそれでも苦しみ生きよう、ということなのだろうか?
自殺を思うことは、生きようとする意志の表れ、と言われると、自殺を考えた時の心境を振り返ると、確かに自分は本当は強く生きたいのだ、という感じがする。
苦しみ生きよう、と今後も力強く言えるかは分からないが、ショーペンハウエルのような賢者も悩んだ道を私も歩み、生涯を終えたいと思う。