あらすじ
リーマン・ショックで金融資本を救った国家が次々、危機に瀕するという恐ろしい連鎖が始まった。グローバル化のデフレ圧力で中間層が破壊され、未来への投資が停止し、民衆とエリートの対立が深まる「冬の時代」。この長く続くであろう危機、大恐慌の足音が聞こえる時代を日本が生き抜くために必要なのは、過剰な流動性を生んだグローバル化の危うさと各国の社会構造の本質まで分析する「経済思想」だ。『TPP亡国論』で論壇の寵児となった中野剛志と気鋭の経済思想家・柴山桂太が徹底的に危機の時代への処方箋を語りつくす!【目次】はじめに――壊れゆく世界を行きぬくために 中野剛志/第一章 グローバル化の罠に落ちたアメリカと世界/第二章 デフレで「未来」を手放す日本/第三章 格差と分裂で破綻する中国とEU/第四章 冬の時代のための経済ナショナリズム/おわりに――歴史は繰り返す 柴山桂太
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Posted by ブクログ
グローバル恐慌の真相
■合計196ページ
一章:グローバル化の罠に落ちたアメリカと世界 42ページ
二章:デフレで「未来」を手放す日本 66ページ
三章:格差と分裂で破綻する中国とEU 40ページ
四章;冬の時代のための経済ナショナリズム 46ページ
本書は2008年度に起こったリーマンショックによるグローバル恐慌の要因を、
1989年冷戦集結後にアメリカやEU、中国各国のグローバル化の弊害を基に
言及した本。
アメリカの経済格差や日本の政治問題(デフレ対策)について述べたあと、
中国の民族問題についても触れているところは非常に興味を持った。
・日本経済の安定化
→公共投資増によるデフレ脱却措置
→内需拡大による国際競争力強化
→イノベーションを生める土壌づくり
を行うべきだと感じた。
難しかったので約10%程しかできていないように思う。
Posted by ブクログ
・グローバル化というものが今始まったものではなく、第一次世界大戦前や第二次世界大戦前において起きていたものだという見方、考え方に驚きました。ITの進歩も含め、過去のグローバル化の歴史がそのまま現在に当てはまるとは思っていませんが、歴史に照らし合わせることができる部分が多分にあるという点では、面白い観点だと思いました。
・アメリカの住宅バブルという幻影がリーマンショックを引き起こし、現在のヨーロッパ経済の不安を引き起こしている点についての記載については自分の考え方を確認する意味でも読んで良かったと思いました。また、デンマークなどの福祉国家がうまくいっていた要因として、アメリカの住宅バブルの恩恵の大きさが挙げられていた点についても自分にとっては新たな気づきでした。
・保護主義、重商主義、自由主義など、これまでの自分の中での定義と異なる定義がなされており、とても勉強になりました。
一般に言われている「~主義」というのも含め、それぞれ言葉の定義の解釈に違いがあるのだから、広いとらえ方で話を解釈しないと大きな誤解を生んでしまうなと思いました。
色々と書きましたが、まだまだ自分が不勉強な為、ただただなるほどと思いながら読んだという印象です。
他の方が書かれているように、同じ方向性を持った人同士での対話だったので、この考え方に対して反対意見を持っている方の考えを見てみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
特に印象に残ったのは、資本主義と市場経済との違いを記載したところ。需要とは消費だけではなく、消費+投資であるとし、現在の支出が現在の利益ではなく将来の利益になるところに資本主義の市場経済との違いがある。
(シュンペーター曰く”自分が支出したものが将来誰かの利益になるかもしれないというモラルが資本主義を支えている”)
また、国際金融の歴史をトリレンマ理論(「国際的な資本移動の自由」「為替の安定」「各国の金融政策の自律性」の3つを同時に確保することは難しい)を用いるととてもわかりやすい。
Posted by ブクログ
日本も世界もこれまで滅茶苦茶な経済政策を実施してきた以上、もはや将来がバラ色になる処方箋はないということを自覚しなければならない。今、できることはこれ以上悪くなるのを如何に食い止めるかといた消耗戦しかない。しかも瀕死の日本経済であれば、応急処置にすぎない金融緩和と財政出動のセットによる施策もやむなし。待ったなし。グローバル化が進展する中でのデフレの必然。グローバル化故に国民の経済格差を縮小できない中国の苦悩。ケインズ主義的な不況対策は国民が統合化された福祉国家でしか成立しない現実。興味深い内容が随所にちりばめられている。新たな視点で多くを学ばせてもらった。
Posted by ブクログ
若干よみずらさはあったものの、対談形式で用語も丁寧に例を交えて解説されている。
経済学に関心のある人は読みやすいが、日本がどのようにしていまの「失敗」に突き進んできたのか、世界の反例を挙げながら解説している。
ただ、若干読みずらい。