あらすじ
2001年9月11日、崩れ落ちるツインタワーの衝撃的なTV映像を撮ったのは、本書の著者トニィ・ヒラシキ。米三大ネットワークを代表する名カメラマンである。ベトナム戦争報道から30年、レバノン内戦、イラン革命、チェルノブイリ事故、ベルリンの壁崩壊など、大宅賞受賞の前作『キャパになれなかったカメラマン』のその後を、貴重な証言・エピソードとともにたどる、“ファインダーから目撃した現代史”。
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戦後日本を振り返りたい人に
戦後日本の激動をレンズで切り取った写真家たちの回顧録。
土門拳、奈良原一高、細江英公ら巨匠が自らの代表作や時代との対峙を振り返る。
モノクロの強烈な一枚一枚に、焼け跡の復興、学生運動、安保闘争、沖縄返還の空気が凝縮されている。
技術論よりも「なぜ撮ったか」が中心で、カメラマンが時代とどう向き合ったかが痛切に伝わる。
特に土門の「絶対写真」への執念や、細江の「薔薇十字架」裏話は胸を打つ。歴史を追体験できる貴重な一冊。
写真愛好家だけでなく、戦後日本を振り返りたい人にも強く薦めたい。
Posted by ブクログ
『キャパになれなかったカメラマン ベトナム戦争の語り部たち』で
ヴェトナム戦争を取材したメディアの人々の群像を描き、『ハート
ブレイク・ホテル』では日本人記者たちに「あなかたにとってあの
戦争(ヴェトナム)は何だったのか?」と問いかけ、自らもその答え
を模索した。
そんな著者の3作品目はヴェトナム戦争以降の回想録だ。アメリカ
の3大ネットワークのひとつ、ABCのニュース・カメラマンとして世界
各地で目撃した出来事を時系列で綴っている。
レバノンの戦乱から東西冷戦の終結、アメリカ大統領選挙の随行
取材、そして最年長のカメラマンとして走り回った9.11アメリカ同時
多発テロ。
ヴェトナム戦争終結後から21世紀初頭までの大きな出来事の
ほとんどを網羅しているのだが、全2作品でもそうだったのだが
著者が他者に向ける視線のなんと温かく、優しいことか。
仕事を共にした記者、音声、プロデューサー、取材相手に対して
の敬意が文章の端々に感じられる。
40年のニュースカメラマン生活、欧米社会で働く日本人として
人種差別に晒されたこともあった。それでも恨み・つらみはなく、
「いい画」を撮ることで周囲の信頼を勝ち得たのだろうことが
伝わって来る。
そして、著者の思いはやはりヴェトナムへと帰って行くようだ。
それはヴェトナム戦争取材の大先輩・岡村昭彦や、ピュリツァー
賞受賞者である酒井淑夫等の名前が何度も登場することで
分かる。
ロバート・キャパにはなれなかったかもしれない。しかし、著者は
本書の題名通り「目撃者」として時代を伝えて来た。
2006年、ABCを依願退職。ヴェトナム戦争を振出しに、40年に
渡り世界のニュースを撮り続けたカメラマンに敬意を。