あらすじ
学校だけに依存しない学力向上のための論議。英語の早期教育は本当に効果があるのか。詰め込み教育は間違いか。ドリル式学習の問題点など、大きく捻じ曲がった日本の教育の「幼さ」を学力向上の観点から問う。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
日本の教育を国際比較した本。日本の教育は一つの完成品である。ただ、時代の要望と合わなくなっただけ。変えなくても大丈夫だけど、変えたいとのこと。不安があるから。
日本の教育は’’学問としての誇りを捨てて人材訓練場’’になるべきか。そこが論点なのかなと思った。
でも、日本はまだまだ経済力があるからそんなに勤労意欲高くいかなくてもいいのになぁ…。
2006年のこの本から日本の教育はどれだけ変われているだろうか。2012年のPISAの結果は、①数学的リテラシー:日本7位(フィンランド12位)②読解力:日本4位(フィンランド6位)③科学的リテラシー:4位(フィンランド5位)、とりあえずPISAでは勝てるようになった。日本人らしい学習能力ww
やっぱりPISA用の勉強が功を奏したんだろうww
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p75 ゆとりvs詰め込み
詰め込み教育では考える力や批判力はつかない。人格が硬直化する。なんていう懸念のもと始まったゆとり教育。ふたを開ければ、ゆとり世代より詰め込み世代のほうが能力高いという事実!!
これは、、、勉強量と人間力は相関性薄いのか?たぶんゆとりを持ったのが悪いのではなくて、指導が甘くなったからなんだろうな。ゆとり教育の批判はお門違いで、あまい教育の方だけを批判すべきなのである。
p108 教育問題と社会問題
日本では、子供のほとんどが18歳まで学校に行っている。その結果、少年犯罪はすべて教育問題にカテゴリできる。もし、義務教育後の就学率が5,6割だったら、未就学者の犯罪などは社会問題にカテゴリされる。日本の青少年の犯罪が少ない理由の一つ。
この仕組みは、未成年を守る、また直に法で裁くことの緩衝材になる。今になって、この仕組みが良いのか悪いのかってことになっているが、日本の特色としてこのまま残した方がいいと思う。
p116 社会問題のコスト
上記の続き。未成年の社会問題を教育問題にして丸く治められるから、日本の社会問題へのコストダウンが成されている。つまり学校にしわ寄せがいっているということ。そんなこともあって、かつては学校も問題解決者としての権限を認められていた。
しかし、時代が変わり、権利意識の高まりとともに学校の権威を引きずり落とそうという意識が高まった。これは必然的なことなんだろうが、今の学校の先生は本当にしわ寄せを正面から受け止めなければならず、つらい。つらい。。
p128 教育の国際競争って何(フィンランドの新聞)
日本がフィンランドの教育を意識するのはPISAで負けたから。一方フィンランドはPISAの結果をほとんど意識していないようである。勝者の余裕というわけでなく、教育の国際競争を理解できないようである。
スポーツとか企業活動では競争はある。しかし教育は他者に勝つより、自分がどこに到達できたかが大事であるという認識だから、教育に競争が関連することが意味不明のようである。
確かに、能力開発はそうである。日本に限らず資本主義を短絡に考えているところは、教育もスポーツ感覚で競争することが大事になっている。(韓国も中国も)
まぁ、この考え方があるから日本はこれだけの経済大国なんだろうが、悪いところも明らかである。
p149 学歴社会は本当にあるか
日本は学歴社会である。といまだに言われ続けているが、実際どうなの??仕事には能力適性があるし、学歴選別はそれほど否定されるほどのことでもないと思う。つーかあれも時代の産物で、今はどうなの??そんな悪いものもぅないんじゃないの?これだけ言われているのに無くなるものでないなら、必要なものなんではないのか!?
p186 日本の絶対評価
絶対評価は到達度評価である。言わば、「壁」である。個人が評価基準に達しなかったら残酷なまでに評価するものである。けれど、日本の絶対評価は人情が絡んでいる。日本人のいいところなんだか、悪いとこなんだか、本質を見誤っている。
でも、元フィンランド人から見ると日本のほうが良いとのことだそう。
p194 教育の真髄(プレッシャーが必要)
子供たちが大人になって必要な能力を身につけるようにするのが教育である。では大人に必要な能力とは何か。はっきり言えばプレッシャーへの耐性力、これさえあれば何とかなる。昔からある教育ではこれを伸ばしてきた。子供たちを高いストレスに曝すことで。体罰にしろ、詰め込み教育にしろ。
しかし、それは…倫理的に矛盾がある…。最近の教育では確かに子供へのプレッシャーは軽減された。けれど、ゆとり世代という骨抜き人材が育ってばかりとの批判もある。
これは教育における永遠に解決不可能な問題の一つである。このさじ加減をどうするか。甘口・辛口の論議を皆深く考えずに話さないほうが良い。
とりあえず、プレッシャーをかけたほうが良い人材ができるというのは事実。
p233 この本の本題
ここから先にすべて纏められている。再読の際はココだけ読んでもいい。
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問題の根源は少子化と東京一極集中の弊害にまとめられてしまう。少子化で人材育成のプレッシャーがある、だから人格より技術を伸ばすことが求められる。人口が東京をはじめ都市集中するから、求める教育像から多様性が失われる。都市で必要な資本主義的な教育を全国的に求めるようになる。
あーあ。
Posted by ブクログ
「日本と違って…という国では…」と語る批判は日本におけるインテリジェンスの常套句になっている。教育も同様に語られることが多い。日本の教育はそれほど悪くない、ということを再認識しつつも増田ユリヤさんのようなジャーナリストが多く日本の教育を語っている現状に憂いを感じます。刈谷剛彦さんは、諭すように対話を続けるのですが、何となくしっくりこない増田さんの言葉を読んでいると憂いがまします。どこかに理想の国があり、自分探しに奔走することはあながち「正しくないな」と思わせる本。刈谷剛彦さんは良いことも言ってはいるが、だから具体的にはどうしましょう?と思わず突っ込んでしまいたくなることもあったので☆3.