あらすじ
子供を妊娠し浮かれているサエコの家に、夫の姉・実夏子が突然訪れる。長い間消息不明だったという実夏子は、そのまま勝手に住み着いてしまった。真夜中に化粧をしたり、冷蔵庫のハムを丸ごと食べたり、と不審な行動を繰り返す実夏子。何も言わない夫に苛つき、サエコの心はかき乱されていく……。出産を目前に控えた女性の心の揺れを描いた表題作ほか、「昨夜はたくさん夢を見た」の一篇を収録。瑞々しい筆致で描き出された、心に染みる極上中篇集。
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Posted by ブクログ
妊婦、ピンクのバス、家族、ぬいぐるみ。
過去の自分と未来の自分の作り方。
妊娠中は読みたくないね。笑
不安感が様々な方向に向くのはわからなくもない。
ピンクのバスはどこから来て、どこへ行くのか。
夫は結局なんなのか。
姉は?
自分は?
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昨夜はたくさん夢を見た
こっちのがすき。
みんなガラス瓶の中にいるんだよ。
しっくりきた。
自分の時計は時間があっているのか。自分の目で見えてるものは周りの目にも同じように映ってるのか。
Posted by ブクログ
「ピンク・バス」と「昨夜はたくさん夢を見た」の2作品。
2作品とも、読み手の好みが分かれる作品なのでは・・・
・「ピンクバス」
少しシュールな雰囲気漂うストーリー。
意味不明なお話だと感じつつも、サエコになんとなく感情移入できるのは、何故なんだろ・・・と思いながら、後書き(「角田光代の”疲労感”について 石川忠司」)を読んだら、
「ピンク・バス」が扱っている問題は「意思」と「運命」との対立だと言っていいだろう。
・・・とあり、納得。
そういう観点から読むと、なかなか面白い作品だと思った。
・「昨夜はたくさん夢を見た」
生死にかかわらず、身近な人との別れに直面した時の、残された側の心情が描かれた作品。