あらすじ
日本三大随筆の一つ「徒然草」は鎌倉後期、吉田兼好によって書かれた作品。だが爾来、兼好の実体は藪の中である。本名はわかっているが生没年ともに不詳。徒然草原本は消失。最古の写本も兼好の死後数十年のものである。そもそも原本は存在せず、兼好が反古を壁や襖の張り紙としていたものを死後、弟子が剥がし集めたのが徒然草になったという伝説もある。誕生から六百六十年、研究が始まってから二百六十年、ずっとベストセラーであり続けた特異な随筆文学を残した兼好の人物像を、ノンフィクション作家があぶりだした。
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Posted by ブクログ
本書は、従来の兼好法師像である「隠者的な歌人」としてではなく貴族の家司であるとして堀川家の為に生きた、鎌倉幕府の政治情勢・宗教的変革・歌壇の勢力争いの渦中で生きざるを得なかった「現実主義者」として位置づけている
兼好の出自を倉栖某の子で早世した為、卜部氏(神官家系)に養われ貴族世界で生きてきたとしており、WIKIにあるように吉田神社の格付け家系捏造にも触れています
また『徒然草』が「なぜ書かれたのか」という謎にも参考とした林瑞栄の家司として謹慎中の主家への教育目的説の披露や、兼好が「世捨て人」像を自ら演出するための「自己弁護の書」として解釈する説は面白い時々の
兼好はエッセイストでも、抽象的な「徒然なる」皮肉を述べる人でもなく、時々の政治情勢に抗いロビー活動も熱心な血肉ある人間として蘇ります