あらすじ
ロシアによるウクライナ侵攻、世界的な移民排斥運動、権威主義的国家の台頭、トランプ2.0、そして民主主義制度基盤の崩壊……。
「なぜ世界はここまで急に揺らぎはじめたのか?」。共同通信社を代表する国際ジャーナリストが、混迷する国際政治の謎を解き明かすために、国際政治学者や評論家、政治家や現場を知る実務家へのインタビューを敢行。辿り着いた答とは?
プロローグ 「警察官」の退却
第1章 覇者の驕り―「無敵」から「Gゼロ」へ
第2章 「格差」の超大国―アメリカを蝕む病
第3章 リバンチズムー「大ロシア」再興の野望
第4章 百年国恥 ー中華民族の偉大な復興
第5章 「南」の逆襲ーBRICSの論理と心理
第6章 白人の焦燥ー「人種置換」の世界観
第7章 SNSと情報工作ー民主主義の新たな脅威
第8章 「警察官」の犯罪―時代遅れの戦後秩序
第9章 逆流する歴史―よみがえる伝統主義
エピローグ 「19世紀」へ向かう歴史
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Posted by ブクログ
なるほど。そうなのか。
その思いの連続でした。
例えば、ウクライナやイランの側から。また、ここには触れられていないイスラエルは。
国際関係が、本当に身近な話題として学ぶことができた。
Posted by ブクログ
「レコンキスタ(失地回復)」という言葉から現代史を読み解く。
いろいろな視点や考え方があると思うが、各国が「失地回復」しようとしていると考えると、一本の線で繋がり、今起きていることがしっくりする。
世界政治の話だけど「人間とは何だろう」という気持ちにもなった。
第7章はSNSと情報工作の話だが、「ここまでか…」と、強く驚いた。
まさに「事実は小説より奇なり」である。
Posted by ブクログ
歴史は繰り返されるってよく言われるけれど、
なるほど、こうやって繰り返されるのかと思った。
誰もがきっと戦争はしたくない。だけども、その時代において恩恵を受けることができず、常に変わる世界の環境や状況の中で、変化を受け入れられない人々がいる。そういう人が増えていくことで、自分たちの権威を守るため、人は戦うのだと、
後から振り返れば、なんであの戦争が、、、とか何も学ばないとか色々言えるけど、今を生きるこの瞬間を置き換えることはできない。
第二次世界大戦以後最大のうねりが起き始めてるように思う。
各国のそれぞれの事情や思惑が交差していく。
グローバル化して発展したその裏で失われた価値観や、文化を取り戻そうとどんどん自国ファーストがトレンドになっていってるこの世界はどこへ向かうのだろう。
そして自分は何を信じて生きていけばいいのだろう。
Posted by ブクログ
2回通読。アメリカ、ロシア、中国を中心に、ストロングマンと言われる指導者が次々と出現している背景を掘り下げられている。大国による失地回復の時代、彼らの行動原理を紐解き、そこから出てきたトレンドラインを理解することがこれからの世界情勢を理解するのに助けになってくれることを期待したい。
Posted by ブクログ
現代世界の地政学を理解するにはコレ。
キリスト教と富に造られてきた世界の価値観は、平和を導くとまだ信じるが、宗教や文化の反対側から見た正義も理解する必要がある。
特に中国やBRICSのスタンスは、新聞では知り得ない。
Posted by ブクログ
名著。世界を渡り歩いて取材を続けてきた川北先生だからこそ書ける本だと思った。
なぜアメリカ・ロシア・中国が今のように「力こそ正義」に陥ったのか各人物の生涯から紐解いてくれる。
ミドルパワーの我々にはたまったもんじゃない話が多いが、力がある国ならそれを存分に使う人が出てきてもおかしくないよなあ。
世界がおかしくなってるのは突発的に起こってるのではなくて、様々な要因が絡み合っているのだと感じる。
アメリカに関してはネオコンの時代からおかしくなっていったのではないか?日本人からしたら民主主義が当たり前なので世界がそうなればいいと考えてしまうが、段階を踏んでいかないとうまくいかない。それを強制しようとするから反米国家が生まれてしまうと感じる。
プーチン、習近平に関しても最初から今のような暴走をしていたわけではなく、世界と距離を縮めようとしていたことがあるのも意外だった。
今から関係修復して世界仲良くは難しいと思うが、その時々の外交の大切さが身に染みてわかった。
Posted by ブクログ
新書は最初こそ読みやすくてもだんだんとわかりにくくなり途中で投げ出すこともままあるけど、これは全編通してめっちゃ読みやすくてわかりやすくて面白くて3日で読めた。歴史だから当然いろんなことが突発的に偶発的に起きるわけではなく、全て流れがあり原因がありそれらが絡み合って積み重なって次々と必然的に事が起きているんだってことがよくわかって納得しつつも空恐ろしくなる。止められない時代の流れ、台頭する大国や権力を振るうストロングマンたちによるパワーゲーム、、世界はいったいどうなっていくのか…この戦慄の現実と待ったなしの警鐘を受け止めて対処する人類の叡智と良心が今、問われている。
Posted by ブクログ
どういう経緯で今の世界情勢が生み出されているのか、入念な取材のもと非常に理解しやすく語られていた。アメリカ、ロシア、中国。それぞれの利害が巧妙に混ざり合い、今の不安定な混沌とした空気を作り出している。一触即発という空気ではなく、それぞれの大国が自由にのさばらんとする世界。なんともおぞましい。小国に権利などないかの如く、これからも好き放題暴れ回るのだろう。
戦後の平和秩序の中で育ってきた世代としては、世界が19世紀頃の情勢に戻っていくことを想像するに、子供や孫たちに本当に申し訳ない思いでいっぱいになる。また合わせて、これが人間という生き物の本性なのかと極めて残念な思いを抱くとともに、人間としてこの世界の潮流に抗うこともできず、ただ行く末を見守るしかないことに、本当に忸怩たる思いを抱く。
これまでの歴史がそうだったから今回もまたそうなるということではなく、どうか人間が人間として成長し同じ過ちを繰り返さず、子供や孫たちが生きる世界が平和と優しさに溢れる世界であることを心より願ってやまない。
Posted by ブクログ
プーチン、習近平の生い立ちや思想ができるまでの過程がわかりやすく説明されていた。これにより、今のロシアや中国の政策や外交が、「ひどい国の、ひどいリーダーの政治」からなんとなく理解ができるようになった。
Posted by ブクログ
歴史を振り返れば「力」が世界を動かすのは世の常。しかし、一方的な押し付けは相手のプライドを傷つけ、やがて大きな反発を生みます。
以前は力こそ全てで自らを磨くべきだと思っていましたが、読後は、相手が力を持たない時ほど敬意を払い、信頼関係を築くことの重要性に気づきました。
特にルールが通用しない混迷期や変革期において、役職や正論を振りかざすだけの組織運営は通用しません。大切なのは、相手が守りたい聖域や価値観を尊重すること。そして、困っている時こそロジカルに説得するのではなく、共に目指すべき魅力的なストーリーを語り、感情に寄り添いながら導く。これこそが、これからの時代を生き抜くリーダーの行動指針です。
Posted by ブクログ
複雑怪奇な現代社会の秘密を、「レコンキスタ」というマンガっぽい響きを感じるコトバを幹に据えながら、数多の関係者を縦横無尽にインタビューしてあぶり出した一冊。小説より小説だった。問題は、これが小説と違って、ノンフィクションだということ。小説と違って、結論がコントロールできないこと。
かつての猪瀬直樹作品のような、お世辞にも面白いとはいいにくい切実な話題まで、ぐいぐい読ませる筆力に脱帽。
あまりに巧すぎて、なるほど!うわーそうなのか!という感想が止まらないのだが、逆にそこまで巧すぎることで、「この本の主張って、ホントのホントに世界の解説になってるんだろうか?偏向ないんだろうか?」と勘繰りたくなるぐらい、物語に飲み込まれてしまう。
大学生じゃ遅いかもしれない。高校生2年生には読んで欲しい一冊。
Posted by ブクログ
歴史的な系譜、現在地点の確認。
多層的に起こるレコンキスタ(失地回復)。
・中国の百年国恥
・「北」への不満、BRICS台頭・拡大、ロシアへの戦略的中立
・白人の「グレート・リプレイスメント」への焦燥
・SNSによるローン・ウルフ(孤独なテロリスト)の発生、選挙介入
・経済格差による米国の「夢の喪失」、戦後秩序への信頼の瓦解
・勢力圏の世界、19世紀への逆流
Posted by ブクログ
なぜ世界はこんなにも急に「力こそ正義」へ傾いたのか——その問いに正面から答える一冊。国際ニュースの「なぜ」を腰を据えて整理したい人におすすめ。
著者は共同通信社の国際ジャーナリスト・川北省吾氏。ブリュッセルやワシントン、国連担当などを歴任した実務家が、政治学者・評論家・政治家らへのインタビューを重ね、ウクライナ侵攻・移民排斥・権威主義国家の台頭・トランプ2.0といった現象を、断片的な事件ではなく「構造的な原因」としてつなぎ直していく。
個人的に刺さったのは、アメリカ・ロシア・中国・グローバルサウスをそれぞれの「物語」(覇者の驕り、大ロシア再興、百年国恥、南の逆襲)から描く視点。さらに「2060年に白人の割合が44%に落ち込む」という予測を背景にした人種置換の不安や、SNSと情報工作が民主主義を揺さぶる構図にまで踏み込む。一つの正義ではなく、各国の被害者意識と歴史認識が衝突している、という整理が腑に落ちた。
ニュースを「点」で消費して疲れている人ほど、世界を「線」で捉え直せる。エピローグの「19世紀へ向かう歴史」という見立ては不穏だが、だからこそ今読む価値がある。
Posted by ブクログ
川北省吾(1963年~)氏は、神戸市生まれ、慶大卒、共同通信社の国際ジャーナリストとして、ブリュッセル、ジュネーブ、イラク、ニューヨーク、ワシントンなどで特派員を務め、現在は編集委員兼論説委員として国際政治の分析・執筆に携わる。
本書は、共同通信社が2022年3月~25年4月に配信し、加盟新聞社25紙に掲載された国際インタビュー「レコンキスタの時代」全80回を全面改訂し、書籍用に書き下ろしたものである。
「レコンキスタ」とは、元来、中世ヨーロッパで、イスラム教徒に占領されたイベリア半島の奪還を目指すキリスト教徒の失地回復運動のことを指すが、広くは、既存の体制や秩序を打破し、過去の栄光を取り戻そうとする行為にも用いられる。そして、本書では、「レコンキスタ(失地回復)」という視点で、トランプ、プーチン、習近平らの思想と行動を読み解き、彼らのようなストロングマン(強権指導者・独裁者)を生むに至った時代と世界を考察している。
本書の流れを大まかにまとめると、以下である。
◆東西冷戦が終結した1992年、米政治学者のフランシス・フクヤマは、世界的ベストセラー『歴史の終わり』で、第二次世界大戦でファシズムを打ち負かし、冷戦で共産主義に勝利したリベラルな民主主義は「人類の統治の最終形」で、歴史における思想上の「終点」になると説いた。一強となった米国は、2001年の米同時多発テロにも後押しされて、自由と民主主義を世界に広げるグローバル化を推し進めるが、テロを根絶することはできず、また、国境を越えたヒト・モノ・カネの往来は、格差を拡大し、一握りの勝ち組と大勢の負け組への二極化が進んで行った。
◆その間、ロシアでは、2000年に大統領となったプーチンは、当初、欧米に親和的な態度をとるが、大国としての立場をないがしろにされ、不満を募らせて行き、中国では、開明派とされた父親の不遇を見て育った習近平が、2007年に政治局常務委員に選出され、ポスト胡錦涛の最有力に躍り出た。
◆リベラルな民主主義が失速し、修正主義(既存の秩序や歴史観の書き換えを図る立場や運動)が勢いを増す時代潮流が形成される中、2012年、歴史が大きな転換点を迎える。同年、ロシアでは、プーチンが大統領に返り咲き、中国では、習近平が中国共産党総書記となり、また、翌13年には、オバマ米大統領が「米国は世界の警察官ではない」と宣言した。
◆その後、ロシアは、2014年にクリミア半島を併合、2022年にウクライナに侵攻し、中国は、「中華民族の偉大な復興」のために次々と手を打ち、失地回復を図っている。そして、米国では、2014年にトランプが大統領選に勝利するが、これも、いわば、グローバル化の負け組である労働者や農民ら非エリートのレコンキスタだった。
一通り読んで、私が最も印象に残ったのは、欧米における白人によるレコンキスタである。というのは、私の基本信条は、法的・社会的平等重視、格差是正支持、多様性尊重であり、そうした意味ではリベラルだと思っているし、欧米で(最近では日本でも)広がる右派の自国ファースト、排外主義には大変憂慮しているのだが、本書にある(非リベラルの)白人の懸念も一定程度理解できるからである。有名な米国の白人擁護主義者ジャレッド・テイラーは「アフリカにはこの先もアフリカ人が暮らし、アジアにはアジア人が住み続けるのに、西洋では白人と非白人の混血が進む。社会が少しずつ非白人化されている。」といい(テイラーの主張の一部だけを切り取ることの危険性はわかっているが)、その現象を「グレート・リプレイスメント」と呼んでいるのだが、そのことによって欧州(米国については、先住民を征服してできた国であり、もともと白人の国といえるか、という問題がある)なり、ゆくゆくは日本なりが、文化的アイデンティティを失う危機に直面したとき、それを看過できない気持ちは共感できるのだ。
では、どうすればいいのか。。。容易な解決方法は見つからないが、その方法が近視眼的な外国人排斥や移民送還でないことだけは間違いないだろう。我々人類は700万年前にアフリカで誕生し、世界中に広がって行ったが、現在80億人を超える人々は地球上で共存するしかない(仮に、将来月や火星に人が住めるようになったとしても、億人単位で移住することはできない)のだ。
今の世界・国際情勢を見る一つの視点を身に付ける上で、一読の意味のある一冊と言えるだろう。
(2026年6月了)
Posted by ブクログ
現代社会が概観できる良い本でした。
アメリカロシア中国の立ち回りの話は既知のものでしたが、ここにBRICSが入ると見え方が変わって面白かったです。
ウクライナロシア戦争やアメリカイラン戦争を当たり前に世界全体の問題だと捉えていましたが、これもある種ポジショントークなんですね。
考えてみれば腑に落ちるところもあって、目の前の家族が餓死するかどうかのときに、見えないところで起きてる出来事なんて気にしてられないです。
あるところでは戦争が起きてきて、あるところでは日々の食事すらままならない状況がある。
そして、世界の中心で語られるテーマは戦争である。
何も言える立場にないですが、人類はまだまだ歪だなあと思いました。
またひとつ、自分のバイアスを知ることができました。
Posted by ブクログ
あたりまえのように、アメリカをはじめとする欧米、そして日本が考える民主主義、資本主義こそが正しいと思っていた。この本は極めて客観的に書かれており、内容的に納得できるものばかり。こちらの正義は、あちらの悪。つまり、ロシアや中国など、私の中では到底理解できないことが、彼らにとっては当然のことであるのだと感じた。世の中のすべての人々が、お互いを理解し合い、平和な世の中なんてくるのでであろうか。
Posted by ブクログ
大国の近代史を中心に、特に現代の各国首脳が生み出され、そして独裁者のようになった背景や歴史に触れられて、大きな時代の流れに触れることができた。少し先が読めない世の中だからこそ、表面的なニュースだけでなく、深く考察する本書のようなことを知ることの重要性を感じた。
Posted by ブクログ
様々な識者への取材から、多面的な議論が展開されている。
その中でもギャディス氏のインタビューがとりわけ示唆に富むように思う。「帝国思想を内包する」米国と、我々はどのように付き合っていくべきなのだろうか。
Posted by ブクログ
混沌とした世界秩序になっている要因、経緯が知りたくて購入
中国、ロシアが権威主義を強めたタイミングと、アメリカが世界の警察官を否定したタイミングが近いことには驚きました、またそのタイミングが、トランプ政権の時ではなく、オバマ政権の時であったこと、その要因は、世界同時多発テロ後のブッシュ政権の際の失敗にあること、冷静終結後に自由主義、民主主義に全世界が向かっていくと胡座をかいてしまっていたこと、今に至る状況はずっと前から繋がっていることがよくわかりました
また、トランプの考えが受け入れられている要因として、白人がマジョリティマイノリティになる未来が見えていること、白人だけが逆にマイノリティに対する意見を言うと厳しく接しられること、その鬱憤が溜まっていること、その観点は言われるまで気づいていませんでした
プーチンが突然G8の枠組から離脱して対立することにしたこと、習近平が出現して香港、台湾に対する振る舞いが悪い方向に向かっていること、南シナ海を埋め立て始めたこと、そのうち、民主主義陣営に乗っ取られる、と言う危機感からであることもよくわかりました
これからは、アメリカが守ってくれる、と言う今まで当たり前に思っていたことは通用しなくなる、自分の身は自分で守る、と言う時代が確実にやってくる、そう感じてしまう内容でした
Posted by ブクログ
学術的な論理構成ではないが、世界の大国がどのような過程を経て現在の傍若無人な態度を取るようになったのか、ストーリーが分かりやすかった。「Gゼロ」というのは前から言われているが、19世紀型の大国間のパワーバランスのせめぎ合いで、束の間の平和が生まれる理解は肌感として正しそう。各国のエリートが国内の非エリートの存在を忘れ、北側諸国が南側の経済的小国を気に掛けなかった反動が来ている。これからの社会を可能な限り良い方向に進めるためには、皆が歴史に学ぶ必要がある。
Posted by ブクログ
各所へのインタビューを通じて、歴史、とりわけ冷戦終了後の現代を紐解きながら、権威主義の勢いが増す現代史についてまとめている本。
現在の世界に大きな影響を及ぼすトランプ、プーチン、習近平といった強権指導者たちが生まれてきた背景を知ることで、今の世界で起きている事象の背景に何があるのか、理解を深めることが出来た。
なぜ世界各国で権威主義が台頭しているのか、現代の情勢を理解したい人におすすめの本。
Posted by ブクログ
プーチンのロシア、周近平の中国が、2012年から今の姿を形作ってきていたという分析になるほどと思うと同時に、全然自分の認識が対応できていなかったなと呆然とするばかりである。2011年の東日本大震災、自分の個人的な課題などの事情があったにせよ、やはり2014年のロシアによるクリミア併合はもっと非難されるべきことであったなとつくづく思う。2013年にアメリカは世界の警察官でないと宣言していたオバマにとっては決して対応できないタイミングだったんだと思う。強者は好きなように力を振るい、弱者は耐えるしかないと言われるとそれはたまらないなと思う。アメリカにも媚を売りながら、中国ともけんか腰ではなく対等に、そしてイランにはもっとしたたかにつきあっていく、難しいかじ取りが要求される局面であると改めて認識した。
Posted by ブクログ
世界は長い歴史をとおして、戦争を反省し人権の尊重を学んだ、と思っていたのに、いつのまにそれとは逆に進んでいたのだろう?
本書は点でバラバラに知っていただけの歴史的事実を、線でつなげるように物語を読むようにわかりやすく教えてくれる。同時に、物語化によるわかりやすさが、権力の乱用や差別の正当化に用いられていることも。
民主主義のはずのアメリカと日本で強権政治を支持する人が増えている理由と、支持する人たちが感じている恐怖不安のようなものも少しわかった。賛成するかどうかは、さておき。
他にも、普段あまり情報が入ってこない南半球の国々が協力して力をつけている話も興味深かった。南半球のことより北半球のことが大事とと思いがちな自分に気づかされた。
Posted by ブクログ
界隈で話題になっている新書。
国際情勢や政治、社会に少しでも関心がある方は、読む価値があります。
著者の川北省吾氏は、共同通社入社後、世界各国で海外特派員を歴任されてきたジャーナリストで歴史的洞察とキーマンへの取材を組み合わせた文章力が素晴らしい。
キーワードは「レコンキスタ」、失地回復です。「失われたもの」という感覚が、現代の様々な動きを生んでいるという指摘は鋭いものがあります。
例えば、ここに書かれていませんが、女性蔑視的な思想を持つ人々の動機を分析すると、「男性が従来持っていた優位性や権利が失われた」という被害意識が根底にあるのです。
これも一種の失地回復です。普通に考えれば、女性を蔑視することに正義はありません。しかし、彼らは被害意識を先に持っているため、それが「正義」の感覚と結びついてしまうわけです。
同様に、白人至上主義も「移民や少数民族に権利を与えたために、自分たちの権利が失われた」という被害妄想から生まれています。黒人だけでなく、アジア系、中東系を含めた移民に「乗っ取られる」という恐怖が、白人優位主義を支えているのです。
著者の綿密な取材によれば、アメリカにおいてトランプ大統領の登場は突然の出来事ではありません。むしろ、こうした流れの中で生まれてきた「現象」なのです。
2/14 ミュンヘン安全保障会議で
アメリカの国務長官が「各国に見合った自衛力を」と発言しています。
しかし、自国を守り抜ける軍事力を持てるのは「金と資源、及び人材を持っている国だけ」です。そして戦争は大抵が「弱小国」を狙って行われるものなので無理があるのです、それでも中小国が超大国と軍事面で対抗できる防衛力を持つには、いくつかの選択肢しかありません
1. 北朝鮮モデル:国民の生活や自由を犠牲にして、軍事力に集中投資する。要は先軍政治
2.中規模国家の連携:カナダのカーニー首相が提唱したように、中規模国家が連携して超大国に対抗する枠組みを作
る
3. 従属国化:いずれかの超大国の国家となる(ただし見捨てられるリスクもある)
さて、最近感じるのは「自由を求める人ほど、他人の自由を制限したがる」という矛盾です。自分の自由は主張するが、他人の自由は認めない。しかし、自分もまた誰かから見れば「他人」である以上、結局は自分の自由も制限されることになります。
本来、公共という考え方のもとで折り合いをつけていくべきです。自分が裸で外を歩きたくても、見たくない人の権利もあるわけです。法律や社会規範は、そうした調整のために存在します。
しかし今、ネットを通じて、こうした秩序を破壊したいという意思が増幅されています。特に超大国が各国の民主主義を弱体化させようとするというのも然ではないでしょう。
中米露以外の国々は、国内政治が混乱し多様性が失われれば、勝ち目がありません。00年代のアメリカのユニラテラリズムだって抑止なんかできなかったのが3つもあるわけですから。
日本はアメリカ、ロシア、中国の真似はできません。1996年から2000年の間に構造改革をしていれば、状況は変わったかもしれませんが、それでも資源がありません。しかも、構造改革は実現できませんでした。
侵略国家並みの先軍政治をやるべきになりますかね。
そうなると、各国は権威主義的な国家にならざるを得ないでしょう。
問題は、権威主義体制は腐敗します。最終的に縁故主義しか残りません。
縁故主義では経済発展は望めないのです。
明治初期、イザベラ・バードの旅行記『日本奥地紀行』には、当時の日本社会で賄賂や不正が横行していたことが記されています。つまり、日本もそういう国家に逆戻りする可能性があるということなのです。
やるせなくはなりますが。
Posted by ブクログ
1.この本を一言で表すと?
なぜ「力こそ正義」の時代になったのかを解説した本。
2.よかった点を3~5つ
・「アメリカには世界を統べる責任がある」と考える一群の政策エリートが現れた。その代表が「ネオコンサバティズム」(p23)
→アメリカのネオコン思想が問題があったというのがよくわかった。「奢り」というのがいずれ身を滅ぼすという事かと思う。
・第3章リバンチズム「大ロシア」再興の野望、第4章百年国恥—中華民族の偉大な復興
→中国とロシアの領土拡大をしたがる思想がし理解できた。
・ご都合主義への怒り(p169)
→途上国の本音の部分がよく理解できた。
・本来任務である平和の問題に関し、安保理が総会に委ねるという非常手段に出た(p279)
→この事は知らなかった。ウェナウェザーが必死になって知恵を絞った結果だと思うが、国連の危機的状況をよく表している。
・レコンキスタ(失地回復)
→中国、ロシアのレコンキスタだけで無く、アメリカ国内、欧州各国の伝統主義派のレコンキスタも同時に起こっている事がよく理解できた。
・「アメリカがこれからの80年も特定の国々に、これまでと全く同じ保護を与え続けると考えるのは非現実的だ。」「答えは自分自身で見つけなければならない」(p318)
→結論としてその通りだと思う。しかし厳しい現実しか見えない、明るい未来が見えないところにモヤモヤ感が残る。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・「99%の反乱」— 映画監督のマイケルムーアやアカデミー賞女優のスーザンサランドン…オノヨーコも占拠運動を支持してくれた。
→これらの人も1%の大金持ちではないのか?
3.議論したいこと
・「強者は好きなように力を振るい、弱者は耐えるしかない」世界で、日本はどうすべきか?
5.全体の感想・その他
・様々な識者にインタビューして多角的に分析しようとしたのが感じられる。
・2026年2月末のアメリカによるイラン攻撃後についても著者の記事を読んでみたい。
Posted by ブクログ
どれどれ、時事というものやらを学ぼうか、という気持ちで読んだ。非常に学べた。
新聞は普段から読むが、私は政治や世界の歴史に詳しくない人間である。そんな私でも分かりやすくストーリーを理解する事ができた。レコンキスタ、失地回復。その言葉に纏めてしまっていいのか分からないが、少なくともレコンキスタという側面から捉えた最近のリーダー達の行動をよく説明していると思う。
右傾化する世界、これから何が起きるか分からないが、ニュースの解像度が上がった気がする。
Posted by ブクログ
様々な強国の多くがレコンキスタを標榜して再度過去最高に領土や権威を広げたいと思っている。
そのため自国ファーストの政策を取ったり、独裁者の権限が強くなったりしている。
アメリカが世界の警察として治安を取り締まる時代は終わった。
正義とは同じレベルのものでのみ成り立つ状態であり、弱者にはそれは適用されない可能性が高い。
今後は自分のことは自分で考えていく必要があるだろう。
といった内容。
なんとかかんとか読み終えた。
勉強になりました。