あらすじ
ロシアによるウクライナ侵攻、世界的な移民排斥運動、権威主義的国家の台頭、トランプ2.0、そして民主主義制度基盤の崩壊……。
「なぜ世界はここまで急に揺らぎはじめたのか?」。共同通信社を代表する国際ジャーナリストが、混迷する国際政治の謎を解き明かすために、国際政治学者や評論家、政治家や現場を知る実務家へのインタビューを敢行。辿り着いた答とは?
プロローグ 「警察官」の退却
第1章 覇者の驕り―「無敵」から「Gゼロ」へ
第2章 「格差」の超大国―アメリカを蝕む病
第3章 リバンチズムー「大ロシア」再興の野望
第4章 百年国恥 ー中華民族の偉大な復興
第5章 「南」の逆襲ーBRICSの論理と心理
第6章 白人の焦燥ー「人種置換」の世界観
第7章 SNSと情報工作ー民主主義の新たな脅威
第8章 「警察官」の犯罪―時代遅れの戦後秩序
第9章 逆流する歴史―よみがえる伝統主義
エピローグ 「19世紀」へ向かう歴史
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「アメリカは世界の警察官ではありません。われわれの力で全ての悪を正すことは不可能なのです」
この演説は、冷戦後の世界逃れを変えることになった。もはや「世界の警察官」ではいられないというオバマの”ギブアップ宣言”は、「パックス・アメリカーナ(米国の力による平和)」の終わりを告げていたからだ。
Posted by ブクログ
読んで良かったと思える作品でした
第1〜4章の「力こそが正義」とする為政者が生まれた背景は、よくよく読めば「失地回復」というよりむしろやっぱり「因果応報」
私にとって何より収穫だったのは、第6章の「ベッケンフェルデ命題」を知ったこと
自分がいる場所のはずのリベラリズムをどこか息苦しく感じていた理由がわかってホントすっきり
リベラリズム自体の終焉が周り回って今の状況の根っこにあるなら、腹が据わります
最後によく「言われる日本人としてどうしたらよいか」ですが
エピローグに書かれた歴史家のジョン・ルイス・ギャディスと筆者の会話がすべて
「どうすればいいのか?」
「答えは自分自身で見つけなければならない」
当たり前だけど、まるっとひと括りに「日本人として」の答えはないでしょう
けれど、実に幸いにして日本人は
・今頭の上にミサイルが飛び交っているわけではない
・オセアニア政府下にいるわけでもギレアデ共和国下にいるわけでもない
・いつなんどき大地震が起きるかもしれない国に住む度胸はある
あとは個々人の持ち物や持ち時間を踏まえてそれぞれの可能性・選択肢を増やすだけかと
Posted by ブクログ
世界の警察アメリカの凋落から世界はあらたなレコンキスタの時代に。トランプ、プーチン、習近平それぞれの行動の理屈を分かりやすく解説した、今の国際情勢に関する良著。
ちょうどアメリカがイランを攻撃したタイミング、昭和の知識しかなかった自分にはこの30年の国際情勢の変化が納得して理解できる。
日米関係にも今後変化が出てくるのだろうか。
Posted by ブクログ
これはおもしろい!
と、同時に背筋がぞーっとする。
極めて危うい世界に今我々は生きている。
だけど、その危うさは我々自身が選択したものなのだ。
どうして、トランプとプーチンと習近平は仲が良いのか、本書を読むととてもよくわかる。
Posted by ブクログ
これからの世界の方向性について、非常に示唆深い書籍だった。グローバル化、移民問題からくる軋轢により欧米で極右ポピュリズム化していき、そのことで世界の連帯が弱くなりGゼロ時代になってしまっている現代。また、国連が担う平和の担保についても考えさせられた。大国、中小国、防衛面で米国に頼っている日本、それぞれ戦略は異なってくるだろうが、妥協してでも組むべき協力体制はまだまだあるのだろうなと感じた。各国の強み、弱み、依存先などを把握して、リスクヘッジを加味した上で世界各国と対話していく必要がある。本書はAIの話には触れていなかったが、AIが発展した時代においてどうゲームチェンジが起こっていくのか、起こしていくのかを真剣に考えていかないといけない。
必然と経世済民を託している国のリーダーたちの政策、方針については今後もしっかりウォッチしていきたいと感じたし、自分も何か一つでも多くの貢献をしていきたい。
Posted by ブクログ
2012年5月 プーチンが大統領に返り咲く
2012年11月 習近平が総書記、中国最高指導者の座を手中に収める
2013年 オバマが「アメリカは世界の警察官ではない」と宣言する
このあたりが分水嶺だった…
そして現在に至る。
「トランプは孤立した存在ではない。グローバリズムの負の遺産が生んだトレンドラインのアメリカ的表現だ。プーチンや習近平も同じ潮流から生まれたストロングマンであり、肌が合うのもうなずける」と著者はいう。
本書は、トランプ、プーチン、習近平という3人の『ストロングマン』の胸の内に触れる。彼らの周辺および過去をさかのぼる。そして、サブタイトル「なぜ『力こそ正義』はよみがえったのか」が分かりやすく書かれている。
奇しくも、衆議院選挙により「最新の日本の姿」が現れた今、読んでおくのがよさそうな内容だ(読み応えありすぎてちょっと怖い)。
日々の暮らしというミクロ思考に陥っていた(というより「流されている」が正しいな)自分に向けて、一気にマクロ視点を突き付けられた。「日本はどうあるべき」というより、まずは「自分はどうなのよ?」をきちんと考えておかなければ…
Posted by ブクログ
とても読み応えのある内容で、グイグイと引っ張られる感覚で一気に読み終えました。
中国、ロシア、米国の歴史を紐解き、これらの国々がいかにして余裕を無くしレコンキスタの旗印の元、なりふり構わず(ともすると強引とも言える)政策を推し進めるのに至ったか、腹落ちする内容だった。
そして、そんな世界の中で日本がどう立ち振る舞うべきなのか、考えさせられた。
Posted by ブクログ
慧眼。これまで、トランプや習近平やプーチンの言動を理解できず不安だったが、この本で理解の糸口を見出した気がする。不安に変わりはないが、もっと学んで、世界の動向を見ていたい。まずは日本が平和であるように何をすべきか考えていきたい。
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メモ
プロローグ
アラブの春、アメリカは世界の警察ではない
第1章 アメリカ 覇者の驕り
フランシスフクヤマ、ネオコン、無敵な超大国、リベラル帝国主義、アメリカ例外主義、イラク・アフガン介入失敗、経済疲弊、Gゼロ、イアンブレマー
第3章 アメリカの格差
小さな政府 強欲は善 金融と証券の兼業
自由放任 新自由主義 低金利 マネーゲーム 2007-2009 経済危機 (サブプライムローン、リーマンショック) 倒産・人員整理 若年層失業 経済格差の拡大 ジニ係数0.485 2011ウォール街選挙
下から上へのポピュリズムの到来 民主党配下ラストベルトの労働者は負け組化 アメリカ白人の死亡率上昇 オバマはマイノリティ保護 労働者離党 格差への不満 2016 扇動家の登場
第4章 中国
5000年の歴史 100年の恥辱 サラブレッド 改革派の息子だが保守派 民主主義のかけらもない 毛沢東時代 鄧小平時代 爪を隠す 香港の保守化 三権分立ではなく三件合作 言論統制 南シナ海 昔から中国領 台頭する大国ではなく、回帰する大国 国民教育・ナショナリズム高揚 党の正当性 ロシアが反米の盟友に 共に冷戦の敗者
第5章 BRICS
最貧国=後発開発途上国① 3年間の国民総所得平均②栄養不足、人口の割合、5歳以下の乳幼児脂肪率 ③農作物生産の安定度、すがるもの求めている、置き去りにされた貧しい人々、グローバルサウス、BRICSが居場所を与える、公正な新秩序形成への期待、ワクチン、拡散、怨念と呼ぶべき怒りの感情がグローバルサウスに渦巻いている、貧困格差、失業、繁栄から取り残されている疎外感、ロシアの侵略に対し、戦略的中立、ヨーロッパの独善的ご都合主義に反発
第6章 白人の焦燥
・アメリカの歴史=イギリス人→ドイツ系→イタリアなどの難音→東大のユダヤ人→アジアや中南米
・よそ者に対する恐怖心は、最も本能的な人間の反応
・白人ナショナリスト、迫真は、遺伝的にも、文化的にも絶滅の危機、白人のレコンキスタ(失地回復)を推める必要がある
・ドイツ=ドイツのための選択
・フランス=国民連合
・アメリカ=バノン= イスラム教徒入国禁止令
・移民や難民の追放計画、国外への再移民、滅びゆく、西洋への焦燥
・アメリカの白人比率約60% → 2060年44%
第7章SNSと情報工作
・ 2021年アメリカワシントン連邦議会議事堂にトランプの支持者乱入
・ 2023年ブラジリア三権広場で襲撃
・ 2022年ドイツ支障を処刑するクーデター計画
・クロスポリネーション、
・エコーチェンバー
・コロナによる加速
・過激思想、やり場のない怒り、誰かに喧嘩しようとするアジア系市民に対する憎悪犯罪、他者への憎悪や敵意
・陰謀論、勢力分断の深まり、党派対立が先鋭化
・ローンウルフ型のテロ=自らの過激思想を実現する
・加速主義=アクセラレーションニズム=アナキスト=暴力使ってても、世界を変えようとする
対話を通じて、妥協点を探る
・もう一つの事実、オルタナティブファクト
・2011以降、プーチンとスルコフによるアメリカの分断、ヨーロッパの分断
・大量の難民をヨーロッパに送り込み、武器化する
第8章 警察官の犯罪
2022年ロシアウクライナ侵攻
ウクライナの主権を侵害し、侵略
4人の警察官、イギリス、ソ連、中国、アメリカ
+ワン=フランス
リヒテンシュタインクリスチャン・ウィナー、ウェザー 国連憲章第27条3項、拒否権の行使国に理由説明を求める
・ダブル・ヴィートー(2重拒否権) =ロシアと中国
・安全保障理事会/総会
・ 2023年事務総長アントニオ・グテレス「安全保障理事会やブレトンウッズ体制は1945年のもの世界は変わった。我々の気候は変わっていない改革試みる。
・ブレトンウッズ体制=国際通貨基金、国際復興開発銀行、国際貿易機関=パンデミックの時、貧しい国々を守れなかった
第9章 伝統主義
・ルネ、ゲノン 伝統主義 反近代 現代社会は堕落している
・伝統主義者にとって、西側の価値観を受容はアイデンティティーに関わる実存問題
・グローバル化と言う名の西洋化が、イスラムの豊かな伝統文化を流す
・伝統主義と独裁者に親和性
・修正主義=リビジョンニズム=既存の秩序や歴史観の書き換えを図る立場や運動
・ダボスマン
Posted by ブクログ
世界情勢を様々な立場の人々に取材しつつ読み解くもの。二次大戦後の世界秩序が寿命を迎え、新たな秩序へ変化していく様子が少し垣間見えた。日本もアメリカ頼りでは生き抜く事ができない時代が到来すると考えると、この先が怖い。
Posted by ブクログ
年始に本書を読んでる最中に、米国のベネズエラへの軍事介入がニュースとなった。
サブタイトル「力こそ正義」の価値観が、米国にまで浸透し行使に至ってしまった由々しき事態の中、かぶり付くように読み切ってしまった。
本書は、米中露の3人の「皇帝」がどういう歴史認識やロジックで侵略を実行・構想しているのかに留まらず、グローバルサウスの怨念、移民への白人の恐怖心、情報工作やSNSによる煽り、現在の世界秩序の構成要素を非常に分かりやすく整理されている。
最後に、日本がどうするべきか、という問題提起に対して、それは自分で考えるしかないと結論づけており、下手に楽観的に纏められるよりも、我々が本当に注視して考えなければならないと気を引き締められる。
Posted by ブクログ
オバマが世界の警察官ではないと表明してから今に至るまで流れ
プーチン 習近平 トランプなどレコンキスタという失地回復という思想で自国拡大の考えが強まっている
Posted by ブクログ
某SNSで見かけた絶賛の投稿をみて読んでみた。
「レコンキスタ(失地回復)」を切り口とし、世界の研究者や政治家などに幅広く取材された内容が読みやすくまとめられており、個人的には単純に読み物として面白かった。
文化伝統からみて「失ったもの」を取り戻すために、ウクライナ侵攻や南シナ海の埋め立てが起こっている。暮らしぶりを取り戻すためにトランプ支持や移民排除の動きが起こっている。一見バラバラに見える昨今の出来事、確かに「レコンキスタ」という観点では共通している。
怖いのは、フィクションではなく実際に世の中で起こっている、ということ。しかも、首謀者たちは絶大な権力をもつ切れ者。あえて一般市民を攻撃し移民を作り出し分断をあおる。SNSやAIの操作も厭わない。今日も誰かが「取り戻す」ためにインターネットやメディアを操作している。
その中で、日本は、自分は、どうするのか?
考えていく必要があるのだろう。
Posted by ブクログ
平易な文章で分かりやすかった。各界の第一人者であろう人々(素人には分からないが)にインタビューして書かれており、生の声として伝わってきやすい。
アメリカのトランプ支持者は一体何を考えているのか、とずっと不思議に思っていたが、生産業が衰退し格差が固定化される中、「親の代より良い暮らしができる」と希望を持たせてくれる存在(ストロングマン)に縋りたくなる気持ちが少し身に染みた。
またロシアのプーチンがフェイスブックなどで特定の興味関心がある人々に向けて広告を流し、ブレグジットを誘発したとする記述に戦慄した。今日の日本の選挙でもこのような情報工作は当然に行われているのだろう。エコーチェンバーも含め、SNSの使い方には本当に気をつけたい。
Posted by ブクログ
これは確かに読んでおいた方がいい本ですね。
今、世界で起きている様々な理解し難い事柄の背景を知ることができます。けっこう衝撃でした。世界を一つのテーマでくくり、俯瞰的に書籍にまとめた筆者がすごいと思いました。世界のニュースや日本の外交、防衛など、見る目が変わりそうです。
Posted by ブクログ
あちこちで激賞されていますが、なるほど…これは力作。現在の国際政治に関して、いまの状況に至る経緯を各方面の識者へのインタビューを交えて超俯瞰した観点から振り返る形となっており、現代国際社会の理解のために読んでおいて損はない内容と言ってよいでしょう。
Posted by ブクログ
共同通信の配信で地元紙にも連載されていたのだが,気になりつつ読めてなかったので新書にまとめてくれて良かった。内容はインタビューベースの硬派な取材記事で,1冊の本として通読するのはやや難しい感じがした。
何でもかんでもレコンキスタというのもどうかと思うが,プーチンと習近平についてはしっくりくるような気がする。
「力こそ正義」の時代に逆戻りしているのは確実で,フクヤマの「歴史の終わり」ではなく,ハンチントンの「文明の衝突」とも違う,権力者の意向に振り回される世界になっている。
『聖人のキャンプ』の先見性。それは,後になってみればということだが,自分もひとつで良いのでそんな何かを残したいと思わせる。天才とは未来が見える人なので。
Posted by ブクログ
世界の警察アメリカが世界のバランスを保っていた時代が終わりを告げ、権威主義国家が自国の力を最大化しようとすることで均衡を保つ世界に変貌を遂げてきている。アメリカもストロングマンのトランプが手綱を握り、かつてリベラルな民主主義を推し進めていたアメリカはもう失われつつある。自国の利益を最大化してレコンキスタを狙う強国に挟まれる弱者はどのようにして自国を守っていくべきなのかを考えさせられる。
安保理常任理事国であるロシアやアメリカが率先して国際法規を無視して強権を発動している現代は、無法地帯そのものだなあと。日本に住んでいると、日常があまりにも平和すぎて危機感が欠如してしまうが、もはや何が起こっても不思議ではない時代になりつつあるのかもしれない。