あらすじ
犯罪を犯し刑期を終えた元受刑者を地方都市へ移住させる政府の極秘プロジェクトの試行都市となった魚深(うおぶか)市。そんな中、魚深市では、奇祭「のろろ祭り」が始まろうとしていた。元受刑者たちも参加するその祭りを前に不穏な空気が流れ始め、何があっても誰も責任が取れない状況に、市長の不安は募る……。山上たつひこ氏が過去の「のろろ祭り」にまつわる物語を描いた書き下ろし小説「浜辺」も収録!
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Posted by ブクログ
第1巻が起承転結の『起』なら、今巻は正に『承』。メインは『のろろ祭り』。話の本題・核に入ってきたなと。。祭りで発生するトラブルの中で、街に元々住んでいた人々と移住してきた人達の間での微妙な心理の変化が刻々と描かれていて、あっと言う間に読み終えてしまった。後半には新たな人物や問題も発生して次巻さらに期待大。
それ以上に面白かったのはが、付属の書き下ろし短編『浜辺』。『のろろ祭り』の過去にまつわる物語だそう。まさにオレの好きなモヤモヤの残る感じのお話。読んだ感想は、こういう事ってあるよな〜って。世の中どこか違った方向に向かっていても、多数の人がそれに疑問を抱かずに、その空気のままその方向に突っ走る感じ。何か新しい事象・風が起これば、有無を言わず手のひら返して右から左に皆で流れてゆく感じ。そして、そんなに時間も経たずに、すぐに忘れられていく感じ。今の世の中に蔓延っている風潮を絶妙に皮肉っているなと感じました。