あらすじ
ギャグ漫画の巨匠2人が奏でる「不安」「願望」そして「笑い」の先にある物語! ――とある日本の地方都市が、犯罪を犯し刑期を終えた元受刑者を地方都市へ移住させる政府の極秘プロジェクトの試行都市となる。市長は一般市民には何も知らせずに元受刑者の過去を隠し転入させるというこの更生促進事業を受け入れた。移住するのは、凶悪犯罪を犯した11人の元受刑者。はたして、このプロジェクトの行方は!? 貴方の隣人が凶悪犯罪を犯した元受刑者だったら。罪償いし者達と罪未だ犯さざる者達の輪舞! ここに開幕!
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Posted by ブクログ
人が人を殺すときってどんな心境なんだろう?と考えた事がある。
対象に明らかな殺意や憎しみを持って殺人を犯す人間と、平穏に日常を暮らす人間のとの溝は、たった一筋の溝ではあっても、想像を絶するほど、とても暗くて深い。
殺人事件を起こした11人の受刑者を、平穏に生活するひとつの町が更正の為に迎え入れるところから物語がスタートする。
作品中には、得体の知れない嫌な緊張感が張り詰め、ささいな事でその糸は切れてしまうのではないかという不気味さが漂う。
普通の人間が殺人を犯した人間に対して感じる「恐怖と異質感」が作中つねに付きまとい、読んでいても心が落ち着かない。
土着の祭り、「のろろ祭り」の詳細も気になって仕方がないが、次巻、必ず「ただならぬ何か」が起こるような余韻を残して1巻は終わった。
次巻以降が楽しみな漫画がまたひとつ増えた。
文句なしに面白い。
Posted by ブクログ
町の極秘プロジェクトははたして
成功だったのかどうかは、結局の所
読者に委ねる形で幕を閉じたけど、
この危険な状態の連続に終始ドキドキさせられた。
人は変われる部分もあるし、どうしても
難しい部分もある。割り切れるものじゃない。
元犯罪者との共存について、私たちであれば
どう接し考えていくべきなのか。
大きなテーマを与えられた気がした。
Posted by ブクログ
絵の雰囲気と、作品の世界観のギャップがいい。
元凶悪犯を更生するために小さな漁村に、
秘密裏に住まわせるプログラムが始まる、
という設定がまず面白い。
秘密を知るのは町長をはじめとした村の実力者3人。
しかし、異変を感じ始める町民もでてきて、
ついに事件がおこる…。
登場キャラの人間性もリアルで、
人間の怖さが上手く描かれていて、
サスペンスのようにぐいぐい引き込まれる。
ただ、最終巻の結末については、
個人的にはまとめきれてない印象でそれだけが残念。
Posted by ブクログ
昔の日本文学の香りがする漫画。
原作 山上たつひこ氏
作画 いがらしみきお氏
現代日本の閉塞した空気感をよく表現している。
後書きの対談も必見。
寺田君GJ!
Posted by ブクログ
この世界では刑に服すというかたちで罪を償うことが制度として認めてられている。
そう僕たち(彼らは)ははやり直すことが出来るのだ。
でも現実はどうだ?
務めを終え出所した彼らに一般的な暮らしを過ごす場所は用意されているのだろうか。
自業自得とはいえそこにはあまりにも辛い人生が待っているのだ。
キレイごとでもなんでもなく制度として僕たちはやり直すことが認められているにも関わらずだ。
彼らの唯一といってもいい受け皿であるその筋への規制がますます強まるなか、現実的に起こりうる問題。
その解決策として実験的に国は出所した凶悪犯罪者たちの素性を隠し一般人として、ある一つの町に住まわせるところから物語は始まる。
ヒトクセもフタクセもある彼らがすんなり収まるわけもなく、奇妙な緊張感を保ちつつ物語はすすむ。
その緊張感はある種の狂気を孕んでおり、その狂気はすこしづつ事情を知る三人の受け入側の住人をも蝕んでゆく。
ように見えるのは考え過ぎか。
ぼのぼのでおなじみのいがらしみきおのデフォルメの効いたキャラクターが本来なら重いテーマである物語を非常に読みやすい作品にしていると思う。
キーワードのように挿入される“羊の木”といフレーズ、緊張感を保ちつつ変容していくそれぞれの関係。
次巻が待ち遠しい。