あらすじ
冷え込んだ江戸の景気を救ったのは、一商人が始めた弁当屋――未曾有の不景気に見舞われた寛政の江戸。大店「特撰堂」の次男・裕治郎は実家を離れ、弁当屋を始める。客を思い、取引相手に真を尽くす裕治郎の商いは普請場の職人の評判をとり、火消しを走らせ、武家と町人を結び、やがて途方もなく大きく育ってゆく……。安くて美味いもので人は元気になる! 経済エンタテインメント小説。2008年10月~2009年11月、「日本経済新聞」夕刊に連載。
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Posted by ブクログ
本作は、何となく“経済”が判る、それを考える材料になるというような感で興味深く、悪辣なことをする敵役達との対決の行方も面白いのだが…他方で、与えられた役目を果たしている者同士、互いに敬意を表しながらも、肩を寄せ合って生きているというような本作の劇中人物達の風情…何となく心温まる…
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経済時代小説って言っていいのだろうか?
一力ワールドが楽しめる作品に間違いはないです。
江戸の札差たちを苦しめた借金棒引き令・棄捐令 どん底の江戸経済を立ちなおすために・・・。
デフレ後の今のこの国、平成の安倍政権にチョット近いですよ。
安倍さん、消費税の税率どうします。
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長編の本作は、江戸の高級食材を扱う老舗大店の兄弟を主人公に大店を守る長男と、大人になり袂を分けて仕出し弁当店を開業して事業を営む次男の話ですが、棄損令に伴い世間の景気が悪くなったにも関わらず大店を守り抜く兄と、そんな世を逆手に順調に商いを伸ばす次男が、それぞれに志を持ちながら商いをすることで、それぞれを支える人たちとの絆や兄弟愛が、やがて商売仇を討ち払い、天下も動かすというところが良かったです!
「おたふく」というタイトルに込められた万民に福が来る世というのが深いですね!
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時代小説ではあるんだけど、実質はビジネス・経済系の小説。『ザ・ゴール』とか『もしドラ』なんかに近い雰囲気。
不景気の時代に起業で社会を変えていく話なので、今の時代だからこそ学ぶことが多い内容だった。
並行する話が多いため内容が散漫になってしまう点と、主人公が自動的に成功していくように見える点がやや不満ではある。
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未曾有の不景気に見舞われた寛政の江戸。大店「特撰堂」の次男・裕治郎は実家を離れ、美味くて安い弁当屋を始める。客を思い、取引相手に真を尽くす裕治郎の商いは普請場の職人の評判をとり、火消しを走らせ、武家と町人を結び、やがて途方もなく大きく育ってゆく―経済は人情が動かす!傑作時代長編。
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父が大好きなのだが私は初めての山本一力。帯の文句についつい惹かれて買った安くてうまい江戸の経済小説。
松平定信によって棄損令が交付された江戸が舞台。武士の金策相手たる札差が一斉に貸し渋りを始めたことで一気に景気が冷え込んだ時期、妻と二人家を出た有力廻船問屋の次男坊・裕次郎が江戸の職人相手の弁当販売業を始めるというお話。
食べ物メインの話かと思っていたが、成長する弁当販売業の拡大戦略とそれに関わる人々の姿を中心に描かれる。
登場人物達がいちいち格好いい信念を持っており、彼らが対峙するシーンは剣の交わりに劣らぬ緊張感がある。またタイトルから察していただけるであろうメッセージ性も良く、筋の通った中に温かみを感じる作品だった。
Posted by ブクログ
お兄さんと弟の、凛としただけど愛に満ちあふれた兄弟愛にほろり。主人公の姑たる男の職人気質にくらり。そして、彼らの作る握り飯の描写にゴクリ・・・食いたい!その握り飯食いたい!!
ただ、登場人物が多過ぎて話しがやや発散している気がするのと(物覚え悪くて、登場人物の名前が全部覚えられないわ・・)、あんな弁当で経済効果が上がるのだろうか・・メシ代に金が必要になるんだし、他の買い物控えたりするんじゃないの?とか。まあ、「アベノミクスを奨励してるんじゃないの?」なんて、うがった見方しちゃたからかもしれませんが。
「経済は生き物」ということは、ちゃんと実感出来る書き方だったと思います。
Posted by ブクログ
池波正太郎が好きなので、たまに時代小説も手を出してます。
今回読んだ本は、購入後知ったのですが、日経新聞の夕刊に連載されていたそうです。
【内容】
賄賂が横行した田沼時代の乱れた世を正そうと、老中・松平定信は借金苦の徳川家直参家臣を救うため、
武家の禄米を担保に高利でカネを貸し付け、贅沢な暮らしをきわめる札差に、棄捐令(借金棒引き)を発布した。
川上から川下へ、カネの流れは滞り、人々の身も懐も寒さが厳しさを増すなか、大店の次男が始めた小さな志高き商いが火消しを走らせ、そして…。
という、江戸っぽい感じがむんむんするなぁと思いながら読み始めたら、それよりもむしろ「半沢直樹」。池井戸小説に近い。
時代が違うだけで、人と人の駆け引きなどが秀逸。お茶の出し方、作法で相手の状況を読み取り、
言葉無く想いを感じる心というのは日本人ならではなんだろうなと。
なんだかんだいいながら、江戸っ子気質で大団円。勧善懲悪とは言わないまでも、気持ちよく読み終われます。
リーマンショック後の夕刊に掲載されていた小説だからこその、日本を取り巻く空気感というのは小説内での棄捐令時代と変わらない。そんな時代を変えるという心意気が感じられます。
時代小説はちょっと。。。と毛嫌いされている方も是非に。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
未曾有の不景気に見舞われた寛政の江戸。大店「特撰堂」の次男・裕治郎は実家を離れ、美味くて安い弁当屋を始める。客を思い、取引相手に真を尽くす裕治郎の商いは普請場の職人の評判をとり、火消しを走らせ、武家と町人を結び、やがて途方もなく大きく育ってゆく―経済は人情が動かす!傑作時代長編。
Posted by ブクログ
安心して読める時代物。
悪い人も出てくるけど、最後はやっつけられて一件落着。
良い人がいい人すぎる気がするけどお約束ということで。
今の商売人にも通じるものがあるような気がします。儲け第一じゃないのが気持ちいい。